この題名を言ったら、実際にフランスで子育てを経験した二人の女性から、
「いや、100倍楽だ。」という共通の感想をいただきました。
この本がおもしろいのは、実際にフランスで主夫として子育てを経験した男性が書いているところ。
具体的な家族を例に挙げて両国の実情比較し、そこから見えてくる日本の少子化の原因を探っています。
男性として、主夫として、日本人として、フランスでの生活経験者として、
性別や国籍に偏らない客観的な立場からの考察なので、なかなか説得力があっておもしろいです。
大雑把に言うと、
「子供は社会全体で育てる」という認識が、政府はもちろん一般の家庭までしっかり浸透しているフランスと、
「子育ては自己責任」という中途半端にアメリカナイズされた個人主義が市民権を得ている日本との違いといったところでしょうか。
これを読むと、日本の少子化はなるべくしてなったということがわかります。
要は、
「産むのは勝手だけど、あとは自分でちゃんと育ててよね。」
と言われるのと、
「産まれたらみんなでいい子に育てようね。」
と言われるのと、
どっちが産む気になるかってこと。
もちろん、フランスのやり方にも問題は多いけど、
日本が大きく方向転換しなきゃいけないことには違いないんですよね。
フランスでは子育ての費用はほとんど税金で賄われるので、
経済的な心配はほとんどないといいます。
日本では子育ての経済的な負担が大きいことに加え、
女性が仕事と子育てを両立する環境が整っていないことも大きな問題です。
日本で働く女性は、まだまだ本当に肩身が狭い。
職場では、フルタイムで働けなかったり残業ができなかったりで周りに気を遣い、
家庭では、保護者会に行けなかったり習い事のお手伝いができなかったりで周りに気を遣い。
どこにいっても、「子供がいるのに仕事なんかしてるから悪いんだ」と言われている気がする。
「両方手に入れようなんて贅沢だ」と言われている気がする。
この認識は、私たちの親の世代から何も変わっていない気がします。
大企業に守られながら働いている人たちはまだ恵まれているけれど、
そうでない人は、どうしたってどちらかを犠牲にしなければ続かないのです。
女の人だけが育児と自己実現の二者択一を迫られるなんて、
考えたらほんとにおかしな話ですよね。
子育ても仕事も友人関係も、みんなが少しずつ気持ちよく共有できる社会になったら、
もっともっと子育てが楽になるのになあとつくづく思います。
税金の使い道にしろ、社会のあり方にしろ、考えさせられることの多い一冊でした☆