『暗殺者グレイマン』
(原題:THE GRAY MAN)
マーク・グリーニー 著 ハヤカワ文庫
冒険アクション「グレイマン」シリーズの1作目、『暗殺者グレイマン』
主人公・ジェントリーは巧妙に身を隠して任務を確実に遂行することから“グレイマン(人目につかない男)”の異名で、裏の世界の者から伝説的存在として畏怖されている暗殺者。
どうやら映画になるらしい。
今年の1月から映画の撮影に入った模様。
“ライアン・ゴズリング(ジェントリー役)”と“クリス・エバンス(ジェントリーの元同僚ロイド役)”のダブル主演!
“ライアン・ゴズリング”は、『きみに読む物語』で名前が売れました。
“クリス・エバンス”は、『アベンジャーズ』の『キャプテン・アメリカ』で有名です。
元同僚同士の壮絶バトル・アクション!
配信は来年の2022年の予定だけど、新型コロナの影響でいつになるか定かじゃない。
『グレイマン』シリーズは9作出ているので、映画が当たれば続編につながるね。
『007』シリーズ以上の大作になるという噂です。
まずは本を読んでみよう。
【内容(「BOOK」データベースより)】
身を隠すのが巧みで、“グレイマン(人目につかない男)”と呼ばれる凄腕の暗殺者ジェントリー。
CIAの特殊活動部に属していた彼は、突然解雇され命を狙われ始めたが、追跡を逃れて今は民間警備会社の経営者から暗殺の仕事を受けている。
だがナイジェリアの大臣を暗殺したため、兄の大統領が復讐を決意、やがて様々な国の暗殺チームがグレイマンを標的とする死のレースを開始した!
激烈な戦闘が連続する冒険アクション。
リー・チャイルドの小説「ジャック・リーチャー」シリーズの設定に似ているね。
リーチャーは自分で「わたしは見つからない男だ」と言っている。
そして、このジェントリーは「人目につかない男」と言われている。
リーチャーの方は“トム・クルーズ”で、ジェントリーは“ライアン・ゴズリング”で映画化。
さてどっちの方が面白いかな。
プロローグから、すぐに引き込まれる。
ランドローヴァ―を運転していたサングラスで血まみれの男。
その上をきりもみしながら、地面に向かってアメリカ陸軍のヘリコプターが落ちてくる。
彼は任務を終え引き上げの地に向かっていた。
ヘリは墜落し、尾根の向こうに消えた。
生存者がいないかどうか確かめろと、心の声が言う。
だが、もうあいつらはダメだ。自分は救助するに任務ではない。このまま突っ走れ。
ランドローヴァ―の男は、コートランド・ジェントリー。
シリア国境の向こうで、ナイジェリア大統領の弟のエネルギー大臣を暗殺してきたばかりで、その殺戮地帯から逃げるところだった。
時間がない。ジェントリーは脱出地点まで急いでいた。
ところが、彼は、心の声のままに自分の命を顧みずに墜落したヘリまで生存者を捜しに戻る。
そして、そこで大活劇の末、一人の生存者の若者を救出した。
うひゃー。初っ端からものすごい面白ーい。
主役は、コートランド・ジェントリー、36歳。アメリカ人。
父親がフロリダ州タラハシーでSWAT学校の校長で、そこで彼は成長。
戦術部隊の将校たちと一緒に毎日訓練にいそしんでいた。
16のときには、SWATチームに近接戦闘の技術を教えていた。
18のときには、キューバ人麻薬密売人3人を射殺容疑で逮捕される。
CIA幹部が、刑務所からジェントリーを拉致し、秘密工作本部の秘密部門で働かせた。
数年の間、世界各地で隠密作戦。非合法工作もした。
9・11を契機に、特殊活動に配属。CIAの特務部隊で働く。
公式名称は特殊作戦支援GS(ゴルフ・シェラ)で、それを知っている少数の人間は特務愚連隊(グーン・スクワット)と呼んだ。
そして、彼は優秀な暗殺者になっていった。
さあ、ここからだ。
ジェントリーに、ある日解雇通知が通達されたのだ。
つづいて、“目撃しだい射殺” 指令が下りた。
いったい何が起きたのか。今作では、それはまだ明らかにされていない。
彼はかつての同僚たちに付け狙われるようになった。
地下に潜って、“サー・ドナルド・フィッツロイ”というイギリス人が経営する、<CSS>に活路を求めた。
CSSは民間警備会社だが、それ以外にも闇の仕事を引き受けていた。
グレイマンに大臣の弟を殺されたナイジェリア大統領は復讐に燃え、ある機関に依頼した。
ジェントリーの首をアイスボックスに入れて持って来いと。
様々な国から裏社会の暗殺者たちの12チーム50人以上がグレイマン暗殺に集められた。
生き残ったチームにはそれぞれ百万ドルと経費、殺したチームには2千万ドルの報奨金が支払われる。
死闘ゲームが幕を開け、ジェントリーは世界を飛び回り暗殺チームと凄絶な戦いを繰り広げることになる。
最初はアルバニアチーム3人が送られた。
ジェントリーは見事にやっつけた。次はインドネシアの精鋭6人、次はリビアチーム5人…
次から次とやってくる。
そのたびに、ジェントリーはなんていろんな国の言葉の奴が来るんだろうと訝しく思う。
自分は世界中から追われているのか。
ジェントリーはどこから追われているのかわかっていなかった。
ナイジェリア大統領が、どこの機関に依頼したのか。
それが、この小説の大事な柱となる。
読み終わって、しばし興奮が続いた。
プロットがすごく練られていて、こんなによくできた凄まじいアクション巨編は初めてだな~
また、セリフがいい。
それぞれのキャラクターの個性がセリフひとつで理解できるし、ジェントリーのセリフは簡潔でかっこいい。
惚れ惚れするわ。
アクション・大冒険・サスペンス・スピーディー・スリリングでスケールも壮大。
満身創痍になり死の罠と知りながら、たった一人、自分の正義に忠実に敵に挑む姿がかっこいい。
あらゆる娯楽要素満載で臨場感たっぷり、血湧き肉躍るってこういうことだ~
読む手が止められないほどの面白さだった。
次作をすぐ読みたいところだけど、少し興奮を冷ますために違うジャンルのものにしよう。
【余談】
映画では、ジェントリーの適役はロイドになっているけど、小説ではすごくダメなクズ野郎(元CIAで事務仕事しかしていない)なので、こんな役柄がクリス・エバンスに配役するわけがない。
たぶん脚本を変更して、ジェントリーと同等の強い役柄にするのでしょう。
そうでないと二人が闘う最高の見せ場を作れないものね。
なーんて思っちゃいました。
映画早く観たいな~
ピンキーの覚書
【グレイマンの正義】
超法規的な処刑によって罰せられるのが当然だと考えられるターゲットに限って、殺しの契約を引き受けるのがグレイマンの個人的な職業倫理。
噂によれば、もう必要以上の金は稼いでいるので、銃口を通じて悪を正し、弱者を護り、この世をもっと住みやすくする目的で仕事を続けていると推測されている。
今回は、雇われているCSSのフィッツロイの家族が人質になっていて、ノルマンディまでジェントリーをおびき寄せる罠だとわかっていながら一人で救出に行く。
【今回使用するグレイマンの武器】
50口径のバレットM107アンチマテリアル・ライフル
AK-47アサルト・ライフル
M4カービン
AR-15カービン
ヘッケラー&コッホMP5サブ・マシンガン
セミ・オートマティック・ピストルはブルーノCZ、ベレッタ92、ワルサーPPK、グロック19
破片手榴弾等々