メゾソプラノの悩みはいろいろです。 | 末広貴美子の日日是好日 

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メゾソプラノ歌手・末広貴美子が綴る日々のことやオペラのこと

ここのところ勉強している課題の作曲者は、プッチーニ、ポンキエッリ、マスカーニ、ヴェルディ、+ 仏語のオペラアリア少し黄色い花(カルメンとサムソンとデリラ) という感じで、イタリアでの「蝶々夫人」すずき役の前後を含めこの2年くらいは 少し重めの課題ばかりだった。。。雷



「蝶々夫人」のすずき役は、それほど歌う箇所は多くないし、そんなに中低音を頑張って出さなくても良い(むしろ中~高音を綺麗に出すことのほうが大切かも)ので、私の声にはちょうど良い役だったのだが。。。 所謂、前述のヴェリズモ(写実主義・・・より劇的な声でよりリアルに人間感情を表現すべしという流派)の作曲家の曲を歌おうとすると、何かが自分に足りないと思うのか、何か特別なことをしようとしてしまうらしい。。。あせる つまり、立派な声を少しでも出したくて、必要以上に力んだり、重みをつけたりして、少し不自然な、歪んだ声になりがちだったように思う。反省、反省。。。あせるあせる




私は、元はソプラノから出発しただけあり、そんなに重く深い声ではない。メゾソプラノの中ではよりソプラノに近いところに位置している筈なのに、いろいろチャレンジしたくなってメラメラ(それは素晴らしい楽曲が多いし、これまでの素晴らしい歌手たちに大いに触発されてのことなのだが)、つい欲張ってしまうのかもしれないあせる



何年か前に、ヴェルディ「アイーダ」のソリストオーディションがあり、果敢にもアムネリス役にチャレンジしたことがあったカエル。当時お世話になっていた先生は、私のチャレンジ表明にピクリともせず(おそらく無謀なことを言い出したとお思いになっておられただろうが。。。)「頑張ってみなさい。」と背中を押してくださった。レッスンで、それらしい深い声を必死に出そうとしていた私に「なんで偽りの声を出しているの!? あなたの声でやらなきゃ意味がないでしょ!!と一喝してくださったことがあった。 その一喝で目が覚めて、できるだけ自分の自然な声で、無理せずにドラマティックに響くポイントを見つけようと努力した黄色い花



オーディション会場で、しばらく前に某オペラで共演したことがあるメゾの方と偶然お会いした。もちろん彼女も受験者であり、同じ役を受けるのだった「あらこんにちは。今日はズボン役の募集はないわよ。」と。。。ズボン役とは少年役のことで軽めの高い声を担うことが多いのだが。。。ちょっと胸にメラっメラメラと炎が燃え上がりそうになったが、すぐに消火して「せいぜいがんばってみます~べーっだ!音譜と切り返してみた。本番ではレッスンで出来たことはすべて出せたし、健闘したと思うけど(当時としては)、結果は出ず。ちなみに失礼な発言をされたその方も残念ながら落選。後で知ったことだが、私の前に歌われた方が役に受かっていたようだった。袖で聞いていたけれど、それは美しい伸びのある声だった。。。っぱり、美しい声でなきゃダメなんだ合格 そう、思った。


私は、何で強迫観念みたいにメゾソプラノは「深く、低く、太い」のがよい声、と思い込んでしまっているのか。。。まぁ、確かにメゾやアルトの役は、ドロドロした役が多いから(笑)、より表現しようとしてしまうのかもしれないけれど。「半分ソプラノ」なのがメゾなんだから、自分の一番綺麗な響きの声で良いのだビックリマーク、言い聞かせている。海外で活躍しているメゾは、下の声はもちろん素晴らしいけど、綺麗な中~高音を持っていない人はいないから。自分のレパートリーを確立しようとして躍起になりすぎているのかもしれません。


頭をかきむしって悩んでいると、ふと、メゾになるにあたって渡伊し、レッスンしていただいたラウラ・ロンディ先生の言葉がよみがえってきました「声が成長すれば何でも歌えるようになるから。焦らずにじっくり育てないといけないよ。モーツァルト、ロッシーニをしっかり勉強してからねサーチ時計。」と帰国前のレッスンで何回も言い聞かされていたことだった。。。


迷わずに、基本に立ち返り、今やっていることに加えて、車輪のもう一つのように勉強し直してみようキラキラ、と思った。まずは、メゾになるきっかけになった「コシファントゥッテ」のドラベッラ役、「セビリヤの理髪師」のロジーナ役を。近いうちに発表できますように天使。 日々、がんばろう虹