眠り 1 | Side by Side -- Love Always

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ジェジュン溺愛+ユノ敬愛+チャンミン偏愛の管理人による、彼らを愛でるブログです。


この物語は完全なるフィクションです。
実在の人物をモチーフにしておりますが、実際の彼らの行動や志向には何ら関係ございません。





Side by Side -- Always Yunjae
日本から帰国して、そのまま自国のテレビ局に直行。

移動を含めて四十時間を超える、ぶっ続けのスケジュールから解放されたのは午前二時だった。

番組関係者への最後の挨拶をして局を後にする時には、チャンミンも俺も、疲れきっていて無言だった。





こういう時でも、昔は、五人のうち誰かが何か馬鹿な話をして、何とはなしに笑っていたものだが、俺もチャンミンも、残念ながらそういうキャラじゃない。

お互いを労わる気持ちはあるのだが、それを口にしたり、行動で示したりするのは、二人とも得意じゃない。

メンバーの健康を気遣ったり何かと世話を焼いたりするのは、グループ内の母親役をしていた、俺の恋人の役目だった。






「少し寝ます。着いたら起きます」

マネージメントのワゴン車に乗り込むと、チャンミンが呟くように宣言した。

黙り込んだまま仮眠に入らないのが、彼らしい。

一人だけ少し歳の離れた最年少だったからか、相手に気を使って礼儀正しくするのが、すっかり身に染みついている。





「ああ、俺も寝る。着いたら起きる」

「嘘ですね。ユノヒョンは寝ないでしょ?」

図星をさされて、俺は言葉につまった。





いつからか、スケジュールが完全に終わるまで、外ではあまり眠らなくなっていた。

車内や飛行機内はともかく、局の楽屋や写真撮影の控室では、他のメンバーが仮眠をとっている時も、俺は一人で起きていた。

ひどく疲れている時は目を閉じていたけれど、常に周囲の気配が気になっていて、眠りはなかった。





隙をみせたくなかった。

番犬のように神経を張り詰め、無防備に眠る恋人を守っていたかった。





今はもう、守るべき恋人は側にいないが、一度ついた習慣はなかなか抜けないものだ。

背もたれに身を預けて寝息を立て始めたチャンミンとは対照的に、こうしている間も俺の神経はずっと張り詰めている。











「そこで止めてくれ」

局から宿舎への途中、俺の突然の要請に、助手席に乗っていたマネージャーが、驚いた顔で後ろを振り返った。

少しうつらうつらしていたようで、慌てて今の状況を把握しようと周囲を見渡している。

その間に、バンの周囲を確認した運転手が、車を道端に寄せた。





「しかし、明日の朝の予定が・・」

バンの現在地から、俺のしようとしていることを推察したマネージャーが、不機嫌な顔で抗議する。

「明日は予定どおりでいい。朝までには宿舎に帰っておく」

「しかし・・・」





「つけて来ている奴はいるか?」

納得出来ない様子のマネージャーを無視して、運転手に問い掛けた。





「大丈夫です。全くいません。さすがにこの時間ですからね」

注意深く周囲を見ていた運転手が即答した。





少し前からアシスタントマネージャーを務めてくれている彼は優秀で、やむなく頼んだ細かな雑用なども、嫌な顔一つせずにテキパキと片付けてくれる。

時には、最近散らかりがちな俺の部屋の掃除まで率先してやってくれる、気の良い男だ。





「この荷物は部屋に持って帰って置きます。明日の朝ですが、5時半頃なら、あっちに迎えに行けますけど、それでいいですか?」

「悪い、助かる。それで頼む」





片手をあげて彼に感謝し、マネージャーが異議を唱えないうちに、バンのドアを開けた。

車を降りる時、寝たふりを続けていたチャンミンが小さく口元を緩ませたのが見えた。

すっかりお見通しだと言いたいのだろう。

一番幼かった弟は、いつの間にか、本物の最強に転身を遂げている。











恋人のマンションへの通りには人通りが全く無く、誰にも見られずに部屋の前に着くことが出来た。

合い鍵でロックを解除し、音を立てないように、そっとドアを開ける。





室内は暗く、しんと静まり返っていた。

部屋の主の気配はうかがえないが、愛猫が番犬よろしく姿を見せないところを見ると、おそらく、いるのだろう。

留守番中には侵入者を激しく警戒する恋人の愛猫は、主人がいる時にはただの気まぐれな猫に戻る。

俺としては、大切な恋人が部屋にいる時こそ、番犬の真似ごとをして守って欲しいのだが・・。





足音を忍ばせて寝室に入ると、広いベッドの片隅で眠っている恋人の姿があった。

横向きで少し身体を丸めている寝姿は、まるで子供の様だ。





ベッドサイドに座り込み、眠る恋人の髪に手を伸ばし、そっと触れた。

「随分短くしたな」と、心の中で呟く。

さらさらした前髪を掻きあげて、額にキスするのが好きだったのに。





なかなか会えない時間の中、外からの情報で、恋人が髪を短くしたというのを知った。

この間会った時に理由を聞くと、「ドラマの役作り」と笑って答えていたが、本当にそうなのか?

それならば、撮影が終わった今、なぜ更に短くした?

何かあったのか?





こんな風に、髪型一つで馬鹿な心配をする俺は、おかしいだろうか?





今、お前を起こして理由を聞いたら、きっと笑いながら「イメチェン」と答えるのだろう。

そして、俺は、「そうか」と答える。

心の中にある不安を隠して。





わかっている。

俺には、今のお前を守りきる力はない。

お前を苦しめる全てのことから、お前を助け出してやることは出来ない。





今、俺に出来るのは、ただ自分の仕事を続けることだけだ。





自分が仕える強者の願いを叶えて、この手に剣を得るために。





何をしてでも、俺は、お前に絡みつく蜘蛛の糸を断ち切って、お前を取り戻す。

一度だけ、僅かに手を離した隙に奪われてしまったお前を、必ずや、再びこの手に取り戻す。





だから、待っていて欲しい。

自分を責めるのをやめて、俺だけを信じて、待っていて欲しい。





俺は、決してお前を諦めない。

何があろうと、もう二度と、お前の手を離さない。





愛している。

お前だけを愛している。

だから・・・。




後編に続く



*****


またまた、現在進行中の話を投げ出して、突発的な短編を書いてしまいました。



何分、発作的に急きょ書いた話なので、変なところがあったら、ごめんなさい。


これに懲りずに後編も読んでやって下さいませ~~m(_ _)m


後編はアメンバー限定公開になります。


でも、いつものことですが全然たいしたことないので、

そっち方面の期待はしないでね。( ̄∇ ̄;)