歴史好きな子ども2、爆発が好きなこども3、元軍事オタクの私で、You tubeの予告編を見て「見に行こう!」になり、久しぶりに映画館へ。
軍事オタク的には、ミッドウェイといえば3つの要素。
「暗号解読」
「索敵」
「兵装転換のタイミング」
です。
事前に子ども2にレクチャーをし(いい迷惑)、私的にはその辺がどのように描かれるのか、子ども2と楽しみにしておりましたが・・・・・
あれあれ?
という感じでした。
2人とも「面白かったー」と申しておりましたが、最近のハリウッド映画でよくある、後にレンタルでテレビで見られることを意識した、画面いっぱいに情報量がある撮り方が災いし、こども3、ちょこちょこ「パパ、これ日本軍?」「パパ、これどっち?」と混乱しておりました。
正直、私もどっちがどっちか分からない時がありましたが、要は「闘っている」ということで・・・・。
最後の山口多聞の行動。
歴史的には知られていますが、実際に映像化されると子ども2と男泣きでした。
私的にぜひ描いてほしかった先の三点。
「ミッドウェイ島を占領して、アメリカ機動部隊を誘い出す」か「2隻の空母しか残っていないアメリカ機動部隊を壊滅させるか」。
結果として機動部隊壊滅を目指すのは同じだとして、最終目的のために手順を細分化してスモール・ステップ方式でいくのか、最終目的まで一気に向かうのか、作戦目標が曖昧なままにしてしまった経緯(日本軍はいつもこれ)。
アメリカ側は暗号解読で、日本がどこを攻撃しようとしているかはわかっていた。
とはいえ、逆にいうとそれくらいしか分かっていなかった。
どのくらいの艦船がどのくらいの規模で来るのかわからない。
当時の海戦は、軽装備で飛行距離を伸ばした戦闘機を複数飛ばし、目視で敵艦隊を発見する索敵が非常に重要だった。
ミッドウェイ海戦は、この索敵で大勢が決まった。
そして、有名な兵装転換。
ミッドウェイ島第二攻撃のために爆弾をつけるか、艦隊攻撃のために魚雷をつけるかで判断がもたもたし、兵装転換中にアメリカ軍機に空母が攻撃された。
結果、まったく反撃できないまま、戦闘機と爆弾が同時に置いてあった甲板が誘爆で一気に火の海になり、空母、沈没。
これがなんだかモヤモヤと描かれており、子ども2に復習で尋ねると(だから、いい迷惑)、「えー、そんな話だっけ」
・・・・・
私のレクチャーの努力はいずこへ。
一方、意外にきちんと描かれていたのが、初期のアメリカ軍兵装の貧弱さ。
ただ、燃費が悪くて小回りの利かない米戦闘機と、燃費は良いは、小回りは利くは、速度も速いはの日本軍機との違いだけは、物語上、かなり曖昧な描写に。
当時はぼてっとした外観で性能が悪いワイルドキャットしかなかったはず。
要はこの映画のアメリカの戦闘機、強すぎ。
あと、当時のアメリカ人がどれだけ日本軍に対して恐怖感を抱いていたかというのも、リアルに描かれていました。
歴史の顛末を知っていると、そもそも南雲中将が真珠湾で再攻撃を命ずるべきだったとか、小学生の時にテレビで見た、アメリカ軍がやたらかっこいい昔の映画「ミッドウェイ」の印象が強いので、あの映画だと、深刻で悲壮な日本軍に比べ、アメリカ軍の将兵は冗談とばして戦争中なのに恋愛までしたりして士気が高いようだし、負けるべくして負けたんだなあと思い込んでいました。
しかし、本作で見ると、当時のアメリカ海軍、真珠湾以後、連戦連敗で、まともに動く空母がない。
一方の日本軍は、練度も士気も高いし、とんでもないバカでかい戦艦をつくってるし(大和のことです)、当時のアメリカ軍人さんの士気は下がっていたのだなと理解できました。
「これは、まじでヤバイ。ミッドウエイを落としたらハワイの海軍HQをやられる。そしたら日本軍が西海岸に来てしまうかもしれない」という感覚です。
実際、そういう主旨のセリフもでてきました。
しかし、ドイツ人が監督で、中国資本も入っている日米海戦がテーマの映画って、不思議ですね。
ちらっと中国も出てきました。
あれ?
でも当時の中国大陸は国民・・・・・いえ、なんでもありません。
当時は国共合同作戦でしたね。
歴史は難しいということで。
ところでブログのタイトルは、急降下爆撃するアメリカの戦闘機が、なかなか空母に爆弾を命中させられないシーンで、パイロットの脳裏に「Use the Force, Luke」というセリフが流れそうだなあ、いつ流れるのかなあと思ったからでした。
ルーカスが「スター・ウォーズ」を制作するとき、特撮班に第二次世界大戦の空中戦のシーンを自分で編集して、動く絵コンテとして見せていたそうです。
なんか先祖返りした(?)ような映画でした。
ローランド・エメリッヒ監督「ミッドウェイ」 Roland Emmerich監督 「Midway」 2019年アメリカ公開、2020年日本公開