『七回死んだ男』新装版

西澤保彦著　講談社文庫

【内容（「BOOK」データベースより）】

高校生の久太郎は、同じ1日が繰り返し訪れる「反復落とし穴」に嵌まる特異体質を持つ。資産家の祖父は新年会で後継者を決めると言い出し、親族が揉めに揉める中、何者かに殺害されてしまう。祖父を救うため久太郎はあらゆる手を尽くすが―鮮やかな結末で読書界を驚愕させたSF本格ミステリの金字塔！

大庭久太郎は高校一年で１６歳。

彼は、小さいころから同じ一日が繰り返されるタイムループが起きる。

これを彼は体質だと言い「反復落とし穴」と呼んでいる。

それがいつ起きるかは予想がつかない。

起きるとその同じ一日が９日間（9回）続く。だが実際に経過しているのは一日だけである。

多い時には１ヵ月に十数回、少ない時は２ヵ月に１回といった具合。

同じ１日に彼なりにいつもと違う変化をつけることはできるが、次の日にはまたオリジナルの１日目に戻る。

「反復落とし穴」最終日の一日（９日目）がオリジナルの１日となり、現実の翌日が来る。

その前の８日間のことは消えてしまうということだ。

そのすべての記憶があるのは久太郎一人のみ。家族や周りの人は９日目に起こったことのみが現実となる。

そんな中、親族が集まった新年会で、資産家の祖父が後継者を指名することになったが、その祖父が何者かに殺害された。１月２日の事である。

そして、彼はその日から「反復落とし穴」に落っこちた

１回目の１月２日は平穏無事で祖父は死んでいなかった。

それなのに２回目の１月２日には祖父は死んだ。

あり得ない、そんな馬鹿な。今までのタイムループとは違っている。一体どういうことなのか。

自分がオリジナルの１日と何が違うことをしたからなのか。

久太郎は祖父の死を未然に防ごうと苦心するが毎回祖父は死んでしまう。

「反復落とし穴」の最後の日に近づいてくる。

久太郎は祖父を救うことができるか。

読了。

ラノベ感覚で読め、コメディータッチで笑える箇所がいっぱいあり楽しめた。

大人が遺産相続でもめ、しっちゃかめっちゃか、ドタバタ喜劇といったところだ。

確かに祖父は７回死んだ。タイトル通りだ。

最後のオチの謎解きは、なるほどそういうことだったのかと思う。

そのあとは、あっさりと尻切れトンボ的終わり方だったので、最後にもうひとひねりして欲しかったなー。

※２０２１年４月９日に公開された『パーム・スプリングス』も同じ１日が繰り返されるタイムループ映画だった。

軽いノリのラブコメディーで、笑えて面白かったことを覚えている。

タイムループから抜け出すことに必死になるが、なかなか難しい。

■タイムループストーリー『七回死んだ男』