安住家の敷地は村の全域、すべてだった。

そして、その境界にはランドマークのように石が点々と埋め込まれてあった。それはもう、草や木で隠れてしまって見えなくなってはいたが、安住の者はその石の歌(ソング)を聴きとれた。石から石をつたって歩き、その歌を聴きながら村に異変がないかを感じ取るのだった。境界のものは、この石囲いの外から入って来る者達であった。つまり、よそ者だ。その者たちは、良いものをもたらす時は神と呼ばれ、災いをもたらす時は魔物と呼ばれた。

 

 定期的にこの地域に入って来て福をもたらす神を、境界の神と呼んでいた。

みけらんじぇろはそんな境界の神の1柱であった。