『魔眼の匣の殺人』

今村 昌弘 著 創元推理文庫

 

 

元研究施設に閉じ込められた11人

この中で4人死ぬ

“死の予言”は成就するのか

シリーズ累計120万部 『屍人荘の殺人』シリーズ第2弾

 

【内容(「BOOK」データベースより)】

その日、神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と剣崎比留子を含む9人が、人里離れた班目機関の元研究施設“魔眼の匣”を訪れた。その主であり、予言者として恐れられている老女は、来訪者に「あと二日のうちに、この地で4人死ぬ」と告げた。施設と外界を結ぶ唯一の橋が燃え落ちた後、予言が成就するがごとく一人が死に、閉じ込められた葉村たちを混乱と恐怖が襲う。さらに客の一人である女子高生も予知能力を持つと告白し――。残り48時間、二人の予言に支配された匣のなかで、葉村と比留子は生き残って謎を解き明かせるか?! ミステリ界を席捲した『屍人荘の殺人』シリーズ第2弾。

 

魔眼の匣の殺人

 

 

前作『屍人荘の殺人』の紫湛荘での出来事から、3か月以上経った。

神紅大学ミステリ愛好会の会長を前任者から引き継いだ葉村譲

会員は剣崎比留子と二人きり。

 

前作の事件は解決したが、ある研究機関の謎がうやむやになったまま終わっていた。

今回は、その謎の研究機関<班目機関>の分署であるいくつかの研究施設が判明。

その一つ、W県にある旧真雁(まかり)地区の元研究施設で超能力研究が行われていたということがわかり、二人は早速調査に乗り出した。

山奥にある施設の途中まではバスで行った。

そのバスで奇妙な若いカップルと一緒になった。

高校二年の十色真理絵と後輩の高校一年茎沢忍

バスを降りてから、どうやら行く先は同じで、あの施設<魔眼の匣>だった。

十色は、未来を見通す絵を描く予知能力者で、茎沢オカルト好きの少年。

 

途中、4人と道連れになり、その中の元地元の住人で墓参りに来ていた女性の道案内で<魔眼の匣>まで行く。

サキミという老婆一人が住む家があの<魔眼の匣>と呼ばれる元研究施設であった。

<魔眼の匣>は大きなコンクリートの建物で地下もある。

そこには先客の<月間アトランティス>の記者がサキミの取材のために来ていた。

サキミは予知能力があり、今までの予知がすべて当たっていた。

前作の『屍人荘の殺人』の事件も数か月前には予言していた。

サキミには通いで世話をしている女性がいて、今この家に居るのは11人になる。

そんな中、サキミは恐ろしい予言をした。

 

<十一月最後の二日間に、真雁で男女が二人ずつ、四人が死ぬ>

 

今日は11月28日、つまり11月29日、30日4人が死ぬということだ。

 

全員が驚いている中、外界と通じている唯一の橋が何者かに火をつけられ、焼け落ちてしまい孤立した。

彼らは、もうこの里から脱出することはできなくなる。

 

なんということだ。あと2日間で4人が死ぬ。この真雁の里に居なければ死を免れるが、それがかなわない。<魔眼の匣>に閉じ込められてしまった。

前作と同じクローズド・サークルだ。

 

実はサキミが<班目機関>の超能力研究施設の被験者だったことが後に分かる。

そして、当時の集められた被験者は11名

この<魔眼の匣>の11名と一致するのが何とも気持ち悪い。結局何の関係もなかったけれどね。作者の小技だわね。

 

というわけで、ここから本格的な密室殺人事件が幕を開ける。

 

 

読了。

 

前半までは、葉村と剣崎の会話の面白さなどもあり、楽しみながら読んでいたんだけれど、だんだん面白さが薄れていく気がした。

ちょっと強引にストーリーを作りすぎているところが鼻についたし、後半に入ると説明や解説がくどい。

もう少しすっきり書いてほしかったなー。

 

犯人は、最後まで私はわからなかったから、これは良かった。

犯人の動機が前作同様、希薄のように思われたが、この犯人にはもう一つ呪われているという過去からの強迫観念があり、それが今回の予言と重なって動機がより一層強いものになったのは理解できた。

ただ、この強迫観念の過去のある事件が、この犯人とつながっているということは、比留子の状況証拠においての推測でしかないというのが気になるけれど、これは比留子の推理が素晴らしかったことで、どうでもいいことなのかな…

 

この小説の一番の醍醐味は<終章>の部分で、たったの20ページ。

犯人が分かった後の話で、比留子がある驚愕の事実を暴くシーンだ。

ここで、読者はもんどりうつほどの驚きを味わうはず…

ですが、わたしはかなり前からこの結末を推理していた。

詳細までほぼ100パーセント近く当たっていた。

そこのところを説明したいけれど、ネタばれを含むのでできないのが残念。

 

犯人は皆目わからなかったけれど、この最後がこの小説家の読者に突き付ける腕の見せ所のトリックだったはずなので、それを推理できた自分を褒めてあげたい。😊

 

いい読書納めとなった。

 

 

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