本気で隠れ家にしておきたい、とっておきのワインバー。

本気なので、ここに店名は書きません。


こちらは今回で二回目の来店。

前回伺ったのは、調べてみたら2008年でした。



その時の印象があまりに強烈だったので、実はブログにも書いちゃってます。
どうしても気になる方は、過去ログ検索してください(笑)


どんなところか一言でいうと、癖のつよーいソムリエさんが、とっておきのビンテージワインを丁寧に管理しているマニアックなワインバーです。


はい。

本当にマニアックです。


いい作り手だのグランクリュだのの古酒を揃えているところは多々ありますが、

こちらはマイナーな作り手のものや、オフビンテージと言われるものや、単なる村名クラスのワインに至るまですべて古酒。


しかも、そのどれもが素晴らしい状態。


決して有名ではない作り手のアラフォーピュリニィーが、どうして?っていうくらい若々しい。

グラスの中で、ぐんぐんとその魅力を発揮してくる。




「ワインはどう過ごしてきたかが大切です」

「年数なんて、ただの記号です」

「おじさんみたいな新入社員もいれば、年をとっても若々しい人だっているでしょ」


彼の口からは、まるでお芝居を見ているかのように流暢でドラマチックな言葉が次から次へと出てくるけれど、そのどれもが伊達じゃないことは、目の前のワインが証明してくれています。




誰が、いつ、どういう想いで作ったものか。

そこからどのように保管され、今に至るのか。


自分の手元にあるワインがどういう歴史をたどり、今どういう状態で存在しているかを熟知したうえで適切に管理をし、ふさわしいと思うお客様に提供する。


ワインが「時を超える芸術」である以上、
「ソムリエ」という仕事の真骨頂は、こういうところにあるのだなと。



ああ、そうだ。

そう書いていてふと思ったけど、これってまるで古物商みたいですね。


このお店は、腕の確かな古物商が経営する、骨董品屋さんみたいなものなんだ。


ただ、骨董品とワインの大きな違いは、

その出会いが刹那的なものであるということ。


飲んでしまえば何も残らない。

共に過ごす時間を慈しむ、儚い一瞬の芸術であるということ。




「どんなに分厚い財布を持っても、出会わなければ払えませんから。」


そんな言葉が胸に刺さるほど、今回も素敵な出会いがありました。




79年のムートンヌは、複雑で、シンプルで、ピュアで、妖艶で、若々しくて、熟練味があって、

私のつたない経験では分類しきれないほど、たくさんの魅力を含んでいたし、


ジャック・カシューのエシェゾー83は、驚くほど力強く若々しく、

64ヌフデュパプは、凝縮した旨みの塊のようなワインだった。



でも、これ以上記録するのはやめましょう。

おぼろげな思い出の中に、味わいの記憶があればいいんです。


ワインとの出会いは、まさに一期一会。
その瞬間だけの、泡沫の世界。