江戸川大学 2年 相澤真一

 

57回ローカルデザイン研究会は、住民福祉総合研究所の所長である、木原孝久さんをゲストに招き、「住民流助け合い起こし」をテーマにお話をしていただいた。

 現在、福祉サービスは制度が整備されているが、そこに“すき間”が生じている。未だに孤独死やサービスを受けられずに頭を抱える人が存在する現実がその証明だ。サービスも専門家主導、担い手主導のどちらかに偏りがちであり、受容者、家族、サービスをする人全てが満足のいく福祉の実現がなかなかできないでいる。相談センターやボランティアセンター等を設置している地域は多々あるが、すき間が埋まらないのが現状である。

このような状況の中、木原さんを中心に行われている活動が「住民流助け合い起こし」だ。近所の人間関係をマップ化し、近所の人々と関わりの多い方を「世話焼きさん」と定める。その世話焼きさんを中心として、ご近所間でネットワークを作り、共に助け合うことで受容者はもちろんの事、受容者の家族、さらにはサービスを提供する人までもが心身ともに健康な生活を営む事が可能となるというものだ。ニーズが見えやすい、問題が小さい芽のうちにつぶせる、個々の負担が少ない等メリットが多くある。また、世話焼きさんにも小物世話焼きさん、中物世話焼きさん、大物世話焼きさんとランク付けがなされている。マップ化することによって、今までぼんやりとしか見えてなかった物がはっきりと見えるようになるし、地域の現状もはっきりと映し出されるのでかなり効果的なものだと感じた。

ご近所福祉はすき間を埋める大きな武器となるし、ご近所福祉を通じて構築されたネットワークは、福祉だけでなく、災害や犯罪にも強い町を作る。これは元々、地域のネットワークの基盤が強い町ほど有効だ。

 最後に、今回の木原さんのお話の中で私が興味を持った話が、「自助」という発想だ。助ける側の意識向上を求めるのではなく、助けられる側に意識向上を促すという発想が非常に新鮮だった。私自身、困っている人を見かけたら、進んで手助けをする事に照れを感じてしまいできないと思うが、助けを求められたら喜んで助けると思う。これは、多くの人が同じ考えを持っているはずだ。

 今回のローカルデザイン研究会でも新しい考え方を学ぶことができた。今後も主体的に参加し多くの事を学んでいきたい。