どこかの広告で見たフレーズ。
『通勤電車で20%の人が一目惚れを経験した事がある』
確か、缶コーヒーか何かの広告だったが
そのフレーズを見た時妙に納得をしている自分が居た。
なぜならばその20%にしっかり自分も入っているからだ。
(そんなアンケートに答えた覚えはないけども)
朝の通勤電車
車窓から見えるいつもと変わらぬ風景。
そんな退屈な景色に
稀に飛び込んでくる一輪の華。
勿論、勘違いされては困るので(特に満員電車では)
良く見る事すら出来ないけどそんな一輪の華に出会った日は
朝からちょっと得した気になる。
ただ、得した気分、と言っても
ただそれだけ。
また遭遇する事も無ければ
遭遇したとしても気付かないぐらい忘れてたり。
所詮、そんな程度の事。
でも、男なら素敵な女性に目がいくのは仕方がないよね~
そんな話しを仕事の移動中、電車に乗っている時にしていました。
仕事が終わり家路に向かう最中
夕食を買いに近所のスーパーに寄る。
料理なんてほとんどしない為
惣菜コーナーの前で本日のメニューを思案中の僕の視界に
一輪の華が飛び込んできた。
凝視した訳では無いので
正確には『一輪の華』かどうかは分からない。
かと言って目で追う事も出来ず
そのまま何事も無かったかの様に夕食選びを始める。
暫くして
夕食の買い物客で賑わうレジで支払いを済ませる。
お釣りを待つ間
一人の女性が僕の前を横切る。
一瞬、目が合った、すぐその後
彼女がまた振り返り再び目が合う。
さっきの惣菜コーナーの人だった。
その事に気付いたと同時に
更に気付いた事がある。
その一輪の華を見たのは初めてじゃなかったのだ。
数ヶ月前、
家に向かう駅までの一本道で自転車に乗った女性が向かってきた。
お互いの進行方向が逆だった為
どんどんと女性は近付いてくる。
女性が僕の数メートル前のところまで差し掛かった時に
彼女の上着のポケットから何かが落ちた。
少し離れていた為に何だったかは分からないけども
僕が『あっ!』っと気付くのと同時に彼女もそれに気付き
すぐに引き返し落とし物を拾っていた。
恥ずかしさもあってか
少しはにかみながら僕の前を通り過ぎる彼女。
そんな彼女を見た時に
僕の視界が一瞬スローモーションになったのを今でも良く覚えている。
BGMまでインしてきたその瞬間は
まさしく
『一目惚れ』の
瞬間でした。
あんなにガツンとやられたのは
いつぶりだろう。
名前すら知らない彼女
あんな人がこの町に住んでるんだ
そう考えただけでその日はうきうきしながら帰ったのを
今でも良く覚えている。
同時に
もう見る事も無いんだろうなと、現実を噛み締めた事も。
しかし
スーパーでお釣りを待ってる時に
見かけた女性はまさしくその時の女性だった。
なぜなら
振り返った彼女と目が合った時
視界がスローモーション
そしてBGMがイン
数ヶ月経っている筈なのに
しっかり覚えていた。
それと同時に
またこのまま見とれるだけでホントにいいのか?
もう一人の僕が囁く。
その囁きを聞いた瞬間
お釣りを渡される時間が非常に長く感じ始めた。
クソ!
こんな時に限って小銭だらけだ。
そうこうしている内に彼女の足は
スーパーの出口へ向かっている。
お釣りよ、早くしてくれ!
ようやく差し出されたお釣りを受け取り
急いで夕食を袋に詰め込む。
お弁当の向きなんて、この際どうでも良い!
そして………
次回に続く
