20年前に、おやじと、あと妻(当時は結婚前)と一緒に見に行ったマトリックス。

 20周年記念で、2週間の4DX限定公開だそうで、今度は子供たちと見に行きました。

 

 キリスト教文化や現代思想などのごった煮映画なのは、たとえば登場人物の一人の名前がトリニティであることや、ネオの持っている本のタイトルからわかるし、ネットでもかなりたくさんの解釈が書かれています。

 

 今回、久しぶりに映画館で見て、改めて「ああ」というところがいっぱいありました。

 私の独りよがりな妄想を書き散らかします。

  

 もう古い映画なので、ネタバレもへったくれもないので、そのまま最後のシーンのことまで書いてしまいますので、未見の方は飛ばしてください。

 

 

 

 

 

 まず、映画が始まる前の子供たちとの会話。

 「パパ、ここ映画で雨とか降ると、ちゃんと水がでるよね」(なにしろ4DXですから)

 「うん。・・・でもマトリックスで、雨降るシーンあったっけ・・・」

 

 そう、ありました。

 アダム橋の下でネオさんが、トリニティと一緒に車に乗るときです。

 わざわざ「アダム」橋なのは横に置いておいても、これ、たぶん洗礼ですよね。

 ネオさん、この時に大事な選択をするし。

 ちなみに、このシーン以外で雨は降りません。 

 

 

 あと、わざわざネオの名前をエージェント・スミスさんが繰り返し呼び、時に長々と本名をいいます。

 Thomas A. Anderson

 

 調べると、英語圏の名前Thomasの語源は聖トマスだそうです。

 聖トマスは双子。

 ミスター・アンダーソンさん、「2人」なわけです。

 マトリックス内:ハッカーとしての「ネオ」、本名の「トーマス」さん

 リアルな世界:「ネオ」(本当は名無し)、もしかすると「The One」

 

 それからわざわざミドル・ネームがあって、映画内ではどんな名前かなぜか明かされません。

 ラスト・ネームの頭文字と並べると、AAで「2つ」です。

 

 それから、ウォシャウスキー兄(現在姉)は現代思想オタクらしいので、同じ現代思想オタクの私のようにドイツ語についても知識としてあると思うんです(私は単語レベルですが)。

 もしかして、アンダーソンは、ドイツ語のanderもしくはandersから来てないかなと。

 前者は形容詞で「別の」、後者は副詞で「それ以外の」です。

 要は英語のother。

 

 英語圏のアンダーソンの名前の語源は聖アンデレだそうですが、調べても映画の筋とつながる要素がありませんでした。

 でも「別の」という意味だと、さっきの「双子」と重なります。

 まま、私の妄想ですけど。

 

 

 あと、ネオさんが現実世界に戻る時の薬が「赤い」。

 あれは知恵の実のリンゴかなと。

 もう一方の青は、正直、わかりません。

 

 

 今回、調べて驚いたのがモーフィアス。

 漠然とmorph=形態から来ているのだろうなあ、だからネオを救世主に「形成」する媒介という意味かなあと思っていたら、ちゃんと意味がありました。

 Morpheusって、英語辞書に載っていました(発音記号もモーフィアス(モーフュース))。

 モルペウスというギリシャ神話の夢の神なんですね。

 でも、映画のモーフィアスは「現実に引き戻す」人物ですよね。

 うーん。

 

 

 今回鑑賞しての謎、その1。

 まず「The One」です。

 一なるものって、普通、神を表す。でも神なわけはない。

 トリニティ=三位一体からすると、神=精霊=子だから、子=キリストでしょうか。

 実際、最後に復活するし。

 マトリックス三部作を「キリストの受難」と考えると、物語の全体の意味がなんとなくわかる気もします。

 うーん、しっくりこない。

 英語が得意な方にお伺いしたいところです。

 

 謎その2。

 オラクルとのシーンの彼女のセリフ。

 以下のどっちだったのか、私のヒアリング能力では聞き分けられません。手元に脚本もないし。

 Being the One has just like been in love

 救世主であることは、ずっと愛していることと同じ

 Being the One has just like been loved

 救世主であることは、ずっと愛されていることと同じ

 

 前者だと相思相愛でないといけない。字幕はこっちでした。

 後者だと、ネオがあの段階ではトリニティに「まだ(完全に)愛されていない」ので救世主たりえていなかったのだということが、後々になって腑に落ちる台詞です。

 

 今回、映画館で見て、lovedと言っていると思って「なるほど!ここに伏線が!」と思ったのですが、私の勘違いです、きっと。

 

 

 

 というわけで、20年ぶりに見ても(たまにDVD借りてみてたけど映画館で見るほど集中できません)、妄想的に深読みできる傑作でした。

 

 

 帰りにレストランで「あの人、ジョン・ウィックの人だよ」と子供たちにスマホで見せたら、「ええ!!ああ!!ホントだ!!」とものすごく驚いていました。

 いやいや、私だって驚きですよ。

 あの年齢で、あの体、あの動き、そして、あの容貌。

 

 反則です、キアヌ・リーブス。

 

 そういれば「ジョン・ウィック」でも言いますね、あの名台詞。

 「Guns. Lots of guns」

 

 

 

 

ウォシャウスキー兄弟(現在 姉妹)監督「マトリックス」  原題 The Matrix     日本公開1999年