掛けまくも畏き | laphroaig-10さんのブログ

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○掛けまくも畏き


 「掛けまく」の意味は、「心にかけること」と「じかに言葉を口にすること」とが考えられますが、祝詞の場合は、後者の意味だと思います。神や天皇を話題にするときの慣用表現であり、『萬葉集』にも「かけまくはあやにかしこし」(八一三)の例があります。


 さらに「かけまく」について、日本で最も大きな辞典『日本国語大辞典』(小学館)を引いてみると次のようにあります。


かけまく(「まく」は推量の助動詞「む」のク語法。助詞「も」を伴って用いられることが多い)
言葉に出して言うこと。心に考えること。思うこと。

*万葉(8C後)三・二八五「栲領布(たくひれ)の懸巻(かけまく)ほしき妹の名を此の背の山に懸けばいかにあらむ〈丹比笠麻呂〉」
*万葉五・八一三「可既麻久(カケマク)は あやにかしこし たらしひめ 神の命〈山上憶良〉」
*続日本紀-慶雲四年(770)四月五日・宣命「掛(かけまく)も畏(かしこ)き天皇(すめら)が御世御世仕へ奉りて」
*枕(10C終)二四・おひさきなく「かけまくもかしこき御前をはじめ奉りて」
*ぎやどぺかどる(1599)下・四・四「御主きりしと 掛まくも忝くもうけ堪へ給ふ御苦しみを観ずるにをひては」

 「畏し」…《海・山・坂・道・岩・風・雷など、あらゆる自然の事物に精霊を認め、それらの霊威に対して感じる、古代日本人の身も心もすくむような畏怖の気持ちをいうのが原義。転じて、畏怖すべき立場・能力をもった、人・生き物や一般の現象も形容する。上代では「ゆゆし」と併用されることが多いが、「ゆゆし」は物ごとに対してタブーと感じる気持ちをいう。》


自然に対する「畏し」の気持ちを保ちつつ、自然の恵みに感謝する生活をめざしたいものです。