久々のロールキャベツを満喫して満足したところで、懐かしの歌舞伎町めぐりをしたいと思い
「歌舞伎町ずいぶんと変わったみたいだし、懐かしいからちょっと歩いてみていい?」
と言ってアカシアを後にしました。
十数年ぶりに歩いてみると見たことのない綺麗なビルがあり、かと思えば昔懐かしの喫茶店や食べ物屋さんがあったりと新旧入り混ざって懐かしいやら関心するやらで、キョロキョロと上下左右見回しながら歩いて完全なるお上りさん状態です。
で、彼女の方はと見てみると何やら私の話などうわの空で関心無さそう。
「まあそりゃそうか、懐かしいのは私だけで彼女にしてみたら私に付き合ってただ歩いてるだけだもんな」
とちょっと申し訳ない気持ちもありつつ一通り歩いたところで、これまた昔懐かしの「ルノワール」があるじゃないですか。
「ここでコーヒー飲んで休んで帰ろうか」
「はい」
ということで中に入ってメニューを見ていると、私の大好物のアップルパイがあるじゃないですか。
ラッキー!
とばかりに私はコーヒーとアップルパイ。
彼女はコーヒーとミルクレープを注文。
しばらくまた話をしているとしばらくして想像もしていなかった一言が。
「私、あの後てっきりホテルに行くのだと思ってましたよ。」
「????」
「えっ!? 何で???」
彼女、「だってあれだけ深くて濃い話をした後に歌舞伎町に行こうって言われたら普通そう思うじゃないですか」
「!!」
そこではたと我に帰り
「そりゃそうだよね。ゴメンゴメン。」
東京近郊に住んでいる方ならお分かりと思いますが、歌舞伎町といえば新宿駅に近い方は日本でも有数の娯楽の街。
映画館やゲームセンター、カラオケなどなど若者を中心とした娯楽と、おしゃれなカフェや飲み屋食べ物屋が立ち並ぶ街。
でも一歩その奥に足を踏み入れると、これまた日本で有数のラブホテルが立ち並ぶ大人の世界なのです。
ウブな中学生のデートじゃあるまいし、いい歳した大人の男女があれだけ深くて濃い話をした後に「歌舞伎町行こうか」と言われたらそりゃぁ誘われたと思うのが自然ですよね。
ところが私は懐かしのロールキャベツと十数年ぶりに歩く歌舞伎町の街並みのことしか頭に無く、またそもそも私にとって彼女は話し相手、相談相手という認識しか無く、そういう関係になるという考えが全く無かったので
・・・彼女がうわの空で無関心そうだったのはそのせい。
彼女曰く、
「これってやっぱり同意の上っていうことになるんだよね。」
「この人ってこういう誘い方する人なんだ。」
「でも手ぶらだし、道具は何も持ってない筈だけど何するつもりだろう?」
「その割には景色の話ばかりしてるし、何なんだろう?」
「ちょっとラブホ街とは違う方向に曲がったからやっぱり違うのかな?」
などなど、
そんなことが頭の中でグルングルン駆け巡っていて、とても私の話など聞くどころの話では無かったとのこと。
「ゴメンゴメン」
「ホントですよ全くーっ!!
ここに来るまで本当に色々な事考えちゃったんですからね!」
と言って笑って許してくれましたが。
いい歳したオッサンが本当に能天気というか、私のアホさ加減に我ながらホトホト呆れ果てて心底大笑いしてしまいました。
彼女とのこの関係はとても心地よく、お互いにいい話し相手としてこの関係を続けていけたらいいなと思っています。
私にははるがいるし、彼女にもご主人様がいますので。
お互いそこに割って入るようなことは全く考えていません。
そういう相手って初めてだし、貴重な存在だと思います。
ちなみに、前回の更新から今回の更新までの間に彼女の気持ちは固まったようです。
「離れたく無い」
彼女の素直な気持ち。
お互いに正面から向き合っていい関係を築いて、たくさん惚気話とほんのちょっとの愚痴を聞かせて欲しいものです。