ヤマノイモ科に属するヤムイモyamは、熱帯と温帯とで700種類近くが栽培されていますが、日本で栽培されているDioscorea polystachyaを学名にもつナガイモ、 Dioscorea japonicaを学名にもついわゆるヤマイモ、ジネンジョ(自然薯)やヤマトイモもその仲間です。これらは品種も多く、地域によっても呼び名が色々あります。一般にヤマノイモの仲間は乾燥に強く、地下部にイモをたくさんつけるので、開発途上国では食料としても重要です。そのままで食べることができない種類もありますが、同時に、日本でもヤマノイモを山鰻ということがあるように栄養的にすぐれ、機能性食品として台湾では「山薬」とも呼ばれるそうです。そのほか、伝統的には避妊薬(ピル)の原材料としていたとのことでした。

 東京農大でもヤムイモの研究が盛んにおこなわれてきました。私も、ヤマイモに発生するウイルス病の研究をしたことがあります。日本で栽培されるナガイモでも、ウイルス病から守るために、ウイルスに感染していないイモを増やすなど、生産者は様々の工夫をしています。また、イモをまっすぐに育てて折らずに収穫するために、地下にパイプを入れそこにイモを誘導して育てるということも、驚きですね。

 もう一つ、大人でも知らない方がいらっしゃいますが、地上部にできる小さなむかご(零余子)。これも、ご飯に入れて炊くとおいしいものです。時どき、スーパーマーケットでも売っていることがあります。

ヤマイモが元気に育っていると、とろろご飯などへの期待が高まりますね。