あれは、娘が1歳半になろうという時だっただろうか。
まだ、単語と単語を繋げて文章にするということが難しい時期だ。
単語は結構いけるようになってきたが、
2語文をようやく幾つか言えるようになってきた、
言語に対する、初期の成長過程だ。
クリスマスシーズンのディズニーシーに行き、
早朝から並び、
色々、パレードを見たりして楽しんだ。
夕飯はどこにしようかなんて会話をしながら歩いていたら、
丁度良く、パレードが見えそうなレストランの外側の席を見つけ、
特等席だね、なんて話しながらお店の柵の内側から混雑もせずパレードを見ていた。
パレードの次は花火。
妻は花火が好きで、
これを見ないことには締まらないらしい。
パレードが終ると、花火席を確保しようと、
席にある食器を急いで片付けだし、
「早く! 早く!」
と物凄い急かし、
俺は娘を抱っこしてレストランから急いで抜け出した。
あたりはもう暗くなり、
場所的に、帰り客の混雑と花火を見ようと移動する人たちでごった返していく。
花火の方向もわからない俺は抜け出したものの、どこに向かえばいいのか分からないので
上空を見回し、花火を見つけようとするが見当たらない。
その時、妻を見失った。
まぁ、電話をすればいいか、とポケットを探したが、
携帯が無い!
もしかしたら、レストランに忘れてきたのかと、
席に戻ってみるが、携帯は置いていない。
恐らく妻が急いで出るときに俺の携帯も持って出て行ったんだろう。
その時、自分の置かれた状況に気付いた。
「迷子だ」
いや、迷子は妻のほうか。
ただし、連絡の取りようが無い。
携帯も無いし、
俺は妻の携帯番号を覚えていないのだから。
これはスタッフに迷子の案内を伝えるべきか・・
そんなことを思いながら、
レストランの柵の外にぼーっと立っていると、
肩車をしていた娘が、
「べびかー ないよ!」
「ぱぱ べびかー ないよっ!」
娘にあせっているのが伝わったのか、
娘も何か大変なことが起こっているのだと察知して、
ベビーカーが無いことを、必死に訴えていた。
ごめんね、
ベビーカーも無いんだけど
それよりもママがいないんだ。
心配かけてごめん。
それにベビーカーはママと一緒だ。
ベビーカーなんて、すぐに買ってやるさ、なんて言えるほどの金はないけど
今大事なのは、ママがいないことだ。
もう花火も終ったようだし、
帰り客が落ち着いたら、スタッフさんに相談しよう。
そう思っていた矢先に
「花火みれたー?」
とのん気に嫁が近づいてきた。
なんだったんだ、今までの混乱を返せ!
携帯すら持って行きやがって。
一気にいろんなことが起こりすぎたが、
こんな混乱の中、
娘はLVが上がった
・状況を見て、それを伝える能力が身についた
・3単語を伝えることを覚えた