Disney好きがDisney音楽を独自解析してみた

Disney好きがDisney音楽を独自解析してみた

リアルではミニピンとディズニーを愛する主婦です
音楽の知識は無いですが、ダンスの経験と作品への愛と自分のフィーリングでディズニー音楽を紐解いてみました
ディズニー・オン・クラシックや劇団四季、映画やパークなどで自分で観て感じた事を綴っていこうと思います

 ヒーロー専門のトレーナー、フィルの曲をご紹介。


 映画『ヘラクレス』は[ゴー・ザ・ディスタンス]を筆頭に良い曲が多く、ストーリーも判りやすいので、老若男女問わずオススメの作品です。
 この映画のテーマの一つは「諦めない事の大事さ」でしょう。
 主役のヘラクレス(とヴィランズのハデス)は自分の夢を追い続けますが、対比して何かを諦めていたのがヒロインのメグと、今回紹介するフィロクテテスことフィルです。
 育て上げたヒーロー達は揃って振るわず、合わせてフィルのトレーナーとしての評判も下がり、ついには「本当のヒーローを育て、星座で肖像画を描いてもらう」という夢を諦めていたフィルでしたが、ヘラクレスとの出逢いで変わっていきます。

 日本語吹替は波平さんやヨーダの声でお馴染みだった永井一郎さんです。
 フィルの作中での立ち位置はコミカルな三枚目から物語のキーマンと幅広いのですが、どのシーンでも自然に受け入れられるのは永井さんだからこそだと思います。
 因みに、永井さんはテーベの町人のおじいちゃんも演じられてます。
 
 ディズニー・オン・クラシックでは2018年秋の公演で披露されました。
 ジャケットの裏地が素敵なシンガーの方がコミカルに演じられておりました。この方、一幕で[ホール・ニュー・ワールド]をデュエットで歌われていましたが、アラジンとフィルの雰囲気があまりに違うので、フィル役で出てきた際は驚きました。
 曲中のヒーローの特訓はダンスレッスンに置き換えられた面白い演出でした。最後は笑い必須ですw決してダンスに向かない衣装なのに、ヘラクレス役のシンガーの方がかなりしっかり踊っていたのにもびっくりでした。

解説
 フィルは台詞に言葉遊びが多く、吹替版では親父ギャグもとい駄洒落が、英語版では所々で韻を踏んでいます。
 曲中にもそれが発揮され、アップテンポで軽快に進んでいく中に、よくよく確認すると小ネタが満載です。
 台詞と歌が交じったような部分も多く、どこかアドリブっぽく聞こえるのも永井さんらしいところです。
 この歌を挟んでヘラクレス役のキャストも交代されており、歌が進むにつれて少年だったヘラクレスが立派な青年へと成長していくのは、『ライオンキング』の[ハクナ・マタタ]の演出と似ています。


「お前笑わせるんじゃないよ 
腐るほどに何人も来たけれど
どいつも皆カスばっかり」
 この歌の前にフィルが語ったテセウスやオデュッセウス等「ウスっぺらばっかり」の門下生達の事ですね。
 歌詞の間に「まったくもう、やってらんねぇ」と台詞が入りますが、面倒事は引き受けたくないフィルの本音なのでしょう。
 
「例えお前がゼウスの子であろうが なかろうが
答えは二言
OK…」
 ゼウスのパワハラというか親バカというか、落とされた雷から圧を感じます。
 ここで押し負けてしまう辺り、フィルの人の良さが見えます。
 「二言」と言ってますが、本当に断るならなんて言ったのでしょうか。

「とっくの昔に捨てた夢
誰かがいつの日か俺と
メダルにトロフィー 
勝ち続けて ついに金持ちに
この素人が!」
 拾った何かのトロフィーは銀色で、二位のもののようです。今までの弟子達に一位を取らせてあげられなかった事がさりげなく描かれています。
 先程素敵な夢を語っていたのに、とたんに俗っぽい事を言い出しました。キラキラした夢だけでは現実は食べていけないですし、少しくらいの欲は出るでしょう。
 ここで語っていた俗っぽい方の夢は後に正夢となりますが、それが本当に望んでいた事だったのかが後半のストーリーの鍵の一つになります。

「やる気はとうの昔に失せ
のんびりと暮らしていたのに
素人さんにゃ プロのしっかりとした
アドバイスがいる
あぁ胃が痛ぇ」
 かな~り荒れていた練習場の手入れから、まずはスタートのようです。
 広大な敷地には元は巨大な石像等もあったのでしょうか。
 教え方も手慣れたもので、そこはやはりプロと言うだけのことはあります。
 ただし痛くなるのは胃だけではなさそう。

「俺の最後の夢かけ お先は真っ暗だけど
もう一度だけ懸けてみる
当てにしていんだろ」
 エアロビクスのような動きや、(ヘラクレスの場合は見た目の強化も含めた)筋トレ、バランス感覚の特訓等、様々な練習メニューをこなしていきます。
 『ヘラクレス』ではコミカルでオーバーなカートゥーン的アクションが多く、この曲中のフィルは特にそういった表現をされています。
 後半のヘラクレスと仲違いするシーンではそれが見られず(投げ飛ばされるシーン等)、ストーリーに合わせてきちんと描き方を分けているのだと思います。

「やる気だけでは何にもならん
結果出さなきゃ 世の中はクール」
 夢を追いかけるあまり視野が狭くなる若者に年長者からの鋭いアドバイスですが、これがグサッと刺さりますね。
 実際にこの後テーベの街では、無名のヒーローだったヘラクレスはずいぶんクールな仕打ちを受けてしまいます。
 ところで、このシーンの雪山(雪原?)は練習場の敷地内なのか気になるところです。

「本当のヒーロー目指すからは
芸術と同じ ハートが肝心」
 明確な表現では無いですが、このシーンでヘラクレスとフィルの信頼関係がしっかり出来たのでは、となんとなく感じます。
 ヘラクレスにとってフィルはヒーローのコーチは勿論、人生の先輩であり、数少ない理解者でしょう。作中ではヘラクレスは自分の意見をしっかり伝えており、フィルもまたヘラクレスの意思を時に軌道修正しながらも尊重しています。
 もしフィルがヘラクレスに対して威圧的に支配的に接していたら、きっと二人の関係はこうはなりません。

「もっと磨け心の中
もっとでかくなれ」
 「心を磨く」という事からかヨガのような動きです。「集中しろ、集中」というフィルの言葉が聞こえてきそうですね。
 ところで、作中に幾度も出てくる「本当のヒーロー」というのは、視聴者としてもなんとも抽象的な言葉です。作中でヘラクレスもその意味について迷いを見せていました。
 そのヒントが、実はここと一つ前の歌詞にカンニングレベルで載っています。
 まあ、頭で判ったからといって、それをどう行動にするかが何より難しいのですが… 

「俺の最後の夢かけ
生きている内にワン モア トライ
俺の夢を叶えてくれ
立ち上がれ ヒーロー目指し
お前に全てをかける」
 「俺の最後の夢かけ」は前半で同じフレーズが出ていますが、各々で次に続く歌詞に沿って歌い分けがされています。
 前半は諦め半分冗談半分の軽い感じ、後半はヘラクレスの成長にしっかり手応えを感じ、最後の特訓に向け良いプレッシャーをかけているようです。
 ペガサスの慌てっぷりを見るに、難易度マックスのコースなのでしょう。
 フィルが全てを懸けて育てたヘラクレスの勇姿は、是非映画を観てみてください。