一年ちょっと書き続けてきた「Cafeサンキュ!」のブログコーナーが、明日で終了になります。
最後の記事はこちら☆
http://39.benesse.ne.jp/blog/hachisukakiko/archive/59#BlogEntryExtend
が、ブログコーナーが閉鎖されて過去のデータがどうなるかわからないので、
念のため、こちらでも同じ記事を抜粋してあげておくことにしますね。
日ごろから思っていたことをまとめたつもりですが、まとまりきらずまた長文
プロの方々にとっては、何言ってんだ?!的なこともあるかもしれませんが、
無名のいちソムリエールのたわごととご容赦ください
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「自然派ワイン」って言う言葉、みなさんよく耳にしますよね。
自然派ブームといえるほど、「自然派ワイン」っていうだけでなんとなく体に良さそうだったり、
美味しそうだったり、そしてなんとなくお値段もお高めだったりしますが、
じゃあなにをもって「自然派」とするのかというのは、実はとても曖昧。
ワインの場合、ブドウ栽培とワイン醸造という二つの工程がありますし、
野菜や果物よりも事態は複雑になります。
一般的には、「無農薬栽培」、「有機栽培」、「酸化防止剤無添加」、などの用語が
「自然派」をイメージさせますね。
実際お店でも、「これは有機栽培のワインですか?」とか「酸化防止剤は使ってませんか?」などの質問はよくいただきます。
でも私は、「自然派」って、何かひとつの言葉や作業だけで線引きができるものではないと思っています。
あくまでも個人的な意見ですが、私にとっての「自然派ワイン」は、
「自然を尊重し、自然に寄り添い、自然のあるがままの姿をより美しくボトルの中に閉じ込めようとする人の努力が詰まったワイン」
なのです。
ワインは人が作るものです。
ただ何もせず自然にまかせっきりでは、美味しいワインはできません。
いくら「それが自然だから」といっても、何の手も加えていなければ、それは人を楽しまてくれる「ワイン」という飲み物ではありません。
だからといって、人間の嗜好や都合に合わせるためにあらゆる手を加え、自然の恵みを強引に人間側にぐいと引き寄せて作ったワインには、人間の傲慢さが見え隠れします。
自然と人とは、相容れない生き物です。
人間は、所詮自然からの脱落者。
自然に逆らわなければ生きていけない動物です。
だからこそ、その中で少しでも自然を慈しみ、敬い、共存しようとする努力する人の想いに、私は大きな魅力を感じます。
私にとっての「自然派ワイン」とは、そういう人たちによって生み出されたワインです。
自然を優先しながら作業をするということは、想像以上にたくさんの手間と努力と忍耐が必要になります。
そのぎりぎりの努力の過程において、ほんの少しの酸化防止剤を使用したり、ほんの少しの農薬を使用したりすることは、決して彼らを「自然派」のカテゴリーから追い出すものではありません。
自然の荒々しさを一手に引き受け、その感動を私たちに伝えようと労力を惜しまない「人」がいる。
その人たちの想いの中にこそ、「自然派ワイン」の本当の魅力があると思うのです。
私たちのレストランでは「自然派ワイン」を扱っている、とよく言われますが、
それはつまり、そういう作り手さんたちの想いが詰まったワインをセレクトしているということです。
だから、「ここに来れば酸化防止剤無添加のワインが飲める」とかっていうことではないんです。
すみません。
もちろん、「自然派」という言葉の定義は人によって違います。
あくまでも個人的な想いですので、そのあたりはご容赦くださいね。
でも、もしみなさんがちょっとでも興味を持って下さったら、酸化防止剤や農薬の有無だけにこだわらず、
どんな思いでそのワインが作られたのかに目を向けてみてください。
きっと、今まで気がつかなかったワインの魅力が見えてくるはずです。
「人」を感動させられるのは、やっぱり「人」ですから。
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私もいつか、料理やワインで人を感動させられるようになりたいなあ。。