ルクーの曲を実演で聴けると知って、すみだトリフォニーに。

 こんなに短期間でコンサートにまた行けるのって、本当に何年振りだろう。

 

 指揮はクリスティアン・アルミンクさん。

 フランツ・シュミットの「7つの封印の書」以来。

 あの演奏は本当に素晴らしかった。

 CD化されていますが、購入しました。

 

 

 今回も素晴らしかった。

 コンサートにちょこちょこ行っていた時期は、N響か読響、たまに都響で、新日はほとんど聴く機会がなかったのですが、今回はたまたま重なりました。

 

 

 ルクーの「アダージョ」

 アルミンクさんは低音をしっかりと響かせ、この曲が、ベルギー人作曲家、あるいはフランス文化圏の曲というより、ドイツ文化圏の影響にあるのだなと思わせる演奏でした。

 時期的には普仏戦争後だから、フランス愛国主義ど真ん中のはずですが。

 ただ、ルクーの師匠は、ワーグナーの影響を受けたダンディ。

 そもそも、この曲がダンディ追悼のために書かれた。

 とはいえ、当時、ワーグナーの影響を受けなかった人なんて、ほとんどいなかったでしょうけど。

 

 私が持っているCDは、ルクー全集ボックスでバルトルメイ指揮リエージュ・フィルの演奏ですが、アルミンク+新日本フィルハーモニーさんの方が立体的な演奏で、特に中間部は繊細でとても透明感があり、今回の演奏がCD化されたらなあと思います。

 今回もコンマス(本日も西江さん?崔さんでないのは確か)と主席ヴィオラ(瀧本さん)さんの掛け合いが、また本当に美しかった。

 弦セクションがとても綺麗な新日本フィルにはぴったりな曲でした。

 

 

 ラヴェル 左手のためのピアノ協奏曲

 ルクー目的だったので、少し記憶が・・・

 ピアノは萩原麻未さん。初めて演奏を聴く方でした。

 かなり激しく鍵盤をたたく演奏で、ピアニストさんの個性なのかこの曲目だからか、私はほとんど聴かない曲なので、判断保留で。

 

 

 サン・サーンス 交響曲第3番

 繰り返しますがルクー目的なので、少し記憶が・・・

 アルミンクさんらしい細やかさで、打ち上げ花火のようなこの曲の、綺麗な部分、第一楽章第二部を、俗っぽくならない美しさで際立せてくれていました。

 この曲のもっとも好きな箇所を、レガートし過ぎない上品な弦と朴訥なオルガンの音(奏者は室住素子さん。「7つの封印の書」の時の奏者!)で演奏されると、私の単純な涙腺は崩壊し、もうこのまま静かに終わればいいのに・・・と思う間もなく激しい第二部が始まっていました。

 アルミンクさん、細身の体を一生懸命動かして、フィナーレに。

 うるさくならない管楽器と打楽器群が大活躍で、トロンボーンとトランペットの影に隠れていたけど、一瞬、出てきたホルン・ソロは素晴らしかったと個人的には思います。

 

 

 アンコール:フォーレのシシリエンヌ

 サン・サーンスがメインのプログラムだったので、自分としてはすごく美味しい蕎麦を食べに来たのに、後から濃い口担々麺を食べてしまった感じになっていたので、最後に抑えが利いて美しく静かな演奏を聴けてよかったです。

 

 てか、アンコールをもう一回ルクーにしてほしかったなあ。

 

 

 
 

クリスティアン・アルミンク指揮 新日本フィルハーモニー管弦楽団

すみだ平和祈念音楽祭2023   2023年3月

ルクー 弦楽のためびアダージョ、ラヴェル 左手のためのピアニスト

サン・サーンス 交響曲第3番<オルガン付き>