rain and shine -35ページ目

rain and shine

exoプラネットからやってきた男の子たちを自重しない感じで愛でる、ほどほどに腐ったブログ。せいぜい15禁ぐらいの感じで小説を書こうかなと思ってます。レイチェンが好き。





【CHEN】


タオがクリスヒョンと喧嘩した。

と言っても、別にクリスヒョンが怒ったわけではない。SMTのコンサートで来たシンガポールのホテルで、タオが天然石のブレスレットを気に入って買った。その後、たまたま同じ店に入ってきたベッキョンが同じブレスレットを気に入って、近くにいたクリスヒョンに買ってくれるよう強請った。さほど高いものでもなかったので、クリスヒョンは自分のものと一緒に買ってくれたのだが、それを見つけたタオが、タオにも買ってと言い出したのだ。

「だってお前、さっき自分で買ったんだろ?」

腕に巻かれたブレスレットを指さしてベッキョンが言うとタオは

「でもクリスには買ってもらってないもん。」

と言う。ヒョンが呆れて

「お前が必要なものなら買ってやらないでもないけど、もう持ってるものだろ?必要ないじゃないか。」

と諭したところ、急に機嫌が悪くなり、

「タオはクリスに買って欲しいんじゃん!なんでわかんないの!」

と言い捨てて、走っていってしまった。僕とベッキョンとクリスヒョンは顔を見合わせる。

「よくわからんが悪いのは俺らしいから、気にするな。」

とクリスヒョンが言い、僕らはそれきり気にしないことにしたのだが。

夜になってもタオの機嫌は直らず、僕とイシンヒョンの部屋におしかけて、クリスヒョンと一緒の部屋で寝るのなんか嫌だからベッドを交換して欲しいと言う。仕方なくイシンヒョンがタオの代わりにクリスヒョンのところに行って、僕とタオが同室で寝ることになった。で、タオはシャワー浴びたあとバスルームで髪を乾かしながら大声で歌ってて、僕は明日のステージの英語のMCの台詞を覚えるために耳を塞いで台本を見てる。いまココ。


* * * * *


突然部屋が真っ暗になって僕は耳を塞いでいた手を離した。

「ちょ、まだ台本読んでるんだけど。」

「そんなの明日タオが教えてあげるからさ、チェナ、一緒に映画みようよ。」

「映画ぁ?」

「タオ映画は部屋暗くしてみるのが好きなんだ。」

「いやこんな時間から映画ってお前…。」

僕の言葉には頓着せずに、タオは勝手にテレビをつけて、チャンネルをどんどん変えていく。とはいえ、夜中も夜中で、地上波の映画なんかやってなくて。仕方がないからオンデマンドで、タオが観たいというカンフー映画を注文した。ああ、明日のMC…こんなんにつきあってて、英語喋れるんだろうか僕。タオの英語はいい加減だから、クリスヒョンに頼るしかないな、これ…。

観念して、あぐらをかいてベッドに座り込んでいるタオの横に並んで、枕を重ねて寄りかかる。チラッと横を見ると、真剣な顔で画面を見ている端正なタオの横顔のラインは、彫刻みたいに綺麗だった。

映画の字幕は英語で、ストーリーはよくわからなかったけど、アクションはすごくて、タオはほとんど瞬きもせずにじっと画面を見つめている。やっぱり、アクション俳優になりたいというだけあって、こういう映画を観てるときは真剣なんだな、と思ったそのとき、目は画面からまったく離さず、タオが急に言った。

「ねぇ、チェナはなんでイシンが好きなの。」

なんなんでしょうこの突発攻撃。ミネラルウォーターを口に含んでいた僕は、むせて咳き込んだ。

「ヒョンって言えよヒョンって。」

「めんどくさい…あーあー、では、ヒョンはなんでイシン哥哥が好きなのですかぁ。」

タオはわざとらしい敬語で言いなおした。

「…なんでって言われても。」

僕は頭をかいた。タオは画面から視線をずらすと僕の顔をまじまじと見つめた。

「チェナ、わかんないの?」

突っ込まれて、僕は少し考えてみる。

「そりゃいろいろあるけど…優しいとことか、」

言いかけたとたんにタオが大きな声をだした。

「そんなの!だってイシンは誰にだって優しいじゃん!」

「いやだから他にもいろいろ…」

「いろいろって、そんないい加減なことで好きになっちゃうの?」

「いい加減って、お前…」

「いい加減だよ!誰にでも優しいひとの『優しい』なんか、意味ないじゃん!」

タオはほとんど泣きそうな声を出した。僕は困って口をつぐむ。

「タオはそんなのやだよ。タオはクリスが優しいから好きなんじゃないよ。クリスがタオに優しいから好きなんだよ。その『優しい』は特別だもん。」

ははぁ…そういうことか。僕はなにかちょっと、わかったような気がした。抱きしめた枕に半分顔を埋めているタオの頭を撫でてやりながら、そっと尋ねる。

「…タオさぁ、お前ベッキョンにやきもち焼いたの?」

「やきもちなんかやいてないっ!タオ、ソコギも好きだもん。でもクリスの『特別優しい』はタオにじゃなきゃダメなんだ。」

「…だからね、そういう気持ちのことを一般的には…」

「一般的一般的ってタオ、チェナのそういうとこきらい。」

「だからヒョンって呼べって…」

「めんどくさいってば!」

はあ…

僕がため息をついたとき、タオがしくしく泣き出した。…僕、なんかした…??

「やっぱチェナにはタオのことわかんないでしょ。」

あ、いや、僕なりにわかろうと努力はしてるんだけど。

「やっぱタオのことわかってくれるのは、クリスだけなんだ…。」

え、ええーっ。そっち行くの!?

言いたいことだけ言っておいて、タオはすっかりしおれきっている。しょうがないから肩を抱き寄せてやると、タオは小さな子どもみたいに僕の胸に頭を預けてしくしく泣いた。いつだって、誰かに世話してもらわなきゃならない、身体ばっかり大きな僕の弟。

しゃくりあげる背中を抱いて、頭を撫でてやりながら、心の中で思う。お前は自分でわかってないかも知れないけど、クリスヒョンも、ベッキョンも、僕も、みんなみんな、お前のことが可愛くてしょうがないんだよ。こんなにたくさん愛されてるのに、お前はどうしてそんなに怖がるんだろう。いつだって、自分のことを一番に見ててもらわなきゃ安心できなくて。

ぽんぽんと背中を叩いてやって、タオや、と呼びかけると、濡れた切れ長の綺麗な瞳が、上目遣いに僕を見た。

「…そろそろ帰ろっか。」

そう言うと、タオは素直にこくんと頷いた。

バスルームからタオルをとってきて、涙でべたついた顔を拭いてやり、手を引いて誰もいない廊下に出る。クリスヒョンの部屋のドアをノックすると、寝ぼけ眼のヒョンが、ぼさぼさの頭で顔を出した。

「お届けものです。」

「ああ…悪いな。」

自分からは目をあわせようとせず棒立ちになっているタオの頭をくしゃくしゃっと撫でると、クリスヒョンはごく自然にタオの肩を抱いて部屋の中に入っていった。1分ほど待っていると、ほとんど目を閉じたままのイシンヒョンが、枕を抱いたままぼーっと歩いてきた。

「ヒョン、かえるよ。」

イシンヒョンの肩に手をかけて声をかけると、ヒョンは

「あー…」

と返事ともなんともつかない声を出した。

立ったまま眠りこけてしまいそうになるヒョンの手を引っぱって、部屋に戻る。ドアを閉めるなり、イシンヒョンがだらんと僕の背中にもたれかかってきたので、おんぶするみたいにしてベッドまで引きずってきた。

どっこいしょ、とベッドに腰を下ろすと、背中側からヒョンの眠たそうな声が身体に響く。

「ジョンデやぁ。」

「起きてるの?イシンヒョン。」

「…僕はねぇ、こう見えて怒ってるんだよ…」

「え、なんで?」

僕は焦って振り返る。ヒョンは、半分目を閉じたままで、身体をゆらゆら前後に揺らしながら座っていた。

「…ジョンデはさぁ、さっきタオがクリスと寝ないとかわがまま言い出したときに、『じゃあイシンヒョンとかわってもらって…』ってすぐ言ったでしょ。」

「いや、別に僕でもよかったんだけど、ヒョン疲れてるしタオの相手するのもタイヘンだろうと思って…」

「そーゆー問題では、ナイ。」

ゆらゆら揺れながら、イシンヒョンはぶんぶんと首をふった。…なんか、このひといつもと調子が違うんですけど…。

「…ね、イシンヒョン酔っ払ってるの?」

「断じて、酔っ払っては、イナイ。」

うそだ、これ絶対飲んでる。

ためしにちょっとつついてみると、ヒョンはそのままぱたんと横倒しに倒れた。あ、やば、と思って、抱き起こそうと腰をかがめる。そうしたら、ヒョンが僕の首に手を絡めて、ぐっと引き寄せてきた。目の前で、ヒョンの薄茶色の瞳が僕を見据える。

「…イシン…ヒョン…」

ヒョンはそのままの態勢で、厳かな感じで話し出した。

「ジョンデとホテル同室になるの久しぶりでしょ。」

「…えーと、そういえばそう、だったかも。」

僕は少し考えて答えた。イシンヒョンは呆れた、と言いたげに頭をふった。

「…ですからぁ。僕としてはですねぇ。久しぶりにジョンデとあんなこととかこんなこととか、色々したいなぁとか思ってたわけですよ。」

「え。」

「それを君はですねぇ、あんな風にあっさりと…」

ヒョンはそう言うと、僕の首から手を離し、ベッドの上にばったりうつ伏せになり、顔を毛布に埋めたまま、ぽかぽか両手でベッドをたたき出した。僕はどうしたらいいのやら、困りきってそんなヒョンを見下ろしている。しばらくその謎のぽかぽかをやっていたヒョンが、急にがばっと起き上がったので、僕はちょっとびっくりして後ろにひっくり返りそうになった。イシンヒョンは、バランスを崩した僕の後ろ側のヘッドボードに両手をついて、僕をその両腕の中に閉じ込めると、ぐっと顔を近づけてくる。いやいやいや、ヒョン。それ近いから。顔近すぎだから。

息を飲んで見上げている僕の額にこつんと額をあてて、視界を思いっきりふさいだイシンヒョンが、不意にいたずらっぽく笑った。

「でも赦してあげる。迎えに来たから。」

そうして、さらに近づいてきたヒョンの唇が、びっくりして半分あいたままの僕の唇を塞いで、それから僕らは…

















あんなこととかこんなこととか、イシンヒョンご希望の色んなことをしまして、朝を迎えるわけです。いまココ。








…fin



※連載おもたいので、ちょっと軽くいちゃこらさせてみたくなりました。クリタオでレイチェン。タオちゃんは、大事な人の一番じゃなきゃ嫌なんです。ちぇんちぇんはタオちゃんに対してはお兄さんしてるんです。タオちゃんがちぇんちぇんのこと年上だと思ってるかどうかははなはだ怪しいですが。