装丁と題名で何となく気になって手に取った

本です。
紫のアリス

不倫を清算し会社を辞めた紗季は、夜の公園で男の死体と「不思議の国のアリス」のウサギを見る。果たして幻覚か?引越したマンションで、隣人の老婦人のお節介に悩む紗季に元不倫相手が自殺したという知らせが。一方「アリス」をモチーフにした奇妙なメッセージによって、十五年前のある事件の記憶が蘇る。(内容紹介より)
あとがきで作者が書かれているように、遊園地の
迷路から出られなくなった子供のような気持ちでずっと読んでました。
リアリティがある表現で書かれているのに
得たいの知れない恐怖が常に背後にある
なんともいえない怖さがありました。
不思議な怖さは、語り手である主人公自体の
記憶が曖昧だった事が要因かもしれません。
思い出せない不安。
何を思い出すか分からない不安。
不思議の国のアリスが持つ不安と恐怖。
人間の曖昧な記憶をとても緻密に練り上げて
出来たお話だと思います。
見事に伏線を回収出来ていたので、再読したら
また違った意味で楽しめそうです。
終わりは謎が残る私の好きなイヤミスってやつでした。