夏になる少し前の


正確にいうと 梅雨前くらいなのだけど


ちょっと暖かくなってきた頃の夜になると


ふと


子供だった頃の事を思い出す




内緒で家を抜け出して


夜風に吹かれながら彼とおしゃべりした事


友達の家に泊まりに行って


ただひたすら夜通し遊んだ事




何が楽しかったのか 


というのはもう全然思い出せないけれど


ただ 楽しかった感覚だけが残っている




毎年、この時期になると その感覚だけがやってきて


懐かしくて 戻りたいような気持ちになり




あの頃と同じような夜の風の中に


ただ ぽつんと大人になってしまった私がいて


なんだか 悲しいような気持ちになり




子供だったことが


どれだけ豊かなことだったのかと


今 なんとなく


わかるのです