土日に仕事を片付け、頑張って早めに切り上げ、約4年ぶりのサントリーホールへ。

 

 久しぶりの神谷町駅周辺、風景が激変して完全にお上りさん状態。

 あっちに東京タワーが見えるからこっちだな、こちとら20代からサントリーホール通いしてるんだ、なめんなよと、大都会トーキョーに向かって喧嘩腰という、お上りさん状態最終形態になりながら、無事到着。

 

 

 

 ウェーベルン パッサカリア。

 実演は、大昔、ウィーンフィル+ブーレーズで聴いて以来。

 オケの音の美しさだけが印象にある、というか、ウェーベルンは音が少ないから出す音が綺麗なオケでないと厳しいのかなという雑な感想でした。

 

 さて新日フィルは。

 出だしのピッチカートは・・・まま、仕方ない。

 ところが、中盤から旋律主題に移ると艶っぽくて本当に素晴らしい!!

 パッサカリアって、後期ロマン派の色合いが残った、こんなに綺麗な曲だったんだと再発見。

 以前はそう思わなかった。

 ということは、メッツマッハ―さんは濃厚に歌わせているということです(たぶん)。

 コンマスの西江さん(男性)とヴィオラ首席の瀧本さん(女性)の掛け合いも、無茶苦茶美しかったです(ご両人のヴィジュアル的にも)。

 

 

 ベルク ヴァイオリン協奏曲

 ソリストはクリスティアン・テツラフさん。

 この曲の演奏、私が聞いたことがあるのは、おしなべて攻撃的というかアクセントをクリアにしようとするのだけど、テツラフさんは逆。

 柔らかな演奏で、スケルッツォさえアタックがきつくない。

 オケも、ともするとティンパニがドーン!、管楽器がピー!になりがちな曲だと思いますが、メッツマッハ―さんはそういうことをしない。

 ご両人ともにこの曲の不思議な和音や美しい旋律を艶やかに表現してくださる。

 メッツマッハ―さんは濃い口で、テツラフさんは少し薄味な感じで。

 バッハの引用部分は本当に泣けました。

 

 アンコール

 教養のない私には演目不明ですが、「あれ?もう1人いる?」な超絶技巧でした。

 

 

 シェーンベルク ペレアスとメリザンド

 今までどのCDを聞いても、私には「やかましい」としか思えなかった曲。

 メッツマッハ―さんも時にちょっとうるさいことはあるのですが、他の演奏だと癇に障る弦の高音がなぜか気にならない。

 理由はわかりません。

 生演奏だからなのか、メッツマッハ―さんのバランス感覚なのか、新日フィルの弦セクションの方々の力量なのか。

 低音域を響かせる演奏ではありました。

 メッツマッハ―さん、しきりと左手配置のコントラバス群に指示をなさっていましたし、正面を向いて体を大きく動かしながら「抑えろ抑えろ」なジェスチャーをなさっていました(たぶん)。

 

 あと、ペレアスとメリザンドの対話(?)と思しきヴィオラとヴァイオリンのかけあいがここでもあり、やっぱり美しかった(しつこいが、ヴィジュアル的にも。それに男女の奏者なので色っぽさ10倍増し(当社比))。

 

 そうえいば、第四部でメリザンドが死んだ後、最後の展開部の直前だと思うのですが、驚くほど長いゲネラル・パウゼを入れていました。

 息が止まるかと思った。

 比較できるほど聴いてないけど他の指揮者はなさらない指示かなと。

 

 もしオペラとして完成していたら、オペラが苦手な私でも「シン・トリスタンとイゾルデ」としてお気に入りになっていただろうなあと思わせてくれる演奏でした。

  

 

 

 見通しがいいとか、エッジが立ったというような、古楽演奏的な表現は好きですが、驚くほど濃厚でテンポも動く(たぶん)演奏もいいものだなあと、ホクホクしながら帰宅しました。

 

 いいコンサートに行けて、週末に頑張った甲斐がありました。

 

 

 

インゴ・メッツマッハ―指揮・新日本フィルハーモニー交響楽団

ソリスト:クリスティアン・テツラフ

ウェーベルン:パッサカリア、ベルク:ヴァイオリン、シェーンベルク:交響詩「ペレアスとメリザンド」     2023年3月 サントリーホール