先日、サロン・デュ・ショコラ関係のお友達にお声を掛けていただいて、

数年前から話題になっている「L'As ラス」 にお邪魔してきました。



移転前も含め、今回が初体験キラキラ

業界の内外から賛否両論聞いていたので、諸々楽しみにしながらやってきました。


ラスは、5250円のコース一本のみ。二週間に一度、メニューが変わります。

ワインは、シャンパーニュ+4種のグラスワインでこちらも5250円。


「お店に行ったらお店のワインに従え」がモットーなので、当然ワインのセットもお願いします。

〆て10500円。

内容によって、高くも安くも感じそうな値段設定が憎いですね!


グラスワインのラインナップは、マリアージュを考えてコースが変わるごとに変わるとか。

なかなか面白いセレクションだったので、今回はあえてワインのみに焦点を当ててご紹介します。



まずは食前酒を兼ねたシャンパーニュ。

写真撮るの忘れましたが、マグナムでした。


銘柄は失念☆


ま、何にしてもマグナムボトルから注がれるとテンション上がります。

満席×2回転のお店だからできる技ですね~。裏山!!



そこから定番のフォアグラに合わせてのワインがこちら。



「これはおまけなので、ちゃんとあと4杯出てきますよー」とお兄さん。


やっぱりフォアグラには甘口なのかな。

食事の最初にこってり甘口は好きでないのですが、パシュランク・デュ・ヴィックビルは酸味もきれいで許容範囲♪

でも、フォアグラ自体のまったりした香りやキャラメルの香りがあまり強くなかったので、これなら辛口白でも行けたかな?


次に出てきたホワイトアスパラガスの前菜にはこちら。



シュナンブランらしく、はちみつや花梨の香りをまとったロワールの辛口白です。


うん。やっぱり地域を合わせるマリアージュはいいですね。

個人的には、トマトの青っぽい香りと生のアスパラに関してはSBが欲しいところだったけど。



次の前菜は、ウズラの卵を添えたトリュフ入りのポレンタ。



出てきたのは、ニュージーランド・マールボロのシャルドネです。

これはものすごくインパクトがあって美味しかった!

樽の香りもしっかり効いていて余韻も長い。おまけにアタックから最後まで続く酸のきれいなことラブラブ

これはね、誰しもが素直に「美味しい」と感じるシャルドネですよ。


ポレンタのクリーミーさともしっかりバランスが取れていてよかったです。

欲を言えば、後掛けのオリーヴオイルの香りが余分だったかな…。



そして、お魚料理は真鯛のポワレ。


赤ワインとホタルイカを使ったソースに、付け合わせもホタルイカと菜の花。

う~ん、春らしいですねえ♪


そこに、ワインはなんと赤!



しかもラングドック!

…と思ったけど、このサンソー100%、なかなかですよ。

エレガントでさらりとしてて、どこかヨーデーなニュアンスがある。


ホタルイカの苦味と、柔らかい赤ワインのタンニンが悪くないです。

磯の香りも、どっちがどっち?みたいな感覚に陥っておもしろい。


こういうマリアージュが、食卓の醍醐味だったりしますよねえ(´艸`*)



そして、メインにはなんとイタリアのバルバレスコが登場♪



お料理は、鴨肉をカダイフで巻いてフィンガーフード状に仕立てた一皿。


最近の流行なのか、こういうジャンクフード系で出してくるフレンチって時々見かけますよね。


ファーストフードに何の魅力も感じない私としては、コース一万円以上の高級店でこれ系のものを出されると本気で腹が立ってくるわけですが。

5000円のコースなら、「まあ面白いじゃん!」と思えてしまう価格マジック(笑)


ワインとの相性的にはまずまずといったところでしょうか。

許容範囲です。ぜんぜん。



で。

今回なにがよかったかというと、ワイン全体できちんと「流れ」ができていたということ。


個々のマリアージュにこだわりすぎて、ワイン自体の流れを無視したデギュスタシオンが多い中、

こちらではきちんとワインの流れを楽しませてもらえました。


あとはね。

フレンチなのに、ボルドーもブルゴーニュも出てこなかったんですよ。

それどころか、ピノ・ノワールやカベルネ・ソーヴィニヨンすら出てこない。


フレンチっつったら、どこ行ってもブルゴーニュとシャンパーニュをずらりと並べてるじゃないですか。

意味もなく。

グラスワイン頼んだって、ありがたそうにブルゴーニュばっかり出てくるところがほとんど。


それが、潔くゼロ。

代わりに、ニュージーランドやらイタリアやらが平気で並んで出てきてるわけですよ。


これって、ワインバーなんかでは至極あたりまえなことかもしれないけど、

フレンチとしては何気にすごいことだなあと。


私も、グラースでは日本ワインをかなり置いていましたし、友人が作っているニュージーランドのワインも置いていましたけどね。

それでも、やっぱりどこか見えない「縛り」みたいなものがあって、それ以外はすべてフランスだったりとかしてましたよ。

イタリアワインとか、嫌いなわけじゃないけどお店では扱えなかった。


それをものの見事にあっさり切り崩して、お客様が適正な価格で「美味しい」と思えるワインを自由に選んでる。

そうそう。それでいいんですよね。

ブルゴーニュなんて毎年高騰してて、有名な作り手のワインなんてものすごい価格になっちゃってるんだから。

ブランドにこだわらず、自分たちが「美味しくてお買い得」と思えるワインをお客様に提供していくことのほうが大切なんですよね。

この柔軟さは、まさにワインバー以上、レストラン以下。


ラスが賛否両論分かれる理由はここにあるのかもしれませんが、

同時に人気の秘密も、ここにあるのかもしれません。


いやはや、いろんな意味で本当に勉強させていただきました。

お話が楽しくて時間があっという間だったけれど、気兼ねなく素敵な時間を過ごせたことは確かです。


なかなか予約が取れない人気店ですが、ご興味のある方はぜひ♪