江戸川大学ライフデザイン学科2年 吉池美幸

今回は、俳優の永島敏行さんから、自身が行っている農業や市についてのお話を伺った。

昔の千葉

永島さんが生まれ育った千葉の東京湾ぞいでは昔、家の目の前までが海で、毎日砂浜で遊べ、泥遊びができるほど自然が豊かだった。今は昔よりとても便利になったが、以前と比べると開発が進み、町全体や、海・砂浜の景色が変わって、自然は遠のいてしまった。

農業を始めたきっかけ

永島さんが30歳過ぎのころ、秋田で小さな映画祭をやることになり、訪れたとき、十文字という農業が盛んな町に出会う。このとき農業に少し興味を持っていたため、農業を教えてもらおうと住民の人に頼んだのだが、大変だからと反対される。だが、現在では子供たちが泥遊びできる場がほとんどなく、大人がそういう機会を作らないと、自然の中で遊べない環境になっていた。農業や自然の体験を子供にしてほしかった。

秋田の人たちは、自分たちの農業を軽視していた。このため、若い人に農作業をさせないし、させないようにしていた。政治や経済にすごく影響され、難しいものがあるのかもしれないが、田植えの後の気持ちよい達成感があった。さらに、「人の味覚はイメージ」で作られるために、自分で作ったお米の味は格別に感じるのである。こんなお米づくりの魅力をもっと知ってもらいたいたいと思うようになった。その後、秋田だけでなく成田などで、体験型農業イベントを始めた。

青空市場

6年前に、東京でマルシェ(市場)を始めた。一般の人が気軽に、各地の安全で新鮮な農作物や、郷土食を買えるように、また東京を一日楽しく過ごせる町にしたいという思いがあって、有楽町で「青空市場」を開催している。

売り子が大切になる市場だが、作り手の農家さんたちは売るのが上手くない。買いに来るお客さんたちと、いかにコミュニケーションを楽しみ、リピーターになってもらうかが市場を成り立たせるキーになる。また、市場は地方と都会を結ぶ情報のやり取りの場にもなっていて、相互の理解を深めている。

感想

今は農業などの第一次産業の世界にも第三次産業の「おもてなし」という概念が必要だと話を伺って、思った。おもてなしはどの業界にも必要不可欠なものになっていることを実感した。

農業にもアマチュアがあっていいのではという永島さんの提案が、私からは発想できないものだったので驚いた。野球にもアマチュアがあり、プロが存在するように、農業にも同じように、まずアマチュアから、いずれプロを極めたいと思う人がいるかもしれない。こんな思いもよらぬ新しい発想が農業には必要だと感じた。