*過失相殺について

 722条2項は、「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」と規定しています。ここで、過失には、議論があります。

 被害者側の過失とは、被害者と身分上ないしは生活関係上一体をなすと認められるような関係にある者の過失をいいます。

例えば、夫と妻は身分上ないしは生活関係上一体をなすといえます。しかし、両親より幼児の監護を委託された保育園の被用者などは、身分上ないし生活関係上一体をなすと認められるような関係にはありませんので、含まれません。

 

 次に、被害者が未成年である場合、その過失を斟酌するには、被害者たる未成年者には、事理弁識能力が備わっていれば足ります(責任弁識能力までは不要です。)。

 

 身体に対する加害行為と発生した損害との相当因果関係がある場合において、損害が加害行為のみによって通常発生する程度や範囲を超えるものであり、かつ、その損害の拡大について被害者の心因的要因が寄与しているときは、損害賠償額を定めるにつき、過失相殺の規定を類推適用して、斟酌することができます。