752年の4月9日に奈良の大仏(盧舎那仏)が開眼しました。この年、聖武天皇と光明皇后の娘である孝謙天皇が沢蘭(さわあららぎ)を見て詠んだ「この里は 継ぎて霜や置く夏の野に 我が見し草はもみちたりけり」という和歌が万葉集に納められています。沢蘭はサワヒヨドリという植物のことで、この植物が夏なのに黄色くなっているということに注目した和歌とのこと。今ではこれが、植物ウイルスに感染してサワヒヨドリの葉が黄色くなった現象であることが研究により明らかになり、この和歌は世界で一番古い植物ウイルス病の記載であると認められています。

ヒヨドリバナ属の植物としては、サワヒヨドリのほか、秋の七草の一つとしてフジバカマが有名ですね。

同じ症状を示すフジバカマ(横浜市で撮影)。

和歌に詠んだ孝謙天皇も、この現象がウイルスによるものであることを論文にまとめた研究者も、素晴らしいですね。このウイルスの仲間は、現在の農業でも重大な被害をもたらしています。