はい、みなさんこんにちは。LEC司法書士講師の荻原です。
ゼミ、始めます。
前回と今回は、公開講座です。
【43】~【47】
一般社団法人、一般財団法人については「会社法・商業登記法の講義」で扱います。
ここでは、その基本的な事項を先に説明します。
一般社団法人及び一般財団法人は「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」を準拠法として成立した“法人”です。つまり、独立した一個の完全な権利能力主体となっています。
一般社団法人は、社員となろうとする者が“定款(法人の根本規則)”を作成し、金銭等の財産を出資して、設立登記を行うことによって成立します。一般社団法人は“社団法人”というくらいですから、その本質は「構成員の集合体を、たんに構成員の集合体として見るのではなく、独立の一個の法人格を有する存在と評価した」ものです。つまり、社員という「人の集合体」が、一般社団法人の本質です。なお、一般社団法人として独立の法人格を有していますので、出資された財産は、社団法人が単独で所有します。構成員の共有や総有に帰するわけではありません。
財団法人は、これを設立しようとする者が“定款”を作成し、金銭等の財産を出資して、設立登記を行うことによって成立します。一般財団法人は“財団法人”といううくらいですから、その本質は「財産の集合体を、たんに財産の集合体として見るのではなく、独立の一個の法人格を有する存在と強化した」ものです。つまり、出資された「財産の集合体」が、一般財団法人の本質です。
また、一般社団法人・一般財団法人の運営者は「理事」と呼ばれ、その選任方法は定款によって定められることになります。一般的には、社員の中から理事が選ばれることが多いですね(一般社団法人の場合)
また、理事の指揮下で総務・事業・経理等を担うのは従業員の方ですけれども、これらの従業員の方は法人に雇用されているのであって、出資者ではありません。従業員の方に給与を支払うのは雇用契約上、当然であって、これは“収益の分配”ではありません(ちょっと難しいですね。会社法が終われば、この論点は簡単に理解できます)
会社法・商業登記法の講義では、もっと詳細にご紹介しますけれども、民法において【43】~【47】を学習するためには、この程度を理解しておけば足りるでしょう。
では、各肢を検討します。
【43】
社員が一般社団法人に出資した財産は、一般社団法人の単独所有に帰します。
そこで、構成員(社員)が拠出(出資)した不動産は、一般社団法人の所有となり、その登記を社団法人名義で行うことになります。
なお、不動産登記法で詳細をご紹介しますけれども、権利能力なき社団名義での不動産登記はできません。
これに対して一般社団法人は、法人格を有しており、権利能力なき社団ではありませんので、その社団名義で不動産登記を行うことができます。
【44】及び【45】
株式会社等の“会社”は「営利社団法人」です。ここでいう「営利」とは「法人が得た利益を構成員に分配する」ことを意味しています。
従って、営利目的の社団は「会社」であって、「一般社団法人」ではありません。
制度上、「営利目的」の一般社団法人を設立することはできないようになっていますので、【44】は○です。
また、このことは「一般社団法人が利益をあげてはいけない」ということを意味してはいません。「あがった利益を構成員に分配してはいけない」という意味です。
たとえば、「○×通り商店街」が、その商店街をあげて行うイベントの運営や、商店街のキャラクターグッズ展開を行うために「一般社団法人○×商店街」を設立したとしましょう。
この場合、商店街の各店舗(個人商店もあれば株式会社形態のこともあるでしょう)が出資者となり、たとえば各10万円ずつ出資をしたとします。50店舗集まれば、金500万円の出資金です。
この一般社団法人○×商店街は、その商店街の活性化を目的としており、そのために各種のイベントを企画したり“ゆるキャラ”を作ったりします。もっとも、収益を上げずにこのようなことを続けていれば、あっという間に資金が底をついてしまいます。
社員(出資者)から会費を徴収し、これで費用を賄うこともありますが、せっかくですから、イベントの参加費を1人300円として、地元アイドルのコンサートを開いたり、ゆるキャラグッズを配ったりしてみましょう。このような活動によって、○×商店街に足を運ぶお客さんが増えれば大成功です。
さて、イベントに参加した人数が延べ1万人だったとしたら、収益として300万円が一般社団法人○×商店街に入ってきます。
これはどのように使うことができるのでしょうか。
もちろん、コンサートを行った地元アイドルへの報酬や、ゆるキャラグッズの作成費の支払い、臨時雇いのアルバイトへの報酬として使います。
でも、余りますよね。この余った金額(たとえば250万円としましょうか)を出資者(社員)である各店舗に分配することができるのでしょうか。これはダメです。営利法人ではないからです。
もし、収益を上げて社員に分配(配当といいます)をしたければ、株式会社等の会社として成立するべきです。
会社よりも一般社団法人のほうが、税制などで有利な側面がありますから、これに惹かれて一般社団法人とするのであれば、収益を分配することはできません。
次のイベントの資金等に使いましょう。
まあ、でも○×商店街の各店舗にすれば、このようなイベント等によって地域が活性化すれば、個々の店舗も売上増が見込めるでしょう。
また、キャラクターの肖像権の管理からすれば、たんに商店街の任意の組合として行うよりも、独立の法人格を持った一般社団法人として行うメリットは大きいはずです。
以上のように、一般社団法人も収益事業を行うことは可能ですから、【45】は○です。
【46】及び【47】
一般社団法人は独立の法人格を有する“人”であって、これはその構成員(社員)とは別個の存在です。
ですから、一般社団法人の債権者にとって、その債権の債務者は一般社団法人のみであり、連帯債務や保証もしていない構成員の財産を差し押さえることはできません。
同様に、一般社団法人の構成員個人を債務者とする債権者にとって、その債権の債務者は構成員個人のみであり、一般社団法人がその債務につき連帯債務や保証もしていなければ一般社団法人財産を差し押さえることはできません。
従って、【46】及び【47】はともに○となります
お疲れ様でした!
次回、受講生限定で月曜日にアップします。