戦争が終わった

それはあまりにもあっけなくあまりにも実感がなかった

こんなにも簡単に終わるものなのかと

僕はしばらく僕らが壊した街を呆然と眺めていた

僕らが壊した荒地となりかけている街を呆然と眺めて

何故僕らはこんなことをやってきたのだろうと

泣きたくてたまらなかった

ひどく辛くて、体がきしんで死んでしまいたい衝動に駆られていたとき

ふと母国に残してきた家族や友人のことが思い浮かんだ

帰らなきゃ 思ってしまうとそうせずにはいらせなかった

僕は、急いで帰った

あんなにも鮮明だった母国はこの場では霞んでしまった

それほどに僕らの街はあまりにも変わりすぎていた

それは僕らが壊してきた街よりもひどい有様だった

建物という建物は全て崩れ去り地は真っ黒

それに死体がそこかしこに転がっていた

僕は重い足取りで家族や友達を探した

誰でもいい 誰か知ってる人に会いたかった

母や妹や友達の名前を呼ぶ僕の声はとても悲痛で痛々しく

迷子になった子供のような声だった

手当たり次第探しても見つけることができなくて途方にくれていると

何処からか誰かのラジオに流れる天皇の声が崩れた地に響いていた

戦争が終わり平和が来たのだと

僕は遠くに聞こえる天皇の声に途方にくれた 

コレが平和? 

僕は思わずラジオの声に毒づいた

僕らは国を守るため、国を良くするために戦ってきたのに

コレでは戦争をする前のほうがまだ平和だと言えた

一体この戦争によって誰かが幸せになれたのだろうか。

だれかがとくをしたのだろうか?
やりきれない気持ちになって近くにあった石を思いっきり投げた

石が飛んでいった辺りの焼き焦げた木の下で

子供が固く動かない母に縋って泣いていた

それを見て僕も一緒に泣きたくなった

僕たちの追い求めた平和は一体何処に行ってしまったのだろう。

きっと誰も答えを持ってはいない