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rain and shine

exoプラネットからやってきた男の子たちを自重しない感じで愛でる、ほどほどに腐ったブログ。せいぜい15禁ぐらいの感じで小説を書こうかなと思ってます。レイチェンが好き。




【SIDE LAY】


ステージのあと、メンバーたちの支度が整うのを待ちながら、控え室前の廊下に置かれたクレーンゲームの前で、僕はちょっぴりむきになってレバーを握りしめている。ボタンを押して、ちょっとだけレバーを傾けて、狙ったカプセルの上で、STOP。ほら行け!

…と、思うんだけど、クレーンのアームは空しくカプセルの上を滑り、何もつかめないまま開始位置へ戻ってくる。

日本での初めてのファンミーティングの折り返し地点まできて、トークコーナーのこのクレーンゲームで、僕は一勝もできずにいた。カイやセフンがどんどん上達して、一回のチャレンジで10秒もかからずカプセルを拾い上げている様子を見ていると、もしかして僕って不器用だった…?なんて思ってしまって、少しばかり悔しい。


 …なんでかなぁー。


再びスタート位置についたクレーンを、少し恨めしい思いで見つめていると、

「ひょーん、何してるの。」

と澄み切った声が背中側から呼びかける。

振り返ると、僕のこの目下の憂鬱の最大の原因であるところの君が、新しいシャツに着替え、すっきりした表情で僕にふにゃりと微笑みかける。


「…練習。」

僕がほんの少し視線をそらしてぽそっと言うと、君は目を丸くし、唇を尖らせて

「ええー、クレーンゲームの?」

と問い直す。…見ればわかるじゃん。

一番見られたくない相手にこんなところを見られてしまったので、僕は少々不機嫌になる。だって、ここまで3回のゲームで、毎回あっさり僕を負かしてしまったのは、君なんだからね。

人懐っこい笑顔で近づいてくる君にわざと背を向けて、もう一度ボタンを押す。ゆらゆらとチェーンを揺らしながら横移動する銀色のクレーン。キラキラ光るカプセルの真上で、今度こそ、STOP。さあ行け!

念じた僕の願いも空しく、今回もアームは空しくカプセルの表面を滑り、クレーンはがたがたと揺れながら、開始位置に戻ってきた。

「そろそろ出るぞー。」

控え室に向かって、マネヒョンが声をかけているのが聞こえる。みんなが控え室の中からわやわやと返事をする声が聞こえ、廊下も少々騒がしくなってきた。メンバーたちにこんなとこを見られるのもかっこ悪いし、…でもあと一回だけ。

そう思いながらスタートボタンを押すと、レバーを握った僕の手を、ふと、後ろから差し伸べられた暖かさが包む。あれ、と思ってレバーを見下ろしたとき、僕が思うより少し早いタイミングで、ボタンにのせていた手が上から別の手で押されて、銀色のクレーンはそこで静止し、広げたアームを下降させはじめた。

「あ。」

思わず声をあげた僕の目の前で、水色のカプセルが三本のアームの中に吸い込まれるように収まり、クレーンと一緒に上昇をはじめる。滑るような横移動のあと、クレーンはぱっくり口を開くようにアームを広げて、ガタンという音と一緒に、カプセルが穴に吸い込まれた。

振り返ると、君が少し得意げな角度で口角を持ち上げて、悪戯っぽい目で僕を見ている。

「なんだよー。」

僕が口を尖らせると、君は何を思ったか、すっと顔を近づけて、僕の唇に触れるだけの小さなキスをした。

『イシンヒョン、可愛い。』

覚えたての日本語でそう言うと、君はわぁーい、とはしゃいだ声をあげながら、ちょうど控え室を出てきたベッキョンのところに駆けて行き、子犬みたいに身体をぶつけあいながら、駐車場への通路に向かって、皆の先に立ってすたすたと歩いてく。

「イーシン、もう行くよ。」

シウミニヒョンの腰に手をまわし、控え室を出てきたルゥハンがそう言うので、僕は取り出し口に落ちてきたカプセルをとりあえず拾ってゲーム機の上に置き、皆のあとを追った。

ベッキョンと腕を絡めて歩いている君に追いついて、パーカーのフードを掴まえてひっぱると、

「わ、首しまる。」

と言いながら、君はふらふらと身体を泳がせて、二、三歩あとずさりし、僕の腕の中に収まる。

「ねぇ、あれなに。」

背中から抱きついたまま聞くと、君は首を捻って振り返り、また悪戯っぽく笑って言った。

「ヒント。」

「ヒント?」

身体を滑らせ、君の首に腕をかけて隣を歩きながら、僕は聞きかえす。君はパーカーのポケットに両手を突っ込んで、僕の歩調にあわせて歩きながら続ける。

「キスするときって、ちょっとドキドキってするでしょ。」

「うん。」

「あの、ちょっとだけ自分が思ってるより早くなる感じ。そーゆータイミングでSTOPすればいいんだよ。」

「ふぅん。」

そう言われて考えると、少し歩みが遅くなった。君もそんな僕につきあって歩調を落とす。首をかしげて隣の顔を覗き込むと、君の長い睫が目に入る。

「…ねぇ。」

「なぁに、ヒョン?」

僕が声をかけると、君は快活に応じた。

「じゃあさ、あとでもうちょっとしてみてもいい?」

「何を。」

君は反対側から首をかしげて、僕の顔を覗き込む。

「…練習。」

そう言うと、君はまた、あっは、と澄んだ声をあげて笑った。












~FIN~

えくそたん日本初ファンミ記念。ということで、グリパおてふんお誕生日公演(2日目)のあとのレイチェンです。なんかシリアスばっかり書いてたので、甘甘なレイチェンが書きたくなって書きました。

ファンミで見てきたリアルジョンデは、頑張りやさんで健気、っていうだけの男の子じゃなくて、あれ?って感じでスマートになんでもできる子ちゃんで、なんだそれずるい!っていうぐらいかっこよかったです。そしてリアルレイしゃんも、優しくてリアル天使だったけどそれだけじゃなくて、ちょっぴり負けず嫌いな男の子っぽさとか強引なマイペースさもあって、そんな風に垣間見た彼らのこれまでのイメージとのギャップ萌えが、キャラクターに反映されてるかもしれません。

ちなみに、レイしゃんはこの翌日、しうたんとの対決で、貴重なクレーンゲーム一勝をなしとげました。きっと前日の『練習』の成果だと思います。<アホでごめんなさい。