とある常連客のオハナシ。

年の頃、80は近いであろう老紳士。


いつも仕立ての良さそうなスーツと胸元にはハンカチーフ。

そして磨き上げられた靴。


いつも19時頃にご来店、

サラッと2杯程、

軽いおつまみと一緒にお召し上がりになり、サックリと帰られるらしい。

聞くところによると、地元では有名な地主さんらしい。


しかしメイドちゃん達にはすこぶる好評のお客さんだ。

風貌的にはオヒョイさんのようだとメイドちゃんは言う。


そんな老紳士だが、先日私はその老紳士に呼び出しを喰らってしまった。


家で晩飯を食べている頃に携帯が鳴り、

メイドちゃんが「お客様がお呼びなので今すぐお店に来て下さい」

と言うので慌てて家を出る。


「またメイド先生が何かやらかしたのか?」

と、内心かなりヒヤヒヤしながらチャリンコダッシュ。


額に汗を滲ませながらドアを開けると、

一番奥の席に噂に聞いた老紳士らしき人が座っており、

私に向かって手招きをしている・・・。



「ここでは何だがね・・・・」



と目で訴えて来たので、そのまま奥の事務所までお招きした。



そしてよくよくお話を伺ってみると・・・・・





○○○ちゃんのセーラー服のスカーフが欲しいと言うのだ。

“何事か?”と心配して行ったのに、「なーんだ」って面食らっちゃったよね(笑)

しかし彼にしてみれば、相当な覚悟を決めて私に話したんでしょうね。


変な話、メイドちゃんに直接交渉してみれば良い話なんだろうけど・・・。


そして私が丁重にお断りしようと思って返答に困っていると・・・・



「戦後間も無くに亡くなった私の家内に大変似ておりましてね・・・・」



ウッ・・・・そう来たか・・・・(笑)





しかし何だか憎めないこのお客様。

仕方なく「コスプレオーダー」が入った事にしてメイドちゃんを着替えさせ・・・・

難無くそのスカーフをゲット。


そのままお渡しするのも何だし・・・・・・

ってことで、裏のドンキまでケースを買いに行き、

その中に詰めてお渡ししました。


「すまないね・・・・」



と軽く手を上げて、老紳士はそのままお帰りになった。



それ以来、その老紳士はパッタリとお店に来なくなったみたい。




彼の思う所は何なのかは全く分からないけども・・・



ちょっとした“良い時間”と“思い出”を提供できたのはとても嬉しいよね。



目先の金を追いかけ過ぎてギスギスした商売するよりも

これはこれでまた良いやり方かなって。





~【本日の売り上げ】~

サントリープレミアムモルツ生:750円
久保田千寿 :1000円
スカーフ:(御気持ち)
(内、スカーフ代を除く27500はメイドちゃんへ)