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【癒される日々】
ペットの死を乗り越えて

この本は神戸に越して来てしばらくしてから
夫が私に買ってきてくれた本
アメリカの牧師さんが書いた本です。

「いずれ、モモも死ぬ時が来る。その時、必ず役に立つと思うから今から読んどいたらいいよ。」と言って渡された本
夫の気持ちは嬉しかったけど
その時の私は本を開かなかった。
何となくその本の内容はわかったし、
その本に書かれてるであろうペットロスより多分私はひどいペットロスに陥るだろうと知っていたから。
何よりモモが死ぬなんてことは考えたくなかったのだ。

今の この家は私の趣味の家と言えば言えなくもないけど、大半はモモのために建てた家。
引っ越す前、犬を飼えるマンションを探しに探したけど、どこにも希望するマンションはなくて
仕方なく土地を探し、結局神戸の明石に落ち着いて建てた家だ。
この間、2年間もかかった。

前の家もおばあちゃんが昼間 外を見れるように和室の窓を広くしたけど、
今度の家も、モモが外を見れるように一階和室の窓を面通りに大きく取った。
キッチンもセミオープンにしてリビングのソファからカウンター越しにいつも私を見れるようにした。
シャンプーの時もモモが楽なようにお風呂場と洗面所は広く設計した。
二階の寝室も大きさも内装も前の家と同じにした。
三角屋根の高い天井も同じで、同じベッド、同じ家具を設置したので、寝室で寝てる時はモモは全く前の家と同じスタイルで寝ることが出来た。

引っ越してすぐは大阪のお友達と別れて可哀想なモモのために夫と三人でよく散歩に行った。
私たちも新しい町を知る必要もあったし、
モモの新しい散歩コースを発掘するのに
この頃は本当にモモとよく散歩した。
引っ越して何やかやと忙しかったけど
モモとの散歩は息抜きになって私達も楽しかった。

そのうちに夫が一人でモモの散歩をさせた時に
家近くになると私に携帯をかけて来るようになった。
電話をもらった私はフードを五粒だけ持って玄関に出る。
家近くの角まで来ると夫がモモのリードを離す。
私道なので車は来ない。
私の姿を見つけると
「お母さ〜ん。帰ってきたよー。」と言うような顔をして嬉しそうに私の胸に飛び込んで来たモモ。
私は頭を撫でてヨシヨシしてからモモを家に入れる。
前の家ではなかったこの新しい習慣は
1日のうちでモモと私が一番嬉しい瞬間だった。

年を越え、春を迎えた頃
その頃の散歩は三人だったり、二人になったりしていた。
ある日 
夫が「晩御飯の支度はせんでいいから、買ってきても、食べに行ってもいいから、三人でモモの散歩に行ってやろう。」と言い出した。
二人の時と三人の時ではモモの元気さが全く違うらしかった。
私はモモのために夕食は後回しにして三人で散歩に行くことにした。
三人の時は私がモモのリードを持ち、夫がお散歩バッグを持つのはモモが子犬の頃からの変わらない習慣。

あの時期、モモと三人で散歩してた頃
モモは病気でも何でもなく元気だった。
三人で散歩すると本当に嬉しそうだった。
人間も犬も幸せなひと時を過ごした。

夫は散歩してる時に
「今はこうして元気で三人で散歩出来てるけど、後で振り返ったら、あの頃は幸せだったなあと思うんやろなあ。
幸せはその時には感じなくて後になって感じるんやろなあ。」とよく言ってた。
モモでなくても私達もいずれ順番に死ぬ、元気な時に三人で散歩できる幸せを感じさせてくれた夫の言葉だった。

この時期、三人でずっと散歩出来た幸せと、モモが病気になってたった一夜だけだったけど、モモと二人で過ごせたあの夜が後々の私の心の支えとなった。

この支えがなかったら
モモとの大切な思い出がなかったら
私はもっと苦しんだろう。

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