ずっと奇妙なフィルターがかかっているような物語だった。
こちら側とあちら側の境界線をいつの間に超えてしまったんだろう。

境界を超える瞬間は身近に潜んでいるのかもしれない。
そんな気持ちになる短編集だった。




冬也に一目惚れした加奈子は、恋の行方を知りたくて禁断の占いに手を出してしまう。鏡の前に蝋燭を並べ、向こうを見ると――子どもの頃、誰もが覗き込んだ異界への扉を、青春ミステリの旗手が鮮やかに描く。 短編集。(あらすじより引用)


辻村深月せんせいの本を久しぶりに読んだ。
やっぱり好きだ。
去年は辻村先生の本ばかりを読んでいたな。

「冷たい校舎の時は止まる」や、「子どもたちは夜と遊ぶ」で辻村先生のホラーちっくな所に触れてきた。
この本が1番ホラー要素が強くて背中がゾッとしたり心臓がバクバクしたりした。

誰もが小さい時に触れたことがある怪談や都市伝説が背景にあるので、読みながら子供の頃の感覚を思い出すはず!

中でも、「おとうさん、したいがあるよ」の話が面白かった。
場面を想像するとシュール過ぎて読む手が止まらなかった。
あんな奇妙な感覚は久しぶり!!!

個人的に最初の話の「踊り場の花子」は怖いんだけど、シンガーソングライターのさユりが好きなので、さゆりという名の女の子が出てきてテンションが上がってしまった。


最後の話「八月の天変地異」は、ゾゾっとするホラーではなく心があったかいオレンジ色に包まれるような境界線だった。
最後に光がみえる。
こういうところが辻村先生らしいな、なんて素人ながら感じました。