夫の不倫観察日記~阿修羅のごとく~ -2ページ目

家族旅行

『浮気されてる妻ならではの妄想』・・・・・・・ね。


それは確かに否めない。


生活をともにしている「妻の勘」ってのは侮れないと自負しているが

夫の全てを把握しているわけではないし

桜さんの確かな心情を知る術も無いのだから

「妄想だ」と言われても仕方が無い。


でも良いほうも悪いほうも、どちらもいくつものパターンを想像し

想定しておくことが、結果を受け入れる上では大事なんだ。



浮気するからには夫婦仲がマズイとか

浮気されるからには妻に原因があるとか

たとえ男性側がそう言ったとして、人を信じることは悪いことではないけれど

不公平な関係を求めてきた人の言葉を鵜呑みにしたり

不公平な関係を受け入れた者が、自分に都合よくだけ事を解釈すること

それは想像力の欠如だ。


それゆえ、想像を超えた出来事に遭遇すると

自分で自分がしてきた選択を棚に上げ

「騙された」なんて他人に責任をなすり付けるようなことをするのだ。

なすりつけようとしてもいいけれど、それで本当に気が済むのだろうか?

他人に責任を転嫁しているから

いつまでも現状を受け入れることが出来ないのだ。

自分が自分のしてきた選択を噛み締めることが

一番早く現状を受け入れられるし、一番早く前へ進めるんだ。



夫がキチンと別れを告げていないから

彼女は不倫を終われずに居るのか

夫はキチンと別れを告げたけれど

彼女は愛情か執着か意地かなんかで不倫を終われずに居るのか

それは想像を超えない。


ただ、私にとって事実なのは

桜さんにお会いした時に

「不倫は終わってます」と言って

「2度とふたりでは会いません」という誓約書を書いたことと

壊しかけた家庭を立て直すために必死で頑張っている夫の今の行動のみだ。



不倫の結果が愛人の思い通りに行かなかったからって


「野放しにした妻にも責任があるから謝罪しろ」って?


ずっと妻の存在を無視してきたのではないのか?

ずっと妻の存在を鬱陶しいと思ってきたのではないのか?


なんで今さら仲間に入れようとすんのさっ。



不倫がいいことだとは思わないけれど

夫が少々遊ぶことを、私はいいと思っている。

妻以外の女性と楽しみたいこともあるだろう。

かと言って野放しってことではない。

頑丈な太い首輪と長い鎖はつけている。

鎖の長さ以上の場所へ行こうとしたら、首が絞まるのだ。

以前これは、ここで、ひとつの例えとして話した。


もし、この鎖の長さが原因で、通りすがりの人に

いきなり飛びついたとか、咬み付いたというのなら

その場で鎖を引いて躾けるし、飼い主として謝罪もする。


だけど、飼い主が居ることを知っている人が

ちょっと尻尾を振ったことを気に入って

飼い主に黙って勝手に連れ歩いたんだ。

一度直接「珍獣ですよ」と注意したのにも関わらず

鎖が長いことをいいことに、勝手を続けたのだ。

それで「咬まれました 謝罪しろ」と訴えられても、知らんがな。


「お気の毒でしたね ご自分で手当てなさってください」としか言えない。



今回桜さんがどんなアクションを起こしたんだとしても

夫の愛人を気に掛けて、旅行をキャンセルするほど

私はいい人ではないし

家庭を再建しようとしている夫が、桜さんを気遣うより家族を選んだのは

最もなことだ。




予定通り、我が家はママ友家族と旅行へ行って来た。


日本とハワイの距離感を、キキはまったくつかめていなかったけれど

気温と空気と香りで雰囲気を感じ取り

いっきにテンションをあげていた。


キキが1歳に成ったばかりのときにもハワイへ行っている。

産後しばらくぶりのリフレッシュと休暇を目論んでいたのだが

当時、キキはまだオッパイを飲んでいたし

何をするにもママ必須だったため

リフレッシュにはなったものの、休暇とは無縁だった。

父親の自覚がいまいちだった夫は

それなりに頑張っていたのかもしれないけれど役不足だった。


だけど今回は違った。


最近のキキは、私にジェラシーを覚えるようになったらしく

「ママはあっち行ってて」と言って夫を独り占めしようとするときがある。

私はわずかながら、自由な時間を持てるようになったし

夫も変わった。

色々な意味で、徐々に父親になってきているのだろう。


ひとりでショッピングにも出かけさせてもらったり

家族でビーチで遊んだり

ママ友家族と、ローカルならではのビーチまで足を延ばしたり

ママ友家族と、観光客ならではの食事をした。


ローカルなビーチでは、人もまばらで

子供たちは奇声をあげて波と戯れ、走り回った。

観光客お決まりの、鉄板焼き屋では

煙が立ち昇るパフォーマンスに

子供たちは雄たけびを上げて手を叩いていた。


キキのハイパーな姿を見て、夫婦は笑いあった。

家族で旅行に来たことを、私は・・・・・・

たぶん夫も、幸せだと感じていたように思う。


休暇、リフレッシュ、家族団欒、全て大満足だった。




私は、今回の不倫によって

夫を一緒に生きて生きたい人だと再確認してきた。

散々やらかしてきた夫を

「不倫が終わったらいじめてやる計画」は順調に進めているけれど

家庭に頑張っている今の夫を、私が拒絶するはずが無い。


「愛人」というお立場の方について、私なりに考えはあるけれど

それで桜さんを責めようなんてこれっぽちも思わない。


彼女には、自分でも不思議なくらい、怒りも嫉妬も恨みも無いのだ。


ただただ、どうでもいい。



私が今大事にしたいのは、当たり前だけど

桜さんの現在ではなく、私の現在だ。


ずっと変わらず、夫が一番悪いと思っている。

だけど、最後に妻が庇うのは

愛人ではなく夫なのだ。


夫婦だから。




























アクション

家族旅行の2日前だった。


早起きのキキに叩き起こされたが

前夜、深夜まで夫と他愛も無い話をしていた私はどうにも眠たくて

グダグダとしていた。


夜通しで、まだ起きていた夫が

「ららちゃん もうすこし寝てていいよ」と言うので 

お言葉に甘えてキキを夫に託し、もうひと眠りすることにした。



「ママ・・・・・・」


どのくらい寝ただろう・・・ベッドサイドでキキが私を呼んだ。


「あら もう9時前なんだ・・・ごめんね 起きるね  パパは?」



ケイタイに電話が掛かってきて夫は外に出て行ったのだという。

キキの話だけでは要領がつかめず、私はすぐにベッドから出た。



夫がいない。



「今出て行ったばかり」だとキキは言うのだが

それにしたって2歳児のキキを放って置き去りにするとはどういうことだ!!!


5分ほどして夫が戻った。


「ちょっと!!ひどいじゃない!!

  何も言わずにキキをひとりで置いていかないでよ!!!」


「あ・・・・ごめんね・・・・・」



キキの危険性を考えて私はプンプンしていたのだが

夫の表情を見て「ハッ」とした。



顔面蒼白だ!!!



どうしたの?と尋ねるまでも無い。

私なんかより、もともとはよっぽど気遣いの細かい夫が

黙ってキキをひとり残して行くなんて考えにくい。


何かただならぬ事態が発生したのだ!!!



夫はソワソワ・・・というよりイライラしていた。

わしゃわしゃと頭を掻き毟っていた。



数分経って

夫の会社の社員のお父さんが突然倒れたのだけれど

社員本人と連絡が取れず、夫へ電話が掛かってきたのだと言う。

「ケイタイの電源を切って、会社で寝ているかもしれないので

様子を見てこようかと思う」

と言い出した。



・・・・・・その内容の電話で、夫が顔面蒼白になるのはちょっと違う気がする。

もろもろの事情や状況を含めて、夫のその話を事実とするのは考えにくい。



「そう」


夫は出かける準備をはじめるため、隣室にこもった。

またケイタイが鳴った。



「あー あー はい 403ね わかったっ」



夫は面倒そうに応対し、乱暴にケイタイを切った感じだった。

そして大きな溜め息を吐いたのが聞こえた。



「今夜のお食事はいけないのかしら?」



この日は、我が夫婦のとある記念日で

夜、食事に出かけることになっていたのだ。



「いや お昼頃までには絶対帰ってくるから・・・・ 待ってて」


「わかった 気をつけてね」


「うん」


「いってらっしゃい」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


3ヶ月前だ。


同じマンションのママ友と、公園で子供を遊ばせていた。

彼女の旦那さんはハワイ出身のアメリカ人で

9月にそのご主人の実家に帰省するのだという。



「いいな~帰省先がリゾートって羨ましいっ」



「ららちゃんも一緒に行かない? 子供たち喜ぶと思わない?」




おっ!!ステキな話。キキにとっても私にとっても楽しそうだ。




「旦那さん お休み取れそう?」




それはどうだろう・・・・

3ヶ月も先の仕事の都合は私にはわからないし

それ以前に、最近、すっかりしっぽり家族と暮らしている夫にとって

もう終わりかけているとはいえ

妻子が日本に居ない時間は貴重で、やっぱり桜さんと・・・

なのかもしれないし

もしくは桜さんの手前、家族で海外旅行というのもねぇ・・・・




「どうかな~・・・仕事もあるだろうし 仕事がどうにかなっても

 彼女のことがあるし 行かないんじゃないかな~・・・・・・・」



「まだ続いてるの?最近の旦那さんはどうみてもマイホームパパだけど・・・

                      もう終わってるんじゃない?」




「いや~イタ電は続いてるからねぇ・・・・・

 でも もしパパが行けなくてもキキとふたりで行くわよ」





私はキキとふたりでハワイへ行こうと考えていた。

この話を夫にすれば、夫が好んで行かないならもちろんだろうし

仕事で行けなくても「あら ステキ いってらっしゃい」と言うだろう。



しばらくして、夫が出勤前に公園へ顔を出した。




「ねえ 9月にアスちゃん達ハワイ行くんだって」


「いいわね~ 帰省ですか?」


「そうなんです ご都合がつくならご一緒にどうですか?」


「行きたいな~」


「あら ステキね~」




ほら来た。




「行こうかっ」




ん? 


「いってらっしゃい」ではなく「行こうかっ」?




「パパ 行けるの?」


「うん 行こう 今年はお正月行けなかったしね

    スケジュール調整するよ ぜひ一緒に行きましょう」





へ~・・・・・・行くんだ・・・・・・・・・




それにしても・・・・「お正月行けなかったしね」って・・・・



何を さも正当な理由で行けなかったかのように言ってんの!!!



アンタの不倫による散財のせいで行けなかったんじゃないの!!!





夫は「楽しみね」なんてニコニコしながら出かけていった。



アスちゃんと私は「「行こうかっ」だって・・・・・」と顔を見合わせた。

「行くらしいね」とふたりで噴出してしまった。



夫も行くことになって、互いの家族の予定をすり合わせ

両家族でハワイへ行くことになった。



だけど・・・


家族で海外旅行なんて行って大丈夫か?

桜さんは、我が家族の旅行を

       静かに見送ってくれるのだろうか・・・・・・



ずっと気がかりだったんだ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



夫は話していたとおり、お昼前に帰宅した。


倒れたというお父さんの病状を少し話し出したが、すぐに止めた。

そして「大丈夫だった」とだけ言った。


私も「よかったね」とだけ言った。


「ありがとう ごめんね・・・・・」



夫の「ごめんね」で

やっぱり桜さんが何かアクションをおこしたのだと確信した。


「倒れたお父さん」の話を、私が鼻から信じていなかったことを

夫は気づいたんだ。




桜さんは、我が家の家族旅行を静かに見送ることが出来なかったんだと

私は思っている。


最初、桜さんが我が家に押し入る勢いで

近所までやって来たのではないか、と考えたのだが

夫が確認していた「403」

ここで桜さんは夫がやってきてくれるのを待っていたのかもしれない。


桜さんが何を言ったのか何をしたのか

夫も話さないし、私も聞かないのだから、真相は闇の中だ。

ただ、夫にとって頭を掻き毟るほどイライラし

大きく溜め息を吐くほど不本意な事態であったことは確かだ。



最近の夫の生活は、明らかに桜さんから遠ざかっていた。

そして桜さんを遠ざけていた。

夫自身の不倫は終わっているんだ。


でも、桜さんは終われずにいる。

愛情なのか執着なのか意地なのかわからないけれど。


夫は決して「桜さんを遊んでやろう」と思って不倫に至ったわけではないと思う。

恋したんだ。

だけど、だからといって現実的に先のことを考えていたわけでもない。


不倫と言う夢の世界には泥酔していたけれど

妻に無理やり現実に引き戻されてからは

案外早く酔いは醒めていたように思う。

いや、私以上に、桜さんによって現実に引き戻されたのかもしれない。


妻より愛人を好きになったとか

結局、愛人より妻のほうが好きだったとか

そんなことではないと思う。


ただ、不倫は不倫以上にはならなかったってことだろう。



この日、夫を引き止めることはできたと思うけれど

「行け!!行って来い!!!」

と思った。


夫にとって不倫は終わっても

桜さんが終わっていなければ、不倫は続いているのと同じだ。


不本意な事態、全て自業自得なんだ。


夫自身の言動が、こういう事態を招いたのだ。



このバカタレが!!!


噛み締めろ!!!



















自虐行為Ⅱ

『可愛げ』 ね~・・・・・・・・・・・



おっしゃるとおり、男女ともに可愛げは大事だ。

これは異性に対して大きな武器になる。



「愛人には可愛げがある」のか・・・・・・・・・


だけど

「可愛げが大事」って認識している時点で明らかに計算だし

「可愛げが大事」って意識しているところがすでに可愛げがない。



でも、みんなそういうもんだよな。

なかなか生粋の可愛げのある女性ってのにはお会いしない。

いや、生粋が存在することがまず難しい。

女性は幼い頃から「可愛い」って言葉を意識して育つし

異性を意識するようになったら「可愛げ」って言葉だって意識せざるを得ない。


だから、女性という生き物にとって『可愛げ』は計算できる。簡単に演出できる。

生粋でなくても演出で十分なんだ。

10人の女性のうち9人があざといと気づく演出であっても

大概の男性は、それを演出だと気づかないからだ。



んなことは経験済みだ。

10代の頃から鍛錬してきた。



でも時間が限られている恋人や愛人と違って

毎日顔を合わせ現実を抱えて一緒に生きている夫婦という関係においては

そうそう可愛げばっかり出しちゃいられない。

忙しいんだ。




私がこのブログで書いてる理屈屁理屈は、そうね、どう考えても可愛げがない。

だけど、私がこんなことを思っていることを、夫は知らない。


私が「太い」ということは知っているし

夫との直接対決のときに見せる私の豹変振りには怯えていると思うし

しょちゅう可愛げを演出している暇はないのだが

鍛錬の賜物、状況を見ながら、そこそこ駆使している。


素直な気持ちを全て訴えて膨れたり泣いたり怒ったりすがってはいないけど

このブログのように日々憎ったらしく過ごしているわけでもない。


夫が私に可愛げを感じているかどうかは知らんけど。




私にはなくて、愛人が持っている『可愛げ』って何だ?


素直な気持ちを訴えること?甘えること?泣くこと?すがること?




愛人が可愛いのは

本来現実的である女性が、自分と一緒に現実から目を逸らしてくれるからだ。

愛人が愛しいのは

世の女性も妻も、男女平等の関係を訴えている中で

既婚者と独身者という不平等の関係を受け入れてくれるからだ。


愛人が『可愛げ』を演出するとしたら

もし現実を直視していても、現実から目を逸らし続けているフリをして

「こうしてたまに一緒に居られるだけでいい」

と静かに微笑むことだ。

もし平等を望んでいても、不平等を受け入れ続けているフリをして

「こうしてたまに一緒にいられるだけでいい」

と静かに涙をながすことだ。


これは女性から見ても可愛げがある。

もしいつまでも貫けるなら、それは生粋の可愛げかもしれない。



だけど、現実を直視し、自分の立場に不満を訴え泣きだしたり

現実を直視し、平等の関係を主張して怒ったりしだしたら

現実逃避が楽しかった不倫は終わりだ。


『可愛げ』を演出しているつもりだとしたら間違っている。


『可愛げ』どころか『脅し』だ。


演出ではなくまっすぐな気持ちだとしたら、もう『恐怖』でしかない。


自虐行為だ。




確かに男性はこういうことに弱いようだし

女性ほど冷淡や冷酷ではない。これを優しさだとするのは微妙だけど

確かに、泣かれたりすがられたりしたら

簡単に足蹴にするようなマネはなかなかできない男性が多いように思う。

夫もその種の男だろう。


けれど

足蹴にしないことと、可愛げを感じているってこととは、まったく別物だ。




そりゃあね・・・

女性がいつまでも現実を直視しないでいるってことがほぼ無理なんだ。

それを夫は、ヤツは考えていなかったから甘いんだよっ。


そしてね・・・そんな男性の現実逃避に乗っかった桜さんも甘いんだよ。


ま、甘いから、『不倫は蜜の味』っていうんだろうけど。




もちろん不倫にも色々なケースがあるだろうから

愛人の方は、ご自分が信じる『可愛げ』って物を存分に発揮すればいいと思う。

ただ、25歳過ぎていると、泣き顔も膨れ顔も怒っている顔も

自分の認識している以上に醜くなっているので

気をつけたほうがいい。


これ、経験済みだ。




それにしてもコメント欄、すごいね。


色々なお立場の方が居て様々なご意見があって然りだ。


どうしてもいやな事を言わずには居られない方のお気持ちも察する。

ただ・・・・私にどうしてほしいんだ?


そういうご意見を、読めば不愉快だと感じるけれど

読めば読むほど妻としては自信をつける材料になっていくんだ。



私は独身時代、やらかしてきた。


そうそう、おっしゃるとおり。

以前にも申し上げたけど

過去、男性を甘くみていたツケが、今になって回ってきたんだと噛み締めている。

夫ほどではないけれど、やはり旦那が浮気した経験を持つ過去の悪友とは

「私達 天罰が下ったんだわね」と毎回一緒に苦笑するしかない。


ただ、人様の男にだけは手を付けずに来たことが

不幸中の幸い、今の我が家庭の現状なのかもしれない。


我が家は夫の遅い夏休みがとれて、旅行に行っていた。



出発の二日前だった。


桜さんがアクションを起こした。



自虐行為

これまでにもそして今回も


「『妻』と言う立場に優越感を感じてて気分が悪い」


とか


「夫が戻ってきたことで優越感を感じてるのが気分悪い」


とか、コメントで、こういう気分悪いことを散々言われてきたが


こんなしょうもないことで、優越感なんか感じるかい。




私は以前から申し上げているように『愛人』ってお立場の方を責めるつもりはない。


「いいとこ取りして遊んでやろう」って方は、ズルいけど賢いと思うし

「日陰の身に徹します」って方は、愛人の美学があってそれはそれで美しいし

「奥さんから奪ってやる」って方は、情熱的でいい。


不倫をいいとは思わ無いけど、そういうこともあるんだろう。

そういう人がいてもいい。仕方ない。



だけど、仕方ないと思えるのは


「いいとこ取り」は、引き際をわきまえることができる


「日陰の身」は生涯それを貫くことができる


「奪ってやる」は奪えなくても潔く諦めることができる


そういう方のみだ。



不倫の結末から



「人を不幸にしか出来ない人が

       自分だけ幸せ気分でいるなんて気分悪い」



なんて愛人が相手の男性に思うとしたら・・・



甘いよ。



どんだけ自分中心で生きてんだっ。




既婚男性が、独身女性をしつこく口説くことなんて別に珍しいことではない。

口説かれた経験を持つ友人はいっぱいいるし

私だって経験ある。


だけど、それがそこそこ魅力的な既婚男性であっても

「時間の無駄」と将来を見越しているからか

「面倒に巻き込まれたくない」とデメリットを計算するからか

「家族に申し訳ない」と男性の向こう側にいる人々へ思いを馳せるからか

もしくはすべてを総合してからか


大概の女性がそこには乗っからないのだ。



不倫人口がいくら増えているといったって

『愛人』になっているのは2割くらいのもんだろう。


その2割へ足を踏み入れたのは己自身じゃないの。




自分の都合がいいときには


「誰かを不幸にしてでも自分だけは幸せになりたい」と

散々勝手してきたのではないのか?


「不倫される原因は奥さんにもある」と

ぬけぬけと豪語してきたのではないのか?


もしくは、

相手の家族に「申し訳ない」という気持ちを抱いていたとしても

「気持ちは縛れない」

とまっすぐさを主張してきたのではないのか?



それでいいじゃない。反論は無い。



その代わり、自分の都合が悪くなっても


「誰かを不幸にしてでも自分だけは幸せになりたいものよね」


「不倫が成就しなかった原因は私にもあるのよね」


「気持ちは縛れないのよね」


って思わなきゃおかしいだろっ。




自分が「不幸」だと感じる結果になったからって

「人を不幸にしか出来ない人」だなんて決めつけられるのも失礼な話だ。

私は不愉快な思いをしてきたけれど

夫と結婚したことを「不幸」だなんて思っちゃいない。


そもそも、不倫の結末が自分の思うようにいかなかったことぐらいで

「不幸」だんなんて悲劇ぶるのもやめてほしい。




不倫相手の男性に対し「バカにするんじゃないよっ!!」って腹を立て

殴ったり蹴ったりボコボコにやっつけるのは構わない。



でも、


今さら「騙された」なんて恨むのはずうずうしい。


十分楽しんでもきたじゃないの。



「騙されていることを見抜けなかった」ことを噛み締めるべきだ。







我が家に名乗って電話をしてきた桜さんの真意はわからない。


だけど、こんなふうになってきたら、夫と桜さんはもうぐちゃぐちゃだ。



桜さんは可愛いんだし、もっと早くあっさり夫の元を去っていたら

夫は桜さんに未練を残し、それこそ愛人的には優越感に浸れたかもしれないのに

彼女の今のやり方は、思いっきり自虐行為でしかない。


ま、夫に「不倫の恐ろしさ面倒さを味合わせる」という私の計画から言えば

思った以上に私が手を汚すことなくうまくいっていることになるんだけど。




桜さんは今、もがいているんだろう。


妻の立場でそれを可愛そうだなんて思えないし

今後桜さんに幸せになって欲しいなんてこれっぽっちも思わないけど

不幸になって欲しいとも思っていない。


せっかく可愛いんだから

ここで留まらず、誰かを恨むことはせず

不倫関係に乗っかった自分の失敗を噛み締めて前へ進みなよ


って思う。















真意

夕飯の準備中に電話が鳴った。




友人やママ友なら、大概こういう忙しい時間には掛けてこない。






「はい」



最近、私、すっかりイタ電用にとしゃべらないクセがついている。



「・・・・・・」



イタ電か?



「・・・・・もしもし」




おっ!!!しゃべった!!!!!!



!?!?!?この声・・・・




桜さん!?




「○○の 桜ですけども」



おぉぉぉぉ~~~~~~!!!やっぱり桜さんだ。




「こんにちは」



「お久しぶり」と付け足そうかと思ったけれど

「○○の」と、桜さんが社名を名乗って掛けてきているのだから

プライベート感覚で接するのはやめよう。



「いつもお世話になっております」



「・・・こんにちは・・・・・○○○さんいらっしゃいますか?」




○○○さん?・・・・夫の名前だ。


愛人と妻が会ったあの席では

夫のことを「社長」と呼んでいた。

あれはあれで、ハレンチな感じと違和感があったけれど

愛人が夫の名前を口にすると、こっちのほうがやっぱハレンチな感じだ。


それにしても、この電話こそ「社長」と呼ぶべきだわな・・・・・

社名を名乗ったわりにはプライベート色が強いじゃないの。


なんてお局様みたいなことを思う。




夫は、キキと一緒にお風呂に入っていた。


「今 子供と一緒にお風呂に入っているんですけど」

って伝えようかと一瞬考えた。


だけど、それは、桜さんに対して

「我が家は穏やかですよ」というアピールを意識したセコい考えだし

何より、愛人相手にキキの名前を出すのは汚らわしいので



「今 お風呂に入っていますけど」



とだけ穏やかに伝えた。


まあ、本来、社用の電話なら「今は手が放せない」と言うべきところであって

わざわざ「お風呂」だなんて伝えるのも非常識だけど

相手はプライベート色の強い桜さんだ。

夫の仕事関係者や見ず知らずの人間ならともかく

むしろ濃い関係の愛人相手なら、これで問題ないだろう。





「・・・・・・・」



「お急ぎですか?」



「いえ・・・出てからでいいのでケイタイに電話をいただきたいんですけど」



「わかりました 申し伝えます」



「失礼します」




久しぶりに愛人と話して、少々興奮した私だったが

電話はあっさり終わった。



でも・・・・・なんでウチに掛けてきたの?






しばらくして夫とキキがお風呂からあがった。



(私) 桜さんから電話があったよ 電話くださいって



(夫) えっ?・・・・・・あら あ そう・・・・ありがと・・・・・



平静を装っているけれどドギマギしているのがハッキリわかる。



夫は慌ててケイタイをチキチキいじっている。

お風呂に入っている間、夫のケイタイはダイニングテーブルに置いてあった。

どうやら、夫のケイタイに掛かってきた電話に

私が勝手に出たのだと思っているようだ。

「着信 無いみたいなんだけど・・・・・」とモゴモゴ言っている。




(私) ねえ?お家の電話よ お家に掛かってきたのよ



(夫) え?えええぇぇぇー!!!!!おウチなの!?



夫の声が裏返る。


ドラマで観たことはあるけれど

驚きのあまり、本当に声が裏返ることがあるんだな・・・・



夫の職場では

仕事のやりとりはケイタイでというのが主流だ。

主流というよりは、ほぼ100%といってもいい。

仕事関係者から電話が我が家に掛かってきたことは今まで一度も無い。


夫も、そうしている。

若い独身の部下の場合は別だが

例え緊急の用件がある大事な相手と連絡がつかずに困っても

相手の自宅へ電話を掛けることをしないし、掛けた話も聞いたことが無い。

緊急であっても、家庭には電話をしないというのが

暗黙のルールのようになっているようだ。

不規則である仕事ゆえ

太陽とともに過ごしている家族への気配りからくる習慣なのかもしれないし

浮気がまかり通る、夫の業界ならではなのかもしれない。


桜さん、そのルールを知らなかったのか?


ルールは知っていたけど

自宅へ掛けざるを得ないほどの仕事上のトラブルが発生したのか?

それとも、単にイタ電の延長なのか?


夫もこの状況の真意を量りかねたはずだ。



それにしたって、そりゃ驚くよな。


2日前に「イタ電」の件で、間接的ではあるが愛人と妻が接触するという

夫的には突然の惨事が襲い掛かり

でもってなんとか切り抜けたばかりだ。


どんな理由であれ、「なんで自宅に電話してきちゃうわけっ???」


と声も裏返っちゃうんだろう。




ケイタイでコソコソ掛けるのも疚しいし

かと言って

仕事の内容であっても妻の前で愛人と話をするのは気まずいようで

夫は、どうしたものかとなんだかウロウロしていた。


今さら気にすんな。



(私) 電話あったのは もう30分くらい前よ   はい



私は有無を言わせず夫に自宅の電話の受話器を手渡した。

身動きが取れないコードのついた親機の受話器だ。


夫は断るに断れず、オタオタしながら番号を押した。


夫が桜さんと話しているのを聞くのは初めてだ。

いや、正確には桜さんが「愛人」になってから聞くのが初めてだ。


ちょっと楽しみだった。

もちろんふたりだけの会話ではないので

「本物の会話」ではないだろうけど

それでもワクワクする。


私は、夫の近くに腰をおろしてキキと洗濯物をたたむ。




(夫) 桜さん います? お願いします



桜さんのケイタイではなく

この日桜さんが居るらしい仕事場へ掛けたようだ。




(私) ケイタイに電話してって言ってたわよ



(夫) ・・・・・バッテリーが無くなちゃって電話番号がわからないから





んじゃ バッテリー繋げばいいだろ


例えバッテリーが無くて番号を検索できなくても

あんだけ電話してきた桜さんの番号だ、覚えてんだろ?



とは思うけれど、ま、バッテリーが無いってことにしたかったんだろう。

ケイタイではなく仕事場へ電話をすることで

桜さんもプライベートな会話は出来ないようにしたのかもしれない。




(私) 番号なら私が教えてあげようか?



夫にはこれっぽっちも及ばないけど

私だって何度か桜さんとケイタイでお話してきたわけだ。

当然彼女の番号は登録してある。




(夫) ・・・・・・・・・・・・・・おお どうした?



返事を出来ずにいた夫だったが、桜さんが電話口に出たようだ。

ピンチを切り抜けた。



だけど、「・・・・・・・」の時の夫の表情は思いっきり強張っていた。

それが面白くて、私はニヤニヤしたけれど

夫は多分それに気がつく余裕はなかった。



(夫) ああ それ? これから行ったらやるよっ

    はい はい どうも

    はい よろしく




一瞬イラッとしたのが見て取れた。


会話の内容からすると、自宅へ電話をしなくてはならないような

緊急をようした連絡ではなかったようだ。


私が夫の立場でもイラッとしちゃうだろうな。

理由が何であれ、桜さんとの仲がどうであれ、また自業自得であったとしても

愛人が自宅へ電話してくるなんて

「コラコラ 何しやがるんだ!!」って気持ちになる。






桜さん、どうしてケイタイではなく自宅へ電話をしてきたんだろう?


自宅に電話してきたところで

夫からの折り返し電話のタイムリミットも伝えるでもなきゃ

お風呂から出る予定時刻を確認するでもなかったのだから

やっぱり、彼女が言うとおり「お急ぎ」ではなかったわけだ。


そもそも緊急なら、まずケイタイに掛けるべきだよな・・・


要するにこの時点で我が家に電話を掛けてくる必要は無かったってことだ。



桜さんは社名を名乗っていた。

夫と桜さんの間では、私への手前

桜さんは夫の会社の人間ではないことにしている。

そして、私もそれを信じていると思っているはずだ。

社名を名乗ってしまったら、そのウソがバレてしまうのに・・・・・・



バラしたかったのか?


「私は旦那の会社にいます いつも近くに居ますよ」って伝えたかったのかな?


社会人になると

関係のない相手にでも

電話口で社名を名乗ってしまうクセがついてしまったりするから

桜さんのも単なるクセだったのかな?




それとも・・・・


「イタ電は私ではありません

 私ならキチンと名乗って掛けますよ ほらねっ」


ってことかな?



イタ電告知の翌日と翌々日はイタ電はなかった。

で、3日目に桜さんから名前を名乗った電話・・・・・・・


イタ電疑惑を払拭するための行為だったのかな?



しかしこの行為がさらに


「イタ電はやっぱり桜さんだったんじゃないか?」


って私の中で疑惑を濃くした。




告知

『成功』の後、夫は久しぶりに丸2日間休みだった。

この2日は祝福ムードで穏やかに過ごした。




休みが明け、夫が出勤した後、数日ぶりにイタ電。

午後、夕方、夜・・・・・・3回もだ。



夫にイタ電のことを告知しよう。



メールを送った。


「イタ電が続いてます

 もし桜さんなら やめてもらってください」



桜さんと私が会い、その直後に夫といくつかの約束事を決めた時から

私は桜さんの名前も不倫の話も一切口に出してはこなかった。


桜さんとの関係がその後も続いていることを私が知っているとは

夫はおそらくこれっぽっちも気づいていない。


久しぶりに妻から愛人の名前を出された夫は

いったいどんな返信をしてくるのか、少し楽しみだった。


が、返信が無い。



ヤロー どんなことをたくらんでいやがる!?





夜中、ドスッドスッっと暴れた足音を響かせながら夫は帰宅した。

そしてその勢いのまま、私の居る寝室へ入ってきた。



(夫) 何 あのメールっ!?!?!?



ものすごくイライラしている。

イライラする気持ちもわからなくはないが

そのイライラを私に向かって表現するのはまったく持って筋違いだ。



イライラしてーのはこっちだよっ!!!



「チッ」久しぶりに舌打ちしながら、私は寝室からダイニングへ向かった。


夫はドスッドスッと私の後を着いてくる。



(夫) 何 イタ電ってっ!?



(私) もう随分イタ電続いてるの

    パパが居るときにも掛かってきた事あるけど 覚えてない?



(夫) ・・・・・・・・・・・覚えてない・・・・・・・・・・・・




夫の表情は、本当に「記憶にございません」って感じだ。




(夫) イタ電が彼女だって証拠があるのっ!?



(私) 証拠はないけど



(夫) 「違う」って言ってたよっ

    「2度と奥さんと話したくなんかねーんだよ」って!!!




・・・・・・・・・そうか・・・・・・・・



モチベーションはともかく、妻にも愛人にもいい顔しておきたい夫としては

とりあえず今回は「しらばっくれる」と思っていた。

「今度会うとき桜さんに聞いてみるから」とか言って

そのまま知らん振りしちゃうとか

もしくはその間にまたしょうもない対策を練るとか。


それでいいと思っていた。

イタ電の主は桜さんだと思うけれど、桜さんだという証拠はないし

桜さんだったとして

ここでイタ電をどうしてもやめさせようってことでもない。


ただ、アンタがお楽しみだったはずの不倫だが

結果、愛人はイタ電を掛けてしまうような

恐ろしい精神状態になっている可能性も考えられるわよ

ってことを夫にはここで認識させておきたかった。



だけど・・・・意外にも

夫は私のメールで送ったイタ電の話を、すぐに桜さんに伝えたようだ。




夫が暴れているのは、この件で、桜さんと 揉めて来たのだろう。



この夫の口調は、桜さんのマネか?


結構派手に揉めてきたのかもしれない。



それにしても随分な言い草だな。




こっちこそ話したかねーよっ!!!




「お茶飲む?」

鼻息を荒くしている夫を少し落ち着かせるため、静かに穏やかに声を掛けた。



「はい いただきます」

夫は、勢いで暴れていた自分を少々恥じるように静かに椅子に腰を下ろした。




一口お茶を飲んで一息ついて夫が尋ねてきた。



(夫) どうして彼女だと思うの?



(私) どうして彼女じゃ無いと思うの?



(夫) ・・・・・・・・・・だって もう彼女とは終わってるから・・・・・・



(私) ・・・・・・・・ふ~ん・・・・・いつ終わったの?



(夫) ・・・・・・・・ららちゃんと彼女が会ったでしょ そのあとすぐに・・・・・・




小さな声で答えた。




「すぐに」・・・・・・・すぐ???




何言ってんだっ!!!



セコイ手をつかって、あの後もズルズルしてたじゃねーかっ!!!




夫の不倫証拠品のあれこれは

『コレクション』として私がしっかり保管してある。

当然、例のケイタイも、そのバッテリーも。







最初こそ舌打ちしたものの

それまで静かに丁寧に話していた私だったが

ここで一瞬豹変した。




(私) はいっ!?!?!?聞こえないっ!!!

    いつ 終わったってっ!?!?!?




ギクッ!!!


っとなった夫。


漫画でよく見る『ギクッ』って擬態語がまさにぴったりの夫の表情は

明らかに疚しさと恐怖で固まった。



「バレてるっ!!!」今さら気がついたようだ。




(夫) ららちゃんと会っ・・・・・○△×▲■×○□■・・・・・・・




ゴニョゴニョと終わりがさっぱり聞こえない。


これじゃ、都合の悪い話を誤魔化すコントだ。



アホかっ!!!




例の証拠のケイタイを突きつけてやろうかとも思ったけれど

ここはイタ電の話をする時だ。


私は再び静かに丁寧に話すことにした。



(私) 何言ってんのっ すぐなんて終わってないでしょっ

    ま いいや


    パパが仕事場から電話して来た日

    桜さんも同じ場所で一緒にお仕事してたでしょ?

    パパと電話切ってすぐに同じバック音響かせた無言電話があったよ

    

    イタ電してる人に「キミはイタ電してますか?」って聞いて

    「はい しています」って答える人はあんまりいないと思うけど・・・・・・




(夫) ・・・・えっ あっ あの あれかな ちょっと手伝いで入ってもらって・・・



とびきり動揺している。


夫の会社に居る桜さんなんだから

夫と同じ仕事場に居ても何も不思議なことではないのだが

夫は以前「桜さんは自分の会社には居ない」とウソついているし

桜さんもその夫のウソに口裏を合わせていたので

一緒の仕事場にいた理由を必死に説明したのだろう。



今さら どうでもいい話をしどろもどろになりやがってっ



しどろもどろの前の数秒の無言の間

夫は状況を思い返していたのだろう。



桜さんがあの場所に居たことは確実になった。

あの無言電話は、やっぱり桜さんだろうな・・・・・・・



    

(私) 彼女じゃないのね 失礼なこと言ってごめんなさいね

    謝っておいて下さい




(夫) ・・・・・・・・・・イタ電は どうするの?




(私) 警察に通報するわよ




イタ電のことは、随分前に友人夫婦に相談した。

「警察に届けておいたほうがいい」ってアドバイスされていた。

イタ電の主を教えてくれることは無いらしいが

警察から直接、主に注意をしてくれるとのことだった。


もし主が桜さんだったら・・・と考えてきたから

警察沙汰になっては気の毒だという気持ちで

通報は避けてきたけれど

彼女でないんだったら、急いで対処しておかなくてはいけない。

主が思い当たらない方が恐怖だ。



夫は、さらに固まった。

イタ電の主が桜さんである可能性を、少し意識したからではないだろうか。



(私) 女は現実的なの

    怖いわよ




(夫) ・・・・・・・・・・・・・はい・・・・・・・わかりました・・・・・・




固まったまま、俯いて答えた。

何を「わかりました」なのかわからない。

イタ電をしているかもしれない愛人を怖いと思ったか

何事もないように穏やかに過ごしていたのに

不倫の継続を見透かしているような妻の様子を怖いと思ったか・・・



ま、どっちも怖いんだ。


女は男性よりも強いし賢いしズルイし怖いんだ。


何も考えずに浮かれて不倫なんかしやがって

不倫する前にそのくらい認識しとけっ!!!!!!!!



私はお茶を飲み干して立ち上がり、寝室へ向かった。



(夫) パパが今、ららちゃんとキキちゃんのために頑張ってるのは

    わかってくれるかなっっっっっ!?!?!?



夫は、私を引き止めるように追ってきて言った。



(私) 頑張ってるのはわかってるけど 「±0」だよ

    今の頑張りは 償いじゃなくて後ろめたさでしかないんだから



(夫) ・・・そうね・・・・そうですよね・・・・

    これから もっと ちゃんと頑張りますから・・・・・





「そうですよね」って・・・・・・認めちゃったのか!?!?!?





(私) 私も現実的なの

    いつ「さようなら」って気持ちになるかわからないわ



(夫) はい・・・・・・・・・

    今は頑張っていること認めてもらえればそれでいいです

    これからプラスになるようにもっと頑張りますから



(私) ええ 頑張ってください



(夫) すみません 遅い時間に長々と・・・・・



ほんとだよっ!! ったく!!! 



 

廊下に立っていた夫を残して、私は寝室に入りドアを閉めた。

途端に笑いがこみ上げる。

「ギクッ」となった夫の表情は小気味よかった。

そして

ドスッドスッとイライラを前面に押し出して帰宅した時の威勢のいい夫と

ドアを閉める瞬間に見た小さくなってうな垂れて謝る夫

ほんの短い時間の中で別人のように変わってしまうアホさ加減は

腹立ちながらも、かなり笑える。



現在の夫と桜さんの関係・・・

未だに夫が調子のいい事を言ってズルズルさせているのか

夫は終わりを考えているけど、終わりに出来ないでいるのか

もしくは夫だけ終わったつもりになっちゃっているのか

私にはわからない。


今、家庭に対する夫の態度に、私が不満を感じていることはないけれど

桜さんの影をいっさい感じないようにならない限り

夫の頑張りは、ずーっと『±0』のままだ。


プラスにしたかったら

桜さんの影を私が一切感じられないようにすることだ。



頑張れよ オッサン。


不倫の代償は大きい。


お楽しみだけでは終われないんだよ。



よく噛み締めて 思い知れっ!!!

    






同志

夫が独立して、約1年。

最近抱えていた、独立後 最大の仕事、成功した。



もともと、お仕事はものすごく頑張る人ではあるけれど

今回は本当によく頑張っていたと思う。


今回のこの夫の頑張りに

「頑張ってね」「お疲れ様」という労いの言葉は常に掛けてきたし

私が出来うる限りの協力はしてきたけれど

消えかけているとはいえ桜さんの影は感じてきただけに

「成功しようが失敗しようがどっちでもいいや」

って気持ちもどこかにあった。




家族で一緒に過ごしているときに、その仕事「成功」の連絡が入った。



「よかったですっ ありがとうございましたっ 皆さんのご協力のおかげですっ」



夫の電話での会話のやり取りを聞いて、「いい知らせ」であることを察した。

大きな夫の声は、喜びを隠せないってな様子だった。




電話が終わった夫は、興奮気味に私に「成功」を伝えてきた。


「どっちでもいいや」って思っていたはずなのに

私は自然と手が伸びた。握手を求めた。



「おめでとうっ!!!」



「ありがとうっ!!!」



夫は強く私の手を握り返した。


私達は、かたく握手した。



その両親の様子を見て、キキも嬉しそうにピョンピョン弾みながら


「どうしたの?」


と加わってきた。




「パパ お仕事成功したんだって 頑張ったからだねっ!!」


私もピョンピョン弾みたい気持ちで、キキに報告した。


もちろん、「仕事の成功」というものが

どういうことなのかはキキには理解できていないと思うけれど

空気を読むことはできたのだろう。



「パパ おめでとうっ!!!」

キキは夫の足に抱きついた。



「ありがと~~~~~~~っ!!!」



夫は相好を崩して、キキをグチャグチャに可愛がっていた。


   

 


なんでだろ・・・・・・・・・?



仕事の関係者にお礼の電話を入れている夫を見ていて考えた。


「どっちでもいいや」ってどこか投げやりな気持ちも抱えていたはずなのに

夫の成功を知って、不思議と、私も飛び上がって喜びたい気持ちになった。


夫と出会ってこれまで

一緒に喜ぶような出来事は、決してこれが初めてではないけれど

夫とこんなふうに握手をしたのは、確か・・・初めてのことだ。



突然独立して、「さて この先どうなることやら」と思ったし

そんな時に、なんだか不倫なんか始めちゃうし

おかげで散々迷惑を被ってきたけれど

夫が仕事を頑張る人であることは100%信じてきた。

そして、他のことが何も見えなくなるくらい仕事には集中する夫を

尊敬している。



色々思うことはあっても

夫の成功は、それによる夫の喜びは、私の喜びにもなった。



やり遂げた充足感と、結果を出せたことへの安堵感と

成果が認められた満足感で、夫はすごくいい顔をしていた。


そんな夫を見ていたら


「かっこいいじゃん!!」


と思った。





「夫婦は同志」


こんな言葉を聞くことがよくあるけれど

本当にそういうことなのかもしれない。


以前「同志」って響きには

とっても「乾いた」印象があって

「同志のような夫婦になんてなりたくない」と思っていた。


だけど・・・・・

「愛」の意味は相変わらずよくわからないし

「恋したいわ~」なんてことを

友人やママ友とは挨拶のように毎度話しているけれど

夫との握手は「恋」とか「好き」とか「愛してる」なんて言葉が

妙に陳腐なものに感じた瞬間だった。



仕事や家庭や子供や家族や・・・・

同じ方向を見て、同じことを志すってことが

どんなことよりも強い関係を築くことに繋がるのかもしれない。


夫として父親として

ここ数年のヤツはどうにもしょうもない男だ。

だけど私が

夫のやることを夫自身を頭ごなしには否定しないことを心がけてきたのは

夫が、私のやることを、私自身を否定しない人だからだ。


子育てにおいては、本能で母性が開眼したおかげで

そこそこ「お母さん」として頑張っているけれど

私も夫に劣らず、思いつきや勢いで突拍子もないことを始めることがあるし

いい加減だったり無責任だったりするところが随分ある。


けれど、アドバイスや意見はしても、夫がそれを否定したことは一度も無い。

夫はいつでもニコニコ笑って応援してくれてきた。



私が一番のびのび楽しく生きていけるのは

夫の隣なんじゃないかなって思うし

夫が一番のびのび楽しく生きていけるのも

私でありたいと思った。


「不倫」は『のびのび』には属さないけれどね。



『夫婦』になった男女が「好き」「愛してる」って感情だけで

一緒に生きていくのは、なかなか難しい。

でも難しいことをクリアして一緒に生きて行けるならば

それはやっぱりステキなことだ。




「同志」って思っていたほど乾いてないし、悪くない。



同志がいるってことが

何よりも生きていくうえで心強いようにも思った。







イタ電について、私が特に対策をとらずにきたのは

イタ電の主がもしも桜さんなら

不倫の様子を伺うバロメーターになると思ったからだ。


最近の夫の様子と

イタ電をかけてしまう桜さんの心情を合わせて考えると

ふたりの関係は明らかに「お楽しみ」ではなくなっていることがわかる。


もう、バロメーターは必要ない。




夫に『イタ電』の話をしようと思う。


大きな仕事を終えてから話そうと

このタイミングを待っていた。











恨み

あんな夢を見たけれど

ストレスってことでもないと思う。


ご心配いただきましてありがとうございます。



キキが いつかもしも不倫したら・・・・・

なんたってキキが一番悪い。

キキを叱るし、相手の妻子に心から詫びたいと思うだろう。


そして、どこで何を間違えたのかって

キキを育てた自分に腹を立てるだろうし悲しくなるだろう。



でも、やっぱり私は相手の男性に怒りを抱いてしまうと思う。

どんなに自分の娘が悪いとわかっていても

「親ばか」もいいところだと思っても

心の中でひとりひっそりと怒りを抱えると思う。



だから、桜さんの親御さんには申し訳なく思うんだ。


「好きな人と一緒になって幸せになって欲しい」

生まれたときからそう願っているのに

好きになった相手が妻子持ちであれば

どんなに娘が傷つこうが苦しもうが悲しもうが

それを咎めなければいけない。叱らなければいけない。教えなければいけない。


娘の心を一番理解してあげたいのに

自分の妻と言う立場から理解してあげるわけにはいかない。

相手の妻子の気持ちに思いを巡らさずにはいられないんだ。


『いい人ぶるのもいい加減にしたら』


っておっしゃる方も居るけれど

いい人ぶってなんかいない。


母親としての気持ちだ。


人を好きになる気持ちを知っていて

そして妻の気持ちも知っている

どちらの気持ちにも理解を寄せられる母親は

不倫で苦しんでいる本人なんかより

ずっとずっと苦しく悲しい思いをするはずだ。



たぶん、こんなことを考えていたので夢をみたんだろう。



だけど、桜さんに対しては、私が何かを思うことは無い。

同じ女性として胸が痛むことは確かにあるけれど

それだってものすごく客観視したらってことであって

妻としては私に「イタ電してくるなんてお門違い」って心底胸糞悪い。


夫が浮気した原因が私にあったとしても

桜さんと夫の不倫がうまくいかなくなったことは私の責任ではない。


成就することもあれば成就しないこともあるんだ。

そんなの不倫でなくても恋愛には当ったり前のことだ。




ここのところ一日2回のイタ電。

再び「出たら切れる」ってタイプに戻っている。

もし桜さんなら・・・いや桜さんだろう。


奥さんにイタ電なんて逆恨みもいいとこだ。



本来なら桜さん自身、己の選択を恨むべきだと思うけど

どうしても誰かを恨みたいなら「夫」にして欲しい。

私は関係ない。


気が済むように夫を殴ったり蹴ったりすればいい。

気が済むようにおやりなさいな。





もし桜さんに、夫がボコボコにされてきたら

半分、小気味よくて

「ざまーみろ」って思いそう。


でもあと半分は・・・

今回こういうことになって気がついたことだけど

残念ながら夫婦は庇うものなんだ。ほんと不思議。


「可愛そうに・・・人の旦那になにすんのよっ!!」

って腹がたちそうだ。

そして、傷の手当て してあげちゃうんだろうな。



ただ、傷に、とびきり沁みる薬を思いっきり雑に塗るのは間違いないけど。

家族で外出していて夜遅くに帰宅すると

我がマンションの前に1台のタクシーが停まっていた。


眠ってしまったキキを抱えている夫は

タクシーを気にすることなくさっさとエントランスに入ってしまったが

私はどうにも気になって、タクシーの中をチラッと覗いた。


後部座席に中年の女性が座っている。


女性は、ガラス張りのエントランスの中にいる夫の後姿を

ゾッとするようなものすごい形相で睨みつけていた。



はっ・・・・・・・・・・・



一瞬にしてその中年女性が誰であるのかわかった。



桜さんのお母さんだ。




夫を睨みつけているお母さんの表情に胸が締め付けられた。

苦しくて涙が出た。



これは私がみた夢の話だ。





先日の無言電話のことが心に引っかかっているんだと思う。


夫の「うっかりリダイアル」の可能性はほとんどない。

だって、いい頃で見切りをつけた後に確認したナンバーディズプレーに

無言電話は「非通知」と記録されていたんだから。


だからって無言電話の主が桜さんだという証拠も無いけれど

でも、やっぱりね・・・・・・・桜さんのような気がする。




夫のやらかしてきたことを

『狩猟民族』とか『性』なんて言葉で何でも片付けちゃってるわけがない。

散々不愉快な思いをしてきたのに

そんな都合のいいカテゴリーで括って了解するかっての。

「不倫」を否定も非難もしないけれど

「不倫は文化」なんて のたまっているオッサンをみれば

他人であっても「アホかっ」って思う。


夫が一番悪い。

この考えは最初からずーっとずっと変わっていない。

ヤツが一番悪いんだ。

だから、ヤツのことは必ず苛めてやる。


もしイタ電の主が桜さんなら

夫との今の関係に不満があり

追い込まれて苦しんでいるのかもしれない。

コメントで戴いているご意見のように

彼女自身も訳がわからず私を恨んでいるのかもしれない。


それを思うと同じ女性としては胸が痛む。




けれど、妻の立場では

やっぱり桜さんを「可愛そう」とも「被害者」だとも思わない。

仕方ない。自分で選択してきたことなんだから。



ただ・・・・・・

妻の立場であっても

桜さんの親御さんの気持ちを考えると、辛い。


もう社会では「大人」と呼ばれるようになり

全ての選択に自分が責任を持たなければならない年齢になっていても

親にとっては、いくつになっても子供は子供。


子供を産むって、どんなに痛くても、陣痛がきたら産むしかないし

それが当たり前だ。

あんな恐ろしい苦しみだったのに、もうほとんど忘れている。


でも、出産によって病気になることもあるし、死んでしまうことだってある。

子供を産むって、命かけてんだ。


命がけで産んだキキが、遊んでいて怪我をしただけでも胸が痛むし

少しキキの心が傷ついたんじゃないかって思っただけでもツライ気持ちになる。

きっとこれからもずっとそうやって心配し続けていくんだろう。


大事に大事に育て

自分より大切な存在の愛して止まない娘が

わけのわからん男に嫌な思いをさせられたと知れば

自分の娘のやったことを咎めても

相手の男性に対しては、それ以上に怒りを抱いたとして当然だ。




夫と桜さんの不倫について、私に責任は無いけれど

桜さんの親御さんに対しては申し訳ない気持ちでいっぱいだ。



愛人よりも

そのお母さんの気持ちに心をめぐらしたほうが

自分の感覚に近いなんて

私はすっかり『お母さん』になってきてるんだな~・・・



この気持ち、不倫がきっちり終わったときに夫に話そうと思う。




無言電話

毎年のことながら、夫はこの時期忙しい。

仕事でいっぱいいっぱいだ。



「ごめんなさいね どこにも連れていけなくて

 今の仕事が落ち着く秋になったら旅行行けると思うから

 夏は キキちゃんと楽しんで」



そうね・・・親戚も遊びに来たいと言っているし

友人からの旅行のお誘いもあるし

お言葉に甘えてってことで

夏休みで親戚の子供が泊まりに来たり

旅行に行ったりしていた。



夫の「仕事」が忙しいのは確かだけど

とはいえ、これまで「仕事」と称して散々不倫に興じてきたわけだから

もちろん今回だって

「仕事」にお楽しみが含まれているのかもしれないけれど

もう、今の夫を見ている限り、気になるほどの「お楽しみ」でもないだろう。

「私とキキが居ない間に調子にのるんじゃないの?」


と思ったりはしたけれど

そんなこと気にして私やキキの夏を台無しにするのはごめんだ。


私とキキは満喫した。




旅行から帰宅し、一息ついていた所に夫が仕事先から電話を掛けてきた。


「お帰り~無事に帰宅したかしら?」


妻子の無事を確認することと、現在の夫自身の仕事の状況を報告する電話。

夫のバックでは、仕事先を意味する音が鳴り響いていた。

「仕事場ですよ」ってアピールのために

わざわざその場から電話してきたのかもしれない。


芝居か真実かわからないけれど

現在の夫は「夫」と「パパ」両方をいい感じで頑張っている。



あれこれ30分程話して電話を切った。




と、直後、再び電話が鳴った。


なにか夫が言い忘れたことでもあったのかな?

そう思い込んで電話をとった。





「は~い?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「????もしもし?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




夫の声が聞こえない。

電波が悪いのかな?





ん?


・・・・・・・・・・・・・・イタ電か?


・・・・・・・イタ電だ!!!




イタ電だと気がつくまでに数秒かかった。

電話の相手が夫だと思い込んでしまったわけは

夫と電話を切った直後だったってこともひとつ

けれど何より

この電話のバック音が

直前まで話していた夫のバックの音と同じだったからだ。



ただ・・・ハッキリとバックの音が響いているのに電話の主は無言。




「どちらさまですか?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「もしもーし? もしもし? もしもーし?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





桜さん?





これまでずっと続いているイタ電が、桜さんであるとは断定できない。


けれど今回のこの無言電話は・・・・・桜さんの可能性が極めて高い。


夫の会社で今でも働いている桜さんなら

私とキキが旅行中の間も、そして夫が電話を掛けてきたその時も

夫と一緒に仕事していたことは十分に考えられる。



相手は、ただただ黙っている。



何か話したいことでも・・・

言いたいことがあるけど言い出せずにいるんだろうか?



そんなふうに勝手に考えてしばらく無言に付き合ってみた。


だけど、いくら待っても相手は一言も発しない。




旅行疲れで眠たそうになっているキキ

急いでお風呂にいれなければいけないので

いい頃で見切りをつけて私から受話器を置いた。




無言電話・・・・・って意味があるのかな?

意味なんて無いのかもしれないけれど

無言電話された側としては意味を考えてしまう。


夫が、我が家へ電話をしている様子を

彼女はどこかから見ていたのではないだろうか。

そして夫が電話を切ったのを見届けて

その直後に桜さんも電話を掛けてきた。


夫と同じバックの音を響かせることで

「一緒に居ます」ってことをアピールしたかったのかな・・・・・



考えすぎか・・・・・・


だけど、『無言電話』の主が桜さんだったら・・・


夫と桜さんの関係が今どんなふうになっているのかはわからないけれど

『無言電話』を愛人宅に掛けるなんて行為は

現状に不満を感じているがゆえだろう。


彼女はすっかり、もう夢の世界ではなく現実に生きている。



同じ女性として、少し胸が痛んだ。






『テレビ』。

『ブログの女王』って番組からお話をいただいた。


「他薦がありまして40名に選ばれました

    このまま選考を続けさせてもよろしいですか?」


というご連絡を、私との連絡が取れないということで

わざわざアメーバから戴いた。



少し考えてみたけれど・・・・

40名に選んで戴いたというだけであって

なにも『女王』になったわけでもないのに

「それはやめてください」

ってのも何を過剰になってんだって感じで気持ち悪いし

「せっかくのお話ですのでお受けいたします」というお返事をした。



夫がこのブログの存在を知ることは考えられないけれど

もし何かで知ったとして

夫の性格上、こんなタイトルのブログには恐ろしくて食いつかないだろう。


もし食いついたとして

「これは僕のことですか?」なんて怖くって、私に訪ねてくるとは思えない。


もし訪ねてきたとして

そうね・・・嘘が書いてあるわけではないし

夫には話していない私の気持ちもあったりするわけで

今となっては、夫がこれを読んでどんな感想を抱くのか少し興味もある。


だけど


「このブログはキミが書いてるんですか?

この「夫」とは僕のことですか?」


と、もし夫が恐る恐る訪ねてきたとして


「ブログ?なんのこと?私は知りません」


と答えることに決めている。