ヒッチコックの鳥 「傑作と評判だけど、、。」 | 映画と音楽のある生活

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主に映画と昔聞いたレコードの感想などを書いています。

 

この映画を初めて見たのが、ゴールデン洋画劇場だった思う。高島忠夫が随分大袈裟に怖がって解説していたのを覚えています。 この映画は、小学生の私をトラウマに陥れた「サイコ」の後に

作られた作品です。怖いもの見たさの興味が高まりますが、見た後の感想としては、「全然怖くなかった。」です。多分もう私も中学生くらいになっていたので、ある程度の血が出るシーンには免疫ができていたのでしょう。

 子供にまず退屈なのは、鳥が人を襲うパニックシーンを期待させる割には、前半が長々と女性主人公と相手役の弁護士との恋愛ドラマを見せられます。まあ、サイコにも関係ないシーンが前半続くのですが、その後の畳みかける様なドラマの進展に恐怖するので、最後まで手に汗をにぎることになります。

 それなのに、この「鳥」は案外人間が襲われてからもそんない怖くないのですね。やっぱり動物としての鳥そのものがあまり怖くないからでしょう。「ジョーズ」の様にサメなら、やっぱり怖いですよね。 

 一晩、目張りをした家に立てこもり、翌朝になるとおとなしくなった大群に気づかれない様に逃げる。というのは、「ナイト・オブ・ザリビングデッド」を連想させます。

 やっぱり、この作品のラストをあっけなくしているのは、何故

鳥が突然人間を襲ったかという「理由」が全く明らかにされずに

終わっているところです。

 通常の怪獣映画なら、鳥が人間を襲う原因を作った、例えば

「科学工場」の悪者博士当たりが真っ先に鳥に殺されるのですけどね。

 巨匠ヒッチコックの作品を、たんなる怪獣映画と比べてはいけません。この作品以降、手を変え品を変え、類似の作品ができましたが、これは傑作というものがないもの事実だと思います。

                 NHKBSで再視聴