ほたるの徒然

ほたるの徒然

自分用メモ。

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久々に目頭の熱くなる映画を見た気がする。

初動(週末)興収が1.5億と苦戦気味だったから心配していたけれど、評判を呼んだのかお盆という時期が良かったのか2週目(10日)累計6.9億と持ち直し。
”ぴあ満足度”ランキング1位、
辛口のyahooレビュー等でも3.8前後と高評価。

なんか惜しい、短すぎて物足りなくて”惜しい”んだけど特に責めるところがない映画――
総括するとそんな感じだと思う。

やはり2冊の上下巻を2時間にまとめるのは難しい。
うどん屋の兄ちゃんや男姉ちゃん、学校の友人等のエピソードの掘り下げができないため、一つ一つ投げっぱなしで消化不良が起きてしまう。

しかしここまで高評価を得ているのは
ひとえにキャストスタッフの熱意が画面から伝わるからだ。

まずは演技。

水谷さん。静かだが芯の通った父親。自然で抑えた演技に彼の本来持つ優しさが滲んでいい感じ。節目節目の表情がなんともいえない…とにかく芸が細かい。

吉岡くん。纏う空気がいい。
台詞回しはけしてうまくないけれど、感情がこもっていて地に足の着いた演技。

花田さん。多分一番うまい(笑)
かわいいし、昭和の香りがするし、台詞回しもうまいし、将来が楽しみ。

その他ちょい役で出ている方々の豪華さと言ったら……
監督の力かプロデューサーの力かよくわからないけれど本当にキャスティングが素晴らしかった。

小栗旬と佐々木蔵之介にはフォーリンラブ。
なんだあの2人イケメンすぎるだろ。

まぁ一番驚いたのは原田泰造の熱演だけどね……あの人役者やww


次に美術。

妥協のない小物配置、
ロケ、セット――

そして何より素晴らしいのは空襲シーン!!!
あれだけ正確に焼夷弾を表現した映画を私は知らない。
迫力音響CGどれをとっても天下一品だ。
あれだけで劇場に足を運ぶ価値がある……それほど出色の出来だったと思う。



原作には批評があるが、それを理由に観るのをやめるのは勿体ない佳作だ。
監督も脚本家も山中恒さんの原作批判本に目を通して作ったと公言している。

だから時代考証がどうのという批判は当たらない。

まぁ自分はもともと『小説』なんだから時代考証の正確さなんてどうでもいい派だが。
幼いころに感じたことを大人になってから解釈すると後出しじゃんけんになるのは当然だ。
私小説は筆者の心象風景――伝えたいことを作品に込めるのは当たり前なのだ。

少年Hの放つメッセージは、戦争の一つの捉え方として素晴らしいものだと思う。


表層的な情報や時勢に流されず、自分の頭で考えること……

ともすると戦前のようなきな臭い世の中になりつつある今、
少年Hの放つメッセージは胸にとめておく価値があるだろう。