江戸川大学社会学部ライフデザイン学科 2年 神田 太郎
2009年4月23日(木)、第66回ローカルデザイン研究会が東京都田町にある「女生と仕事の未来館」にて行われた。ゲストに玉田さとみさんをお呼びし、「マイナスをプラスに変えて夢をつかむ」という今回のテーマでお話をして頂いた。
玉田さとみさん
放送作家であり、学校法人明星学園の理事であり、NPO法人おおた市民活動推進機構代表理事である玉田さんは、息子さん(次男)がろう児(耳が聞こえない子ども)であるとわかり、日本に「手話で教育を行う学校」が必要であると訴え、全国ろう児をもつ親の会を設立する。教育界との数々の壁を乗り越え手話で教育をするろう学校、「学校法人 明星学園」を創立した。さらに、今年の6月までに中学校設立を目指し、活動をしている。
日本の教育とろう者・ろう児
耳が聞こえる人は「健聴者」といい、自分の声を聞くことによって力の微調整を行い、口からの声を発して話をする。耳が聞こえない人「ろう者」は、自分の声も周りからの音も聞こえないため声の発し方がわからない。日本のろう学校では聴覚口話というやり方が教育では使われてきたが、口の動きだけで言葉を見分けることは、健聴者の人が耳を不自由にしたとしてもはっきりと見分けることは出来ないはずである。
ろう者には言葉を発する代わりに、手話で言葉を表わす方法がある。日本で手話という言語は、昭和8年(1933年)から禁止されてきた。しかし、当時のこの考え方はは、今までも何も変わっていない。耳が聞こえない子ではなく、手話で話す子ども。わかる言葉で学べば、耳が聞こえる人と同じように成長していく。
ろう学校設立に向けて
1999年4月、20代のろう者たちがデフ・フリースクール「龍の子学園」を発足させる。独自に勉強会などを開き保護者や先生自身が専門的な知識を学び、フリースクールを運営しながら手話環境を整えることや、新しい教育の実現を目指して活動してきた。組織を真ん中には置かずに、問題や課題、夢や目標を明確にすること。応援者・支援者を増やしていくなかで寄付や協力がとても嬉しかったと玉田さんは話していた。組織の維持ではなく、活動そのものに意味があるからだ。
教育特区を東京都に申請し、手話で教育を行うろう学校「明星学園」をつくりあげた。
「これから明星学園をどうしていきたいですか。」という問いに玉田さんは、「無くなるといいですね。一般のろう学校でも手話教育が出来るようになれば、明星学園はいりません。」と答えたことが印象に残っている。
感想
その場その場の損得を考えるよりも、もっと先にある本当の夢(理想)を目指すことが1番大切なことであるという認識を強く持つことが、自分の力で何かをなすためには重要なことだと感じた。
「夢」を言い続けて、思い続けて、あきらめずに努力すれば、夢はかなう。何をするにも夢(理想)がなければ、何かあるたびに、右往左往してしまう。自分の考える道がはっきり認識していなければ、前へと進むことが出来ない。さらに、それを相手に伝えるには、そのことに対して、自分が専門性をもち、深く理解していなければならない。
当たり前のようで、見失いがちなことを、「夢と向きあわねばならなくなった玉田さん」から教えてもらった。