出張先で見つけて買った本。

 当事者本で参考になった。

 

 

 復習:エストロゲンのピーク時に排卵。その後、エストロゲンが低下し、プロゲステロンが増えてピークに達する月経1週間前が、PMDDの好発時期(p10)

 

 

 プロゲステロン増加と気分が関係するのかと単純に考えたくなるが、そんなことは当たり前のように調べられており、むしろ、プロゲステロンの急激な低下、プロゲステロンでなく代謝物が問題、エストロゲンとの比率が問題など結論は出ていない。

 興味深いのがプロゲステロンはセロトニン1A受容体を刺激するという報告で、これだとむしろ不安改善効果があることになる。

 女性にも出ているtestosterone変動との関連も検討すると面白いと思うが、研究されているのかわからない(面倒なので調べず)。

 

 

 

 PMDDの主観的症状で忘れないでおきたいこと。

 

 匂いに敏感になり、自己の匂いにまで敏感になる(p15)

 自己臭症の診断がつきそうな女性の場合、月経周期を問診しないといけない。

 

 1日で気分変動が激しい(p27)、注意散漫になる(p19)、辛い記憶を突然思い出す(p33)

 ある種の個性の偏り、最近なら発達の問題と間違えそう。

 やはり月経周期との関係を確認しないといけない。

 

 強い希死念慮が10-15分程度襲ってくることもあれば、中程度の希死念慮が持続することもある(p49)

 これも個性の偏りと間違えそう。あるいは脳波をとりたくなる。

 

 重要だと思ったのが症状発現のタイミング。

 操作的診断だと月経開始で症状が無くなることになっている。で、それにこだわる若い先生もいらっしゃって「月経開始後も症状があるならPMDDは否定」と判断されることがある(らしい)。

 しかし私が拝見した方で「生理が始まっても続く」「始まってからの方がしんどい」という方がいらした。

 中安さんによればパターンが異なることがあり、同一人物で変わりえる。

 1)排卵(月経開始14日前)から開始まで続く

 2)排卵から開始まで細切れに消退する

 3)開始後に軽快するが、終了直前(つまり月経期間中)に再度悪化する(p69)

 中安さんの経験なので、もっと個人差があるに違いない。

 

 Hormoneの動きだからいくらでもズレるだろうし、hormoneを受容するほうの器官のコンデイションだってあるだろう。

 人間は機械ではない。

 

 

 要は必ず症状と月経周期を確認しないといけない。

 肝に銘じたい。

 

 

  

 中安紀子「生理前あるある PMDDって何?」 星和書店、東京