新聞の新刊広告で見つけて即購入。

 

 

 昔から日本人は長寿だった(p12)

 魏志倭人伝にまで「倭人は長生きで百年、或いは八・九十年」と書いてあったらしい(p68)

 大陸から離れていて戦乱があまりなかったからなのか、気候風土や食生活のおかげなのか、謎。

 律令制度では老人の定義は61歳以上、官職の定年は70歳(p12、48)

 今の定義とほぼ同じ。

 

 とはいえ、高位の人々は衣食住面で恵まれていたであろうこと、「意外にご長寿」といっても今でいう中高年の死亡率がそこそこで「高齢の方にも働いてもらわないと人材不足になる」面があったのだろう。

 

 ところで、磯野家の波平さんは(当時の)定年間近で、年齢が54歳という設定なのは、意外に知られていないと思う。

 私も、もはやバカボンのパパよりも波平さんの年齢に近づいており、さらに頭髪事情も・・・・。 

 あと、こども3が卒業しそうな戦隊ものが今年45周年だそうで、新しい「なんとかジャー」の見た目が初代戦隊っぽいのだが、当時のアカレンジャー、子供心に「なんか、おじさん」だった・・・てか、今、見てもおじさん(←でも男くさくてカッコいい)。

 アカレンジャーの誠直也さん 当時27歳(設定は24歳!!!!)

  (誠さんの写真は上記ブログから転載させていただきました)

 

 じゃあ、45年後の今の27歳は?

 (お写真はフジテレビのHPから転載)

 2020年に27歳をお迎えになった神木隆之介さん。なんすか、同年齢でこの雰囲気の違いは。

 何を申し上げたいかというと年齢ってなんだろうという・・・・

 

 

 

 本書に戻る。以下、順不同で。

 戦国武将は自刃する際、老婆を語り部として置いていた(p26-30)

 

 一休さんと年下の盲目の尼僧のアレな生活は有名だが、その句がフランス書院文庫(p79)

 

 龍造寺家から鍋島家の移行を「結果として」助けた慶誾尼(けいぎんに)の活躍(要は押しかけ熟女女房 p86-91)

 

 大塚さん本でお馴染み、有名な昔話が実際はどのように語られていたか(11-13節 残酷。グリム童話と同じ)

 

 文字の無かった時代から筆記の時代になることで、物事の根源や歴史を疎んじるようになったと苦言を呈し、「古語拾遺」という本を書いた斎部広成(いんのべ ひろなり)の逸話(p33-34)。 

 私も学問の歴史は大事だと思う。

 

 世阿弥の「老人を演じるにはどうするべきか」の答えは?(p207-209 これは唸った)

 

 まるで谷崎潤一郎な馬琴の態度(p221-222)など・・・。

 

 

 へーと思ったこと。

 お兄ちゃんが弟に騙されて臣下になる海幸彦・山幸彦伝説は、弟の山幸彦=天皇、兄の海幸彦=隼人族の始祖なのだそう(p16-17、20-23)

 

 たぶん渡海してきた隼人族を、内陸にいた王族が平定した神話化なのだろうが(← 諸星大二郎の漫画からの知識なので不正確)、私が思いついたのがカインとアベル。

 

 兄カインは農耕(+鋤、鍬などの鋳造)、弟アベルは遊牧を生業にしていた。

 二人は神に供物を捧げるが、弟アベルの供物だけなぜか受け入れられ、逆恨みしたカインはアベルを殺す。

 問題は弟の供物だけをなぜ神は受け取ったか。

 佐藤さんと中村さんの本でも「分からない」と書いてあった。

 

 先日読んでいたカントの「人類の歴史の憶測的起源」にヒントが。

 農耕者は土地の所有、収穫の不確実性で心労が絶えず、毎日の細かな労働がある。また牧畜に作物を食べられることもあった。

 一方、かつての遊牧は牧畜を野っぱらに放しておけば適当に食べてくれるし、後は家に帰るだけ。

 なので、農耕者は牧畜者に嫉妬を感じたであろうし、放牧された動物による作物被害に抵抗する必要があった。

 つまり農耕者は暴力を必要としたという議論。

 

 要は農耕者(≒カイン)は暴力的(かつ考えて自律的に行動する必要があった)。

 牧畜者(≒アベル)は平和的。

 なので、神は平和主義者で自力で物事を勝手に考えないアベルに軍配をあげたのではないかなと。

 カントはそんなこと書いてないけど。

 

 

 記紀。

 山幸彦は農耕者。

 海幸彦は魚や貝を採ってくるだけで養殖しているわけでない、カント的には牧畜者。

 山幸彦・海幸彦伝説、「食物をゲットするには考える必要があった」弟の山幸彦が策略を弄し、「食物が無くなれば狩猟に行けばいい」のんびりした兄の海幸彦を上手に騙し、兄はあっけらかんと弟の部下になった・・・という話かなと思うのだが、私の妄想。

 

 

 

 面白かった点。

 高齢者の自殺率は高いことが知られているが、独居老人と家族同居では後者が高い(!p154-155)

 居場所がないのかも。

 

 9-10節。「キレる高齢者」は江戸時代にもいた。

 

 曲直瀬道三(まなせ どうざん)は、当時から成人と小児、成人と高齢者は別に考えるべきという発想を持っていた(p104-111)

 

 どうでもいいのだが、昔も美魔女さんがいらした。

 源倫子。

 45歳なのに20歳に見えた(p94-101)

 

 小柄で美人だったらしく、大塚さんは八千草薫さんを例に出している。

 私的には深津絵里さん・・・・あ、西田尚美さ・・・・あ、石田ゆり子さん・・・・あ、中江有里さん、って、自分の好みの女優さんを列挙しただけです。

 

 

 

 

 

大塚ひかり「くそじじいとこそばばあの日本史」

860円+税

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