江戸川大学ライフデザイン学科2年 吉池美幸

今回は「森の恵みを活用するための仕組み――ドイツの林業、木材産業から学べること」をテーマに池田憲昭さんからお話を伺った。

ドイツの森林資源

ドイツは森林に覆われているが、日本ほど急峻な山はなく、森林率が30%で、住宅地域や道路が16%、そして54%が農地で、人口1人当たりの森林面積は0.15haとなっている。

森林所有の形態は、私有林が一番多く、その次に州有林が3割ぐらいになっている。ドイツは連邦制で、国有林と言われているものは大体、州の所有になっている。このほか、団体有林と言われるものがあり、そのほとんどが地方自治体所有の森林で、20%ぐらいを占める。

私有林の所有面積規模は50ha以下の森林所有者が非常に多く、小規模の所有者の森が

合計で約400ha。また、小規模だけではなく、小さな森があっちこっちに分散している。このような分散所有がドイツでも大きな問題になっており、スウェーデンなどでは、非常に大きな森林所有者がたくさんいるといった簡単な構造だが、ドイツは非常に難しい構造になっている。

生産性

ドイツは木材輸出国になっている。輸出先は、最近ではイタリアや南欧諸国、アジアでは中国や日本が主な受け入れ先である。

ドイツでは、伐採した木はほとんど地元の製材工場に運ばれ、製材される。最近は、丸太材積で原木消費量が10万m3以上の大規模な製材工場が増えている。現在、ドイツ全体で10m3以上の製材工場は62工場あるが、そこでの製材量はドイツ全体の2/3を占め、製材量全体に占める大規模工場のウエイトが最近高まっている。

製材工場の規模と立地の関係をみると、大規模製材工場は森の近くで、南部に集積して

いる。バルト海の海岸沿いといった森から遠いところに立地している工場が一つあり、ロシア向けの輸入を専門としている工場がある。

教育システム

ドイツでは教育が大きく三つに分かれている。

まず一つは、「林業作業員」を養成する部門、現場レベルをみる「区画担当森林官・中級森林官」を養成する部門、次に、署長クラスの「幹部森林官・高級森林官」を養成する部門。3つ目が、林業作業員、現場で活躍する作業員で、9年間の義務教育を受けた後、林業作業員の養成学校・専門学校に通う3年間のカリキュラムで、学校と自分で探してきた研修場所を行き来するような形で教育を受けるシステムになっている。

また、ドイツでは職人の資格制度があり、「林業マイスター」などがある。プランニング能力、作業計画の作成能力、それを実践する能力が3年間のカリキュラムでまなびレベルアップの証である。区画担当森林官、中級森林官も同様に資格が必要となる。

感想

ドイツの森林は、ほとんどが人工的に計画的に作られたものだと今回のお話を聞いて知った。都市の近くや人の生活に身近にある職業だからか、なりたい職業にあげられることがすごいと思った。日本でもこのように、森林や林業が身近になれば、イメージが変わり、ドイツのように上手に森・自然とかかわった生き方が可能になると思った。