毎週定休日は、できるかぎり家族でレストランに出かけます。
仕事をしているとなかなか他のレストランを見る機会がないので、お勉強も兼ねて。
先週は、地元吉祥寺のフレンチでディナーでした。
「L'atelier de Gout」という、女性シェフが腕をふるう小さなフレンチです。
オープンしたのが、ちょうど2年ちょっと前かな?
吉祥寺にお店を出したいと思っていた私たちは、当時から興味津々だったのですが、
なにしろ予約がとれないほどの人気ぶり。
しばらくあきらめていたのですが、その時はラッキーなことに席が取れました。
しかも子連れOKってうれしい
店内は、外から見るより意外に広々。天井が高いからかな?
せまーい!という印象はありません。
エッフェルがところどころに置かれていたり、厨房の上の大きな黒板にフランス語がのっていたりと、
ちゃんとフランス料理店っぽくてかわいい内装。
お料理も、とってもとってもよかったです。
シンプルだし、今どきなオシャレ感はないけど、ちゃんと気持ちの入ったお料理でした。
美味しいものを食べてもらおうと、ひとつひとつに気を遣っているのがわかるお料理でした。
素直に、「うん、美味しい!」と思えるお料理でした。
なにより好印象だったのが、店主の女性シェフがほとんど一人で料理をこなしているということ。
カウンターのお客さんとお話をしながら、てきぱきと料理を仕上げていきます。
すごい。
一人でお店を切り盛りするというのは、想像以上に体力と精神力のいる仕事です。
私も小さいビストロでシェフをしていた時期がありますが、あくまでも雇われシェフ。
自分で全てを切り盛りするのと、ただ調理場で料理を出しているだけなのとは、天と地ほどに違います。
当時はすごく大変だと思っていましたが、自分で経営を見る立場になった今となっては、
ずいぶん気楽にやらせてもらっていたなと思います。
どんなに小さなレストランでも、飲食店を開き、それを維持していくというのは本当に大変なこと。
よほどの覚悟がなければできません。
特に女性にとっては、結婚や出産などが大きなハードルになります。
料理人という仕事は、日本において子育てと両立するにはあまりにも大変な仕事です。
お見送りをしてくれた女性シェフのたくましい姿をみながら、
これからも頑張ってほしいと、心の底からエールを送りました。
帰りがけに主人が、「KIKOもこういうお店やりたかった?」
と声をかけてきました。
答えは、イエスでありノーであり。
料理を志した身として、レストランという空間を持ちたかったのは本当。
料理教室の先生とか料理研究家とかいうものに憧れたことは、実のところ一度もありません。
純粋に、「レストラン」という場所でお客様に料理を作る仕事がしたかった。
だけれど、
果たして自分の手で店を開き、それを維持し続ける覚悟があったかと言われると、NO。
それは子供がいるからとか結婚したからとかではなくて、
たとえ独身で自由でパワーあふれる時代であっても、私にはその覚悟が持てなかった。
一生、自分の力でひとつの店を守っていくという覚悟ができなかった。
結局、私って根性無しなんだよなあと過去を振り返って、
今こうして夫婦二人でお店を持ったことは、本当に幸せなことだと感じます。
今もものすごく苦労は多いけど、一人で抱えることに比べたらちっぽけな苦労かもしれません。
夢を実現できたことに感謝しながら、前向きに頑張っていかなくちゃ。
しばらくして、もう少し気持ちにも時間にもゆとりが持てるようになったら、
念願だった自分のお店にも挑戦してみようかな?
なんだかいろいろなことが頭をめぐった、
定休日のディナータイムでした