家族ゲーム「現代日本の閉そく感」 | 映画と音楽のある生活

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 83年公開の作品。当時かなり有名になったが、テレビ版を少し見た程度だった。テレビ版と映画は、基本的な設定以外ストーリーは、全く異なっている。

 特徴的なのは、評論でも沢山とりあげられているが、家族が横一列に並ぶ食事シーンだろう。これは、当時たくさんあったホームドラマの食事シーンのアンチテーゼであることは容易に想像できる。寺内貫太郎一家では視聴者が見やすい様にコの字で食事をしていたが、これも不自然だ。

 そして、食事中家族が会話をする訳でもなく、やたらに大きな咀嚼音を立てて食事をする。この演出が、劇中の家族の関係性を上手に表現している。

  出演者としては、もう亡くなってしまった松田優作と伊丹十三がやはり印象的である。松田優作のなんとも無表情な爬虫類的ともいえる表情は、その後のブラックレインの演技を想像させる。伊丹十三は、この映画の翌年に自身で「お葬式」のメガホンを取っている。

 受験に学校崩壊にいじめと、日本の当時から今へ続く閉そく感を強く感じる。カテゴリーとして、この作品はコメディらしいけど笑えるところは、ほとんど無かった。

                                                     NHKBSで視聴