自分でも吃驚した。
こんな感情を持つことになるだなんて。
生まれて初めて、嫉妬、した。
あの人が他の子に抱きつかれたと聞いて。
私はおどけてみせたけど、苦しかった。辛かった。何より怖かった。
居なくなってしまうのではないか。
消えてしまうのではないか。
気持ちを惜しみなく伝えてくれるあの人が、居てくれることが当たり前だと思いかけていた。
怖かった。
恐ろしかった。
ただの「鎖」に、ただの「鎖」だったはずなのに、
いつの間にか私は「好き」と感じていたのに気づいて。
大切なものをなくすと辛いから、大切なものを作らないようにしてきた。
ただの道具。ただの人。ただの鎖。
私を逃げられなくする鎖でもいいと言ったあの人が、鎖じゃなくなってしまった。
本当は苦しかった、辛かった、
おどけるのも、笑うのも。
泣きたかった。
こんなに息が苦しいのは初めてだった。
でも、変なプライドが邪魔をした。
そんなことにいちいち心を乱されるような人間じゃない、
何より私が、それだけ大切なものがあると認められなかった、認めるわけにはいかなかった。
なくしたら辛くなるような程大切なものは、作らないはずだったから。
けど、今は認める。
大切なんだ、好きなんだ、ということをこんな酷く醜い感情から知るだなんて皮肉なものだと我ながら思うけれど。
ああ、好きなんだ。
私は、あの人のことが。
素直に「わたし、死んでもいいわ」って、言えるようになれそうかな。