「嘘を上手につくのも
ある種の能力の一部だ」と

テレビで言っているのを聞いたことがある。


たしかにそうだ。



それこそテレビに出ているタレントさんだって
本当の自分ではない嘘の自分で

キャラ作りしていたりも当然するし


役者さんなら
自分は医者だとか犯罪者だとか

その役になり切るには
自分に嘘をつかなくちゃいけない。


役作りのために普段は好まないところに出向いたり
好きでは無いファッションに身をまとったり。




そもそも

そういう職業の人は本当の自分も
わからなくなったりするのではないか。

自分はひょうきんなのか真面目なのか
清楚なのか、悪なのか




人は誰でもいろんな自分を持っている。

職場では真面目さが求められるから
求められるままにふるまう。



常識的な社会人として
当たり前のことではあるが

そういったコントロールができるのだから

自分に嘘をつくことも
他人に嘘をつくことも



本来誰もが簡単にできることなのだと思う。



「嘘を上手につけなくて~」

という人は

これから嘘をつくんだと
気持ちが先走りしてしまっているから

挙動不審になったり、焦りがうまれ
嘘が見破られる。



でも、自分はこういう人間なんだと思い込んだり

今つこうとしている「嘘」を

それが事実なんだと
自分に言い聞かせれば

嘘はその人の中で本当になるかもしれない。





バラエティ番組のバックで笑い屋がいることがある。

「あはははっ」と笑い声を出すエキストラ。

面白くないのに笑っているあれも嘘の一種。



演技上手は嘘も上手だと思うし
自己暗示がうまい人も嘘が上手だと思う。



私たちはたいてい「嘘をつくな」と育てられたはずだから

嘘という言葉にネガティブなものを感じたり
イコール悪をイメージしたりするけれど


実際「嘘」とは事実ではないことを
事実のように伝えること。

そこにポジティブもネガティブもないのではないか。


誰かの嘘に救われる人もいる。


美容師さんが
「髪がきれいですね」といってくれたり

それが事実ではなくても嬉しくて
髪のケアにより力をいれたり


一生懸命作った手作りのお菓子を
「とってもおいしいよ」といってくれたら

それが明日の励みになるのは確かなのだ。





いろいろな形の嘘がある。



人を傷つける嘘。

人を慰める嘘。

人を安心させる嘘。

人を恐怖に落とす嘘。

じゃれあうための甘えんぼの嘘。

異性を落とすための甘い嘘。




私は「嘘はいけない」と言い切りたくない。





嘘でもいいから
「今も変わらずかわいいよ」って言われたい。



できれば薄っぺらでない言葉で
上手な嘘に身を委ねたいときもある。