■政府・日銀、相次ぐ「景気」上方修正 先行き楽観論なし
■雇用悪化懸念「さらなる浮揚策を」
政府が5月の月例経済報告で景気の基調判断を3年3カ月ぶりに上方修正した。日銀も22日に景気判断を2年10カ月ぶりに上方修正しており、景気が「最悪期を脱した」(与謝野馨財務・金融・経済財政担当相)との共通認識に立つ。だが、日本経済の先行きについて楽観はできない。政府は過去最大規模の景気対策(国会で審議中)を打ち出したものの、景気が二番底に向かう可能性は否定できず、「いずれもう一段の景気対策が必要」(民間エコノミスト)との声もある。(田端素央)
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「景況感の改善が見られるのは早くても平成22年度以降だろう」(農林中金総合研究所)。25日に複数の民間調査機関が公表した21~22年度の経済見通しに関するリポートによると、当面は回復実感に乏しい状況が続くとの見方が示された。
景気の下押し圧力として政府がもっとも懸念するのが雇用情勢の悪化だ。雇用調整圧力が一段と強まれば、個人消費に深刻なダメージを与えるのは確実。すでに3月の完全失業率は4・8%。雇用統計は景気に遅れて動くため、失業率が「警戒水準」ともいえる5%を突破するのは時間の問題との見方が強まっている。
大手企業の夏のボーナスは昨年夏から2割近く減る見通しで、収入や雇用への不安が解消されなければ、国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費は上向かない。
新型インフルエンザという新たな波乱要因も出てきた。感染が拡大した関西地方では旅行や娯楽産業などで多額の経済損失が発生している。もっとも外需依存型の日本経済にとっては、「最近の保護主義と相まって世界貿易の縮小を引き起こすことが最悪のシナリオ」(大和総研)だ。
政府は25日に発表した月例経済報告の中で、過去最大規模の景気対策について「景気を下支えする効果が期待される」としているが、市場では「効果は22年前半までに出尽くす」(第一生命経済研究所)との見方が大勢。肝心の米国経済が回復軌道に戻るのは22年度後半とみられ、審議中の景気対策が“息切れ”した後のさらなる景気浮揚策を練ることも早晩必要になるだろう。
同様に景気判断を上方修正した日銀も「先行きの見通しは不確実性が高い」(白川方明(まさあき)総裁)となお厳しい見方を崩しておらず、金融政策を転換できる状況にはほど遠い。
出典:産経新聞
