あの頃の私からの手紙

 

ガンのケア病棟で働いていた時のこと。

清掃業だった私は、7年間でたくさんの方々に出会った。

そんな過去の私からの手紙を書いてみた。

 

生きていてくれて、ありがとう。

ここは、決して軽くはない場所。
毎日が命と隣り合わせで、心が押しつぶされそうになることもある。
それでも私は、自分の“役目”を感じている。

寂しくて、つらくて、涙が出る日もあるけれど、
それ以上に、やりがいを感じていた。
少しでも誰かの一日が軽く、清らかに過ごせるように。
そんな想いで、今日も病棟をきれいにしているよ。

「人のため」に頑張りすぎることもあったけれど、
それでも“人のため”だからこそ、生きがいを感じられた。
必要とされていることが、ただただありがたかった。
私はいつも思っていたの。
「どうすれば、相手に気持ちよく過ごしてもらえるだろう?」
そこに希望を置き、光を感じてもらえるようにと。

 

「毎日あなたの笑顔で元気もらえてるのよ」

そう言ってくださる患者様がいた。

たかが清掃業。されど清掃業だと思ってる。

 

私はいるよ。
いつでもいるよ。
大丈夫だよ。
安心して治療してね。

そうやって、いつも心の中で語りかけていた。

 

1番風呂を楽しみにしてくれていた人もいたよね。


「あなたが準備してくれるお風呂がいちばん気持ちいい」


そう言ってもらえた日の嬉しさは、今でも忘れられない。


私の小さな行動を楽しみに日々を生きてくれる人がいた。
そのことが、どれほど私を支えてくれたかわからない。

“お互い様”なんだよね。

 

私が誰かを支えようとしていたように、
誰かも私を支えてくれていた。
その優しさの循環が、私を今日まで生かしてくれたんだと思う。