毎日、数多くのニュースが飛び交う中で、心に残ったニュースがあった。
広島県でアルコール性認知症の息子を母親が殺害したという事件。
息子は、55歳、母親は80歳。その裁判があった。
ホテル勤務の夜勤明けの昼間に睡眠を取る必要からアルコールを摂取し始めたのがきっかけだと言う。
やがて、職は変わるが、アルコールの量は増えていき、昏睡状態に陥り、アルコール性認知症となる。
お酒を買いに出る為に、靴下をはこうとしたものの、手に持っていたのは、ハンカチとティッシュだった。
母親は、かわいそうな気持ちでいっぱいだったと言う。
やがて、医療保護入院をしたものの、息子は自分がどこにいるかもわからない状態で、
回復の見込みはないと告げられ、母親は目の前が真っ暗になる。
それでも、まだ少しでも良くなるかも知れないとの思いから、母親は、毎週欠かさず、病院に通った。
入院中は、穏やかな様子で、外出許可をきっかけに、退院する事になるが、酒を求める様になり、もう面倒を見るのは難しく、楽にさせてやりたいと思ったと言う。
5月5日、こどもの日、タクシーでホームセンターに向かい、缶ビールを購入、近くの川土手でビールを飲ませた後に、元気が出る薬と噓をついて、睡眠導入剤を飲ませ、眠り始めた息子に何度もごめんねと声をかけて、ロープで首を絞め殺害した。
母親は、裁判の最終陳述で来世で会えることを信じて生きていきたいと涙ながらに語ったと言う。
法を犯した事に違いはないが、この親子の愛には、嘘偽りはなく、社会全体で弱者が追い詰められる事態を回避する事が出来ないのかと自問自答している。