・東シナ海ガス田問題で中国側が譲歩? ~払拭できない疑念~ | アジアの真実

・東シナ海ガス田問題で中国側が譲歩? ~払拭できない疑念~

「白樺ガス田」共同開発、対象海域詰めへ…日中首脳で確認:読売

 福田首相と胡錦濤・中国国家主席が7日の首脳会談で確認した東シナ海のガス田問題を巡る「進展」が、日中中間線付近の中国側にある白樺ガス田(中国名・春暁)を含めた海域での共同開発であることが明らかになった。

 複数の日中交渉筋が明らかにした。同ガス田を含む共同開発の海域をどこまで広げるかや、出資方法、利益配分などは、今後詰めの協議を行う。日本政府は胡主席の再来日が予定されている7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)までに正式合意に達したい考えだ。

 この問題で日本は、中間線をまたぐ海域での共同開発を主張してきた。これに対し中国は、中間線より中国側の海域での共同開発に応じると、沖縄西側の沖縄トラフ(海底の溝)までの大陸棚に中国の権益が及ぶとする主張を取り下げることにつながるため、難色を示してきた経緯がある。交渉筋によると、今回の「進展」は、中間線の問題に触れないことで、中国の理解を得たという。

 両首脳は会談後の記者会見で具体的な「進展」の中身を示さなかったが、交渉筋は、白樺ガス田を巡る日本の主張に中国が理解を示したものであることを明らかにした。同ガス田は、中国による開発が最終段階にあると見られることから、日本が他のガス田に先駆けた共同開発を中国に打診していた。首相周辺は「7月の北海道洞爺湖サミットの際の胡主席再来日までに内容を詰め、発表できるだろう」としている。

 日中首脳会談では、このほか、首相が北京五輪の成功に向けた協力を約束し、チベット問題でダライ・ラマ14世側との対話を継続するよう求めた。地球温暖化問題に関しては、中国の石炭火力発電所が二酸化炭素など温室効果ガスの主要な排出源となっていることを踏まえ、発電所で二酸化炭素を回収し、これを中国の油田の地層に封入する事業に日本が技術協力することで合意した。歴史問題を巡っては、胡主席が「平和、友好、協力が日中の進むべき道だと歴史の教訓に教わった」と述べたが、1998年の江沢民国家主席(当時)の来日時に比べ、未来志向の立場を明確にした。

 首脳会談を受け、両政府は今後の協力関係の具体策を盛り込んだ合意文書の発表に向けた協議を行った。文書にはチベット問題などを念頭に、2000年以来中断されている「日中人権対話」の再開などが盛り込まれることになっており、8日に公表される見通し。

 胡主席は首脳会談後、主要各党の党首と個別に会談し、7日夜には皇居での宮中晩さん会に出席した。


 昨日の報道で発表されていた、日中首脳会談の要旨では、数々の問題に対して全く進展がない上辺の挨拶程度の内容だったため、本日のこの報道には少々驚かされました。これまで、東シナ海ガス田問題では幾度となく日中間で協議が行われてきましたが、日中中間線を絶対に認めたくない中国側は、「中間線をまたぐ白樺ガス田は全て中国側のものであり、共同開発などありえない。もし共同開発したいのであれば、日中中間線から奥深く日本側へ入った沖縄近海であれば話に乗らないこともない。」 こういう態度を取り続けてきました。

 ところが今回の報道はそれを覆して、中国が中間線付近の今まで絶対に譲らなかった地点の共同開発に応じることで大筋合意したとすれば、それは2004年にこの問題が始まって依頼の大変な進展ということになります。これが本当なら、小泉-安倍ラインが作った日本の方向を根本的に覆すような言動しか取ってこなかった福田首相もここに来て大きな偉業を成したとも言えるかもしれません。
 しかし、正直私は大きな疑念を持っています。「中国が何の見返りもなく、易々とこのような譲歩をするわけがない。何か裏があるのではないか」と疑うのは、中国という国の本質を知っている人であれば誰もが持つ疑念のはずです。

 例えば、現在中国の最大のウィークポイントである北京オリンピックをだしに使い、首相の開会式出席と引換えにガス田問題で全ての譲歩を引き出した等というのであれば、日本も大した外交手腕を身につけたものだと関心するところですが、実際は広い目で見れば中国側圧倒的有利な取引をしたのではないかという疑念が払拭できません。上記の読売の記事上には、共同開発の海域などの詳細や利益分配はまだ今後ということですが、ここに落とし穴が隠されていないでしょうか。

 日本と中国、お互いが平等・円満に解決できるのは以下のラインです。


1.日中中間線をまたぐ海域では共同開発を行う。

2.共同開発の際の費用・利益分担は、地下埋蔵量の大小により平等に行う。

3.日中中間線より日本側の海域では日本が独自開発を行う。

4.日中中間線より中国側の海域では中国が独自開発を行う。


 これらのバランスが崩れれば、どちらかが大きく損をすることになります。例えば、今回1については合意。4も必然的に守られたが、3については日本側の領域も中国と共同開発で合意した。さらに2についても中国有利な条件で合意となれば、日本は中国に全て奪われたと言っても過言ではないのです。


 今回の報道で明らかになったのは上記項目の1の、それも一部のガス田だけの話です。2-4については今後どう転ぶかはわかりませんが、もし2-4については中国側に有利な状況で合意したとしたら、福田政権は取り返しのつかない失策を行ったことになります。

 この問題は今後も注意深く追っていこうと思います。国民も上辺だけの共同開発合意に騙されてはいけません。


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