楽器考。第一話。 | tAkknのblog

楽器について、だが、主にギターについて、である。
僕の専門はギターだからだ。

音の世界というのは実に曖昧で
いい音、いい楽器っていうのは
感性の問題なので
なかなか定義付けするのが難しい。

だから、21世紀の現在でも
未だに「王様は裸だ」と言えない現状があるから
ある意味、面白い。

勘違い、思い込み、知ったかぶり、そして、嘘。
そういう事を言う人がいっぱい居るし、
売るための誤魔化しの文句
そういう記事が未だに雑誌に掲載されているから、
それを鵜呑みにして頑なに信じてる人が
かなりの割り合い、居るのだ。

実はこの僕の「機材に対する考え方」について、
僕を師匠と慕ってくれている…まぁ「弟子」(笑)か?が、
それはそれは感銘を受けてくれたらしくて
雑誌の記事や、
能書きばかりで合点のいく説明の無い連中や
高い機材を売りつけたい、高くつく方法で機材を揃えさせたい楽器屋
からの「洗脳」が解けたらしく、
楽器もほとんど買い替え
大量にあったコンパクトエフェクターも
壁一面に積み上げられていたクソ重たい真空管アンプも
ほとんど整理してスッキリしたのだ。
コレ最近の話。

なので、僕の話は案外説得力があるのだなーと思い、
他の場所でもやってみようと思った次第。
 
さて。

音楽は料理に例えると便利だ。
解りやすく説明できることが、ままある。

例えば
一流のシェフが作った料理ですよ、っていうのを食べさせられて
感想を求められたら
「流石は一流のシェフですね、今までに食べたことのないような美味しさです」
くらいのことを言ってしまいそうな気がする。

たまたまテレビで観たよ。
最近の「よくできた冷凍食品」を「一流のシェフが作った料理」だと食べさせられて
料理好きで有名でレシピ本まで出している芸能人が見破れなかったのだ。

コレ読んでる人で「いや、オレなら解るよ絶対に」という人も居るかもしれないが、
僕は自信が無い。

流石に1皿100円とかの「ス○ロー」の寿司と
1皿600円くらいする「銚子丸」のソレとじゃ判別できるかも解らないが。

「芸能人格付けチェック」でも、ガクト以外は全問正解出来ないじゃん。
そのくらい難しい。

楽器でもそういうことがあって。
もう、だーいぶ昔から「王様は裸だ!」と
見破った人が居て、散々言い尽くされてきたはずなのだ。

ストラディバリウスというヴァイオリンがある。
最早説明もいらないでしょう。
楽器に詳しくない人も名前くらいは聞いたことあるだろう。
僕の師匠、茶位先生が作った20万円クラスのヴァイオリンと
数億円もするストラディバリウスと
聞き比べる実験をNHKの番組でやったらしい。
その結果、音楽評論家やコンクールの審査員でも
わからなかった人がかなりの割合で居たというのだ。

つまり、料理の味とか楽器の音っていうのは
一流といわれているような人でも間違える。
よっぽどの人でない限り判別できないような
微妙~な世界なのだ。

さぁ、
ではこの動画を観てほしい。

https://www.youtube.com/watch?v=JmGKgGLt0xA

…おわかり頂けただろうか…
僕には全然判別できません!!

僕は耳が悪いのだろうか?

これね、電気的にいうとトーン10の場合
(つまり、右にいっぱい回し切った状態。全開ってこと。フルで10、なのでフルテン、とか言う。)
まるっきりキャパシターを通ってない音なわけだ。
(動画の中では「コンデンサ」と表現されているけど、日本だけの呼び方で、海外では「キャパシター」というのが普通。
僕は電解コンデンサとかと混同するのがイヤなのでキャパシターと呼ぶ。)
だから、そもそも音が変わる訳がない。
そして、ジャズ系以外でLIVE中にトーンをいじってる人を見たことがない。
僕を含めて、ほとんどの人がトーンはフルテンのままなのだ。
つまり、ほとんどの人にとってトーン回路は不要なものなのだ。
厳密にいうと、フルテンの場合でもキャパシターは500kΩの抵抗(抵抗値はギターやピックアップによって違う)を通って
アース(グラウンド)に落ちる…と考えると極々微小な変化があるのかもしれない。
ので、トーン回路そのものをカットしたりする場合もあるし、
最初っからヴァン=ヘイレンみたいにヴォリュームのみになってるギターもある。

断言する。世の中のほとんどのギタリストにとって、キャパシターを交換することに意味は無い!

ところが、オレンジドロップだのビタミンQだのに交換して
「音が変わった」「抜けが良くなった」なんていう記事を目にしたりして…あと、見た目ね(笑)
実際自分も交換してみて、「おぉ!変わった~!」なんて、嘘つけ!(笑)わかんないくせに!
そういう人が実際、多いのだ。

次はコレだ。

https://www.youtube.com/watch?v=-1DYYJnP4Uw

まぁ、コレに関しては全く判別できないというレベルでななく、
クセの強いケーブルは音のキャラクターに違いがあるのはわかるでしょう。
が!しかし!
ケーブルで音変わっちゃダメじゃないですか??
楽器からの信号をそのまま素直に伝えるのがケーブルの役目。
シールド・ケーブルだからノイズに強くないといけないけどね。
まぁ、長~いケーブル使ってハイが落ちる現象は仕方がないにしても、
あまりクセのあるケーブルを使うのは…
例えばリハ中に断線して、ライブハウスのケーブルを借りることになった場合に…
ということで、取り回し易さとか、ノイズへの強さ、耐久性とかも考慮に入れたうえで、
「標準」のカナレのケーブルで音作りしておくのが無難。

3mで5000円以上するような高いケーブルは必要ない!カナレで充分だ!

ところが、ケーブルを「線」とか「コード」と呼び、8の字にも巻けないのに、
やたらと高価でクセのあるモンスターケーブルとかを使ってる人、結構多いのだ。

そして一番大事なこと。
キャパシターやケーブルを高価なものに換えても、リスナーには伝わらないのだ。
いや、ひょっとしたら特別にとてつもなく耳のいい人が1000人に1人ぐらいは居るかもしれない。
しかしどうやって1000人に聴かせる?
LIVEに1000人動員できる?CD手売りで1000枚売れる?
それだけ努力したとして、その中の1人に伝わるかどうか、って話なのだ。
「いやいや、所詮自己満足なんだから、伝わらなくてもいいんですよ、自己満足させてくださいよ。」
そういう風に仰るけども、自己も満足できてないでしょ?
ブラインドテストで
オイルキャパシターとセラミックキャパシター同じ条件で聴き比べても
カナレのケーブルとモガミのケーブルを同じ条件で聴き比べても
わかんないでしょ?オレわかんないもん(笑)
だから、やる必要無いのだ。

話が長くなった。続きは第二話で。気が向いたら書く(笑)