貴婦人の訪問 THE VISIT (2016年11月25日) ① | Pourriture noble


今年も見てきたぜ!!!!!!
胸くそワリーヤツ!!!!!!笑

‥と、言いたいところだったのですが。

全然違いました。

何これ?
同じ作品?

去年は、呆気にとられはしましたが。
泣けたりなんかは全くしなかったのに。


*クレア·ツァハナシアン(涼風 真世さん)
主人公はアルフレッドですが、この方から触れたいと思います。

『ラストを知ってるから』
と言う理由なら、昨年の2回目の観劇だって同じです。

でも。
それでは説明出来ないような‥。
まさしくオーラのようなものが、涼風さんからは立ちのぼります。

これを文章で的確に表現するなら。
どう考えても
『怪演』。
そうとしか説明出来ない。

クレアは実在の人物ではないけど。

でも、完全にクレアが涼風さんの体を乗っ取っています。

クレアは、若き日のアルフレッドを
『黒い豹』
と呼んでいましたが。

それなら、今のクレアは
『真っ白な豹』。
獲物に噛み付いて殺すのではなく。
目線だけで殺せる豹。

動きも。
足が悪いため、肩を大きく揺らせるのですが。
その肩から入る、ゆったりとした動き方も。
どこか豹っぽい。

目線は、それだけ強いのに。
彼女の外見は、びっくりするほど痩せていて、華奢で。
お肌は透き通ってしまいそうなほど白くて。
目の周りには、疲れたような赤いクマがあって。
大きな瞳は常に、泣き出しそうなほど潤んでいました。

この外見の役作りもホントに秀逸で。

どう見ても
『地獄を這いつくばって来た人』 にしか見えないのです。

美人だけど。
宝塚歌劇団の煌びやかな世界の中で。
『フェアリー』と呼ばれた愛らしさは、もうそこにはありません。

もしかしたらそれこそ、ラストを知ってるからかも知れませんが。

クレアがギュレンに帰郷し、姿を現した瞬間から、泣けて仕方ありませんでした。

『桜華に舞え』の時の感想と同じ表現をさせて頂くと。

涼風さんはまさしく、心臓から血を流していました。

じんわりと滲むように滴ったり。
動脈を一突きしたような大出血をしたり。

ズダスダ切り裂かれているようにしか見えませんでした。

昨年のクレアは。
『過去の恨みつらみを晴らしに来た、憐れな女』
にしか見えなくて。

最後の
「みんな人殺しよ!!」
ってセリフも
『えーーーーーーーーー!!!!!!(๑ŏДŏ๑)』
としか思えなくて。
不自然さすら感じたのですが。

今回は、その前の場面が秀逸で。

ずっと、豹のような目線しかしなかったクレアが。
少女のような。
可憐で弱々しい、ちっぽけなひとりの女の表情をして。
真っ直ぐ、アルフレッドを見つめるんです。
(涼風さんて、こういう表情するから凄いと思う!!!!!!)

この場面も、昨年だと。
いつまた
「死んでも許さない!!!!!!」
と、言い出すかと思ってしまったものでしたが笑

今回は、もう。
その表情からして違うので。
クレアが1幕で
「死んでも許さない!!!!!!」
とか言った事すら、忘れてました。

ラストの演出も、少しだけ変わっていて。

下手からヨタヨタしながら現れたクレアが。

中央に集まった人々を払いのけていくと、そこには息絶えたアルフレッドが横たわっていた。

という感じでした。

そんな演出の変化や、涼風さんご自身の怪演で。

「みんな人殺しよ!!!!!!」
と、号泣するお姿が。

ズシンと、胸を苦しくさせました。

クレアは、最初から本当に。
アルフレッドの命を狙っていたのでしょうか?

少し、ここが分からなくなってきました。

大変な恨みを持って生きてきたのは、凄く良く分かるのですが。

いざ、アルフレッドの姿を見たら‥。
どうだったのでしょう。

歓迎パーティの場面で。
街の人々が歌うナンバーの中で
「8回結婚した」
と歌っていらっしゃったように聞こえました。

きっと美人さんで聡明だから。
いっぱい求婚されて。

あんな田舎の男の事なんか、忘れようとした事もあったのでしょうか。
この人こそ、アルフレッドよりも素敵な男性だと思える人がいたのでしょうか。

‥でも。
きっと、それでもアルフレッドの事が忘れられなかったのでしょうね。

そう思い知らされる度に
『憎しみ』
ばかりが募ってしまったのでしょうか。

もう1度、観劇する機会があるので。
次回は、そんなとこにも注目してみたいと思います✧*。

あと。
涼風さんと言えば、歌唱力ですが。
昨年もホントに凄いと思いましたが。

今年は更に凄い!!!!!!

あんなに痩せ細った身体のどこから、あの声量や迫力が出て来るのでしょう?

胸元のボタンを苛立ちながら、掻きむしるように外し。

豹のように劇場中を走り出してしまいそうな勢いと。
途方もない掌握力をバシバシ発しながら歌う様子。

これもまた、『怪演』と言わせる所以です。